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勇気ある者達
99話 次なる場所は火山
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アロウ達がマリーネ孤島の遺跡攻略を完了し、帰還しているその一方で。
デゼルト砂漠の遺跡内部にいるオーディンは、コンソールの通信越しのカインにぼやくように言った。
「ダメだ、どこを探しても全く見つからん。カイン、本当にそんな場所があるのか?」
『アロウ君達が嘘をついていなければ、という前提ではあるが。話を聞いた限り、嘘をついていたとしても、あまりに設定が上手く出来すぎている』
「ただお前に言い逃れをするだけなら、そこまで壮大な嘘設定を考える必要もないだろうが……それにしたって、本当に見つからんぞ。ボーンナイトがいた部屋の壁全体どころか天井まで探ってみたが、隠し扉のひとつも無いぞ?」
『…………』
「なぁカイン。まさか、まさかとは思うが、あのNPCが本当に電子の生命体だった……とは言わないだろうな?」
『君にとっては信じたくないかもしれないが、どうやらその可能性が浮上しつつあるようだ』
「……ちなみに、各地で散見されている不自然なデータの破損との関連性はどうだ?」
『全く無いとは言い切れないな。そして、次に不自然なデータの破損箇所が新たに見つかるとすれば……』
「『イグニート火山』か」
イグニート火山とは、Cランクから探索可能になるフィールドで、活火山の麓周辺と、その山道の火口付近を指す。
火山と言う性質上、豊富な鉱脈に溢れており、この地特有の希少鉱石や可燃石炭などは武具の生産強化に欠かせない。
『今Dランクのアロウ君達が次に向かうだろうフィールドならそこだ。そして、イグニート火山にも中腹辺りに遺跡が存在している』
「なるほど……それなら、納得はいくか」
オーディンは自分の中のピースが少しずつはまっていくことに頷く。
データの破損が発見されるケースはいずれも低ランク帯のフィールドばかりだ。
直近で言えば、ノヴィス平原、デゼルト砂漠、マリーネ孤島の三つ。
もっと言うならば、『件のNPCが関わったフィールドにしかデータの破損は見られない』。
『アロウ君達がCランクに昇級するには、まだ数日はかかるはずだ。それまでに準備を整えてほしい』
「了解。……あぁちなみに、余計な変装はしない方がいいな?」
オーディンは意地悪く笑った。
余計な変装……つまり、カインが"リック"としてアロウ達に接触を試みたことだ。
『うむ、我ながら良い手だと思ったのだが、そう上手くはいかなかったな』
「よくあんなバレバレの偽装を押し通そうとしたな?まぁどちらにせよ、俺はそんな回りくどいやり方は得意じゃ無いからな。あくまでも堂々といかせてもらうさ」
『手間と面倒をかけるが、頼む』
「気にするなよ、俺とお前の間だ」
通信を切り、オーディンはデゼルト砂漠の遺跡を後にしていった。
デゼルト砂漠の遺跡内部にいるオーディンは、コンソールの通信越しのカインにぼやくように言った。
「ダメだ、どこを探しても全く見つからん。カイン、本当にそんな場所があるのか?」
『アロウ君達が嘘をついていなければ、という前提ではあるが。話を聞いた限り、嘘をついていたとしても、あまりに設定が上手く出来すぎている』
「ただお前に言い逃れをするだけなら、そこまで壮大な嘘設定を考える必要もないだろうが……それにしたって、本当に見つからんぞ。ボーンナイトがいた部屋の壁全体どころか天井まで探ってみたが、隠し扉のひとつも無いぞ?」
『…………』
「なぁカイン。まさか、まさかとは思うが、あのNPCが本当に電子の生命体だった……とは言わないだろうな?」
『君にとっては信じたくないかもしれないが、どうやらその可能性が浮上しつつあるようだ』
「……ちなみに、各地で散見されている不自然なデータの破損との関連性はどうだ?」
『全く無いとは言い切れないな。そして、次に不自然なデータの破損箇所が新たに見つかるとすれば……』
「『イグニート火山』か」
イグニート火山とは、Cランクから探索可能になるフィールドで、活火山の麓周辺と、その山道の火口付近を指す。
火山と言う性質上、豊富な鉱脈に溢れており、この地特有の希少鉱石や可燃石炭などは武具の生産強化に欠かせない。
『今Dランクのアロウ君達が次に向かうだろうフィールドならそこだ。そして、イグニート火山にも中腹辺りに遺跡が存在している』
「なるほど……それなら、納得はいくか」
オーディンは自分の中のピースが少しずつはまっていくことに頷く。
データの破損が発見されるケースはいずれも低ランク帯のフィールドばかりだ。
直近で言えば、ノヴィス平原、デゼルト砂漠、マリーネ孤島の三つ。
もっと言うならば、『件のNPCが関わったフィールドにしかデータの破損は見られない』。
『アロウ君達がCランクに昇級するには、まだ数日はかかるはずだ。それまでに準備を整えてほしい』
「了解。……あぁちなみに、余計な変装はしない方がいいな?」
オーディンは意地悪く笑った。
余計な変装……つまり、カインが"リック"としてアロウ達に接触を試みたことだ。
『うむ、我ながら良い手だと思ったのだが、そう上手くはいかなかったな』
「よくあんなバレバレの偽装を押し通そうとしたな?まぁどちらにせよ、俺はそんな回りくどいやり方は得意じゃ無いからな。あくまでも堂々といかせてもらうさ」
『手間と面倒をかけるが、頼む』
「気にするなよ、俺とお前の間だ」
通信を切り、オーディンはデゼルト砂漠の遺跡を後にしていった。
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