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羽ばたきの時
115話 決闘の行方は
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ドラゴニウムシールドをブラインドにして、その上からエナジーライフルによる貫通射撃による二重攻撃すらも囮、アトラスの注意を上に向けさせている内に、自身は下から接近を試みる。
ヘッドスライディングをするように、文字通りアトラスのブレイクパルチザンの間合いへ滑り込んだ。
起き上がり様にプラズマソードを抜き放ち、
「でぇいぃッ!!」
逆袈裟の一閃が、アトラスの鎧のようなボディを深々と斬り裂いた。
「があぁぁぁッ!?」
この戦いにおいて初めてアロウがまともに与えた一撃だ、さしもの重装甲に守られた防御力と言えど、アトラスに大きなダメージを与えたようだ。
しかしまだ勝負はついていない。
アロウは体勢を立て直して、プラズマソードをアトラスに突き立てようとするが、
「フンッ、甘ぇっ!」
アトラスは左腕をアロウに向け――その腕部装甲に内蔵していたグレネードランチャーを発射した。
「!?」
ここで決めるつもりだったアロウは、それに対する反応が遅れ、グレネードの爆風を直撃する。
しかし至近距離で爆風を伴う攻撃はアトラスすら巻き込み、両者とも吹き飛ばされる。
「俺に直撃を喰らわせるとは、やるじゃねぇか……!」
アトラスはすぐにスラスターを使った受け身で起き上がり、ブレイクパルチザンを構え直す。
爆風の直近にいたアロウもまたすぐに立ち上がろうとするが、傷付いたところにグレネードランチャーの直撃を受けたのだ。
「まだ、だ……まだ……ッ」
Rワイバーンの赤い装甲も黒ずんで焼け爛れ、もはや気力だけで立ち上がろうとしているのが目に見える。
「そんな状態で、まだ降参しねぇのか……なら!」
アトラスはスラスターを加速させて突進、ブレイクパルチザンで一突きに仕留めようとして、
その寸前で切っ先を止めた。
それよりも先に、アロウは体力が尽きたのか、前のめりに倒れていたからだ。
「……」
アトラスはブレイクパルチザンを引き、それを地面に突き立てると、倒れたアロウを担ぎ上げた。
担ぎ上げたまま、遠巻きから見守っていたルナ達の元へ連れて行くと、彼女達の前にアロウを転がす。
「こいつに伝えておけ。「御礼参りなら、いつでも受けてやる」とな」
それだけ告げると、アトラスは踵を返してブレイクパルチザンを拾い、何処かへ立ち去っていった。
この勝負の勝者は、アトラスだろう。
しかし、彼は「御礼参りなら、いつでも受けてやる」とも言った。
「今より強くなったら、もう一度戦えってことかな」
メイプルはそう言って、ノヴィス平原を去っていくアトラスの後ろ姿を見送る。
「アロウさん、大丈夫ですか?」
ルナは倒れたまま動かないアロウに寄り添って声をかける。
「し、死んじゃったわけじゃないよね?」
そんなことは無いのだが、反応が無いのではカノラも心配する。
「単なるスタンよ。休ませてれば回復するわ」
ジルダはアロウの状態をそう看て取る。
「一矢報いた、といったところか」
うむ、とフェルテは頷いた。
本来なら手も足も出ないままに負けるだろう相手に、まともな一撃を喰らわせ、撃破寸前まで追い込んだのだ。
実質勝ち、とは言えずとも、痛み分けくらいには持ち込んだと見てもいいだろう。
アロウの意識が回復するまで、しばらく拠点にい続けた。
ヘッドスライディングをするように、文字通りアトラスのブレイクパルチザンの間合いへ滑り込んだ。
起き上がり様にプラズマソードを抜き放ち、
「でぇいぃッ!!」
逆袈裟の一閃が、アトラスの鎧のようなボディを深々と斬り裂いた。
「があぁぁぁッ!?」
この戦いにおいて初めてアロウがまともに与えた一撃だ、さしもの重装甲に守られた防御力と言えど、アトラスに大きなダメージを与えたようだ。
しかしまだ勝負はついていない。
アロウは体勢を立て直して、プラズマソードをアトラスに突き立てようとするが、
「フンッ、甘ぇっ!」
アトラスは左腕をアロウに向け――その腕部装甲に内蔵していたグレネードランチャーを発射した。
「!?」
ここで決めるつもりだったアロウは、それに対する反応が遅れ、グレネードの爆風を直撃する。
しかし至近距離で爆風を伴う攻撃はアトラスすら巻き込み、両者とも吹き飛ばされる。
「俺に直撃を喰らわせるとは、やるじゃねぇか……!」
アトラスはすぐにスラスターを使った受け身で起き上がり、ブレイクパルチザンを構え直す。
爆風の直近にいたアロウもまたすぐに立ち上がろうとするが、傷付いたところにグレネードランチャーの直撃を受けたのだ。
「まだ、だ……まだ……ッ」
Rワイバーンの赤い装甲も黒ずんで焼け爛れ、もはや気力だけで立ち上がろうとしているのが目に見える。
「そんな状態で、まだ降参しねぇのか……なら!」
アトラスはスラスターを加速させて突進、ブレイクパルチザンで一突きに仕留めようとして、
その寸前で切っ先を止めた。
それよりも先に、アロウは体力が尽きたのか、前のめりに倒れていたからだ。
「……」
アトラスはブレイクパルチザンを引き、それを地面に突き立てると、倒れたアロウを担ぎ上げた。
担ぎ上げたまま、遠巻きから見守っていたルナ達の元へ連れて行くと、彼女達の前にアロウを転がす。
「こいつに伝えておけ。「御礼参りなら、いつでも受けてやる」とな」
それだけ告げると、アトラスは踵を返してブレイクパルチザンを拾い、何処かへ立ち去っていった。
この勝負の勝者は、アトラスだろう。
しかし、彼は「御礼参りなら、いつでも受けてやる」とも言った。
「今より強くなったら、もう一度戦えってことかな」
メイプルはそう言って、ノヴィス平原を去っていくアトラスの後ろ姿を見送る。
「アロウさん、大丈夫ですか?」
ルナは倒れたまま動かないアロウに寄り添って声をかける。
「し、死んじゃったわけじゃないよね?」
そんなことは無いのだが、反応が無いのではカノラも心配する。
「単なるスタンよ。休ませてれば回復するわ」
ジルダはアロウの状態をそう看て取る。
「一矢報いた、といったところか」
うむ、とフェルテは頷いた。
本来なら手も足も出ないままに負けるだろう相手に、まともな一撃を喰らわせ、撃破寸前まで追い込んだのだ。
実質勝ち、とは言えずとも、痛み分けくらいには持ち込んだと見てもいいだろう。
アロウの意識が回復するまで、しばらく拠点にい続けた。
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