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勇気ある者達

96話 血路を斬り裂き突き進め

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 気絶していた意識が浮上し、メイプルは慌てて飛び起きる。

「やばっ、意識飛んでた!?」

「あっ、良かった。気が付いたんですね」

 足場の上から補助魔法を行っていたカノラは、メイプルの声に振り向く。

「みんなはまだ戦ってるっぽい?」

 メイプルはアイテムボックスから回復ポーションを飲み干して、体力を回復させる。

「はい。でも、三人だけじゃ辛そうです」

 カノラが水面から見えるだけでも、戦況はあまり芳しくない。

「オッケー、すぐ行くっ」

 スパイラルフィンを持ち直して、メイプルは再び水中に飛び込む。

 ジルダから発射された魚雷は全弾命中、リヴァイアサンは蹌踉めくが、それだけだ。

「(これで魚雷は終わり……あとは、ガトリングがどこまで保つか)」

 撃ち尽くした魚雷のポッドを切り離し、ジルダは再びヘビーガトリングガンを向けて撃ちまくる。
 両肩と両足、合計四基のポッドに備えられた魚雷は無駄なく全弾リヴァイアサンに炸裂した。
 蹌踉めいたりしているので、それなりのダメージは与えているはずだが。

 アロウはフォノンメーザーガンを撃ちながらワイルドカットラスを振るい、可能な限りリヴァイアサンの懐に潜り込むように立ち回る。
 フォノンメーザーガンの音波振動がリヴァイアサンの腹に突き刺さり、傷を押し広げていく。

 そこで初めて、リヴァイアサンは苦しげに身を捩らせた。

「(いいぞ、攻撃が効いている)」

 ジルダの魚雷以外では怯みもしなかったリヴァイアサンを見て、アロウは自分達の攻撃が通用していることを確信する。

 リヴァイアサンの動きが止まったのを見て、フェルテはリヴァイアサンの頭部に接近し、宝剣で何度も斬りつけていく。

 戦線に復帰してきたメイプルも到着し、フェルテとは反対側の腹下に潜り込んでスパイラルフィンを突き立てている。

 このまま順調に行けばいつかは倒せる……だが、ここで気を抜いてはならない、ベヒーモスとの戦いでも一番危険だったのは、敵が形振り構わず暴れ回ることだ。

 なればこそ、強力な決め手。

 リヴァイアサンは首を振ってフェルテを弾き飛ばし、身を翻してメイプルからも逃れて距離を取ろうとしている、

 のを見て、アロウは次に何を仕掛けてくるかを瞬時に思い浮かべる。

「(さっきの攻撃魔法!)」

 そこまで考えた時は既にスラスターをフルスロットルで駆動させ、青い魔法陣を展開しようとしているリヴァイアサン目掛けて突っ込む。

 加速の勢いのままワイルドカットラスを突き出し、リヴァイアサンの傷付いた腹部に湾曲した刃が深々と突き刺さった。

 無防備になる瞬間に弱点を深く抉られたのだ。
 詠唱を阻止したこの攻撃は効いたらしい、リヴァイアサンは魔法陣を消失させて水中でひっくり返り、苦しげにもがいている。

 決めるなら、今しかない。
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