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羽ばたきの時

112話 アロウVSアトラス

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 そして三日後。
 アトラスの提示した予定通り、アロウ達はノヴィス平原に訪れた。
 ブレイヴス全員で来てはいるが、実際に戦うのはアロウ一人だ。

 拠点には既にアトラスが待っており、その長大な十字槍――ブレイクパルチザンを突き立てている。

「来たか」

 ここで待ち構えていたということは、この拠点のエリア内で決闘を行うようだ。
 アロウだけがアトラスの前に立ち、他のメンバー達は距離を置いて見守る。

「勝負の着け方は、どうするんですか?」

 勝負の前に、その決着はどう着けるのかをアロウは訊ねる。

「どちらかが降参するか、プレイヤーキルするかだ」

 至ってシンプル。

「それと、お前の先攻が勝負の開始だ、いいな?」

 アロウが動き出せばその瞬間から決闘を始めると、アトラスは言う。

「分かりました……」

 双方の距離は10m少し。

 アロウはエナジーライフルの銃口をアトラスに向け、アトラスはブレイクパルチザンを構える。

 暫し、沈黙。

 睨み合い――そして、アロウがエナジーライフルのトリガーを引き絞ることで、火蓋が切って落とされた。

 牽制の初撃。
 しかしアトラスは重厚な見た目とは裏腹に、滑るようなホバー機動で光弾を躱し、一気にアロウへ肉迫せんとする。
 怯まずにアロウは飛び下がりつつエナジーライフルを連射、続けて放たれる光弾も、アトラスは巧みな機動で躱しつつ、急速にアロウへ迫る。
 ここまで踏み込まれては、とアロウは腹をくくる。 
 アトラスが得意とする接近戦で迎え撃つため、エナジーライフルをマウントラッチに納め、レッドワイバーンの翼を模したバックパックからデバイス――プラズマソードを抜き放つ。
 見た目はカインが装備しているシャイニングセーバーに似ているが、集束される光刃は蛍光ピンク色のそれだ。

 瞬間、プラズマソードとブレイクパルチザンが激突し――アロウはあっけなく吹き飛ばされた。

「ぐうぅぅぅぅぅッ……!」

 吹き飛ばされながらもスラスターを吹かし、どうにか姿勢を制御するアロウ。
 パワーが違い過ぎる。
 向こうは重量級の陸戦タイプ、こちらは身軽な空戦タイプ。
 正面からかち合えばどちらが競り勝つかなど、火を見るよりも明らかだ。
 吹き飛ばされて体勢を崩したアロウに、アトラスはその機を見逃すつもりはなく、さらに加速して迫りくる。

 薙ぎ払われるブレイクパルチザンに、アロウは跳躍しながらスラスターを使い、上方向へ躱す。
 同時に推力を下方向へ向けて加速させ、プラズマソードを振り下ろす。
 しかしアトラスの反応も早く、即座にブレイクパルチザンを引き戻して構え直し、プラズマソードの一撃を受け止める。
 だがアロウはここで競り勝つつもりはなく、弾かれるように急速後退、アトラスとの距離を取りながら左手にエナジーライフルを取り出して連射する。
 これに対してアトラスは左のショルダーアーマーで光弾を受けて弾く。
 表面に傷はついたものの、破壊するには何発も直撃させなければならないだろう。
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