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勇気ある者達

95話 乱撃のアサルトダイブ

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 リヴァイアサンが放つ水柱を前に、フェルテは咄嗟に盾を構え、同時に魔力結界フォースフィールドを張り、襲い来る濁流から身を守っていた。
 避けられない、盾でも防ぎきれない、そんな攻撃に対する防御手段だが、魔力も同時に消耗するため、長時間かつ連発出来ない。
 しかし、そんなことが出来るのはフェルテだけであって、他の仲間達はそうもいかない。

「(いかんっ、皆は!?)」

 フェルテは周囲を見回し、仲間達の安否を確かめようとする。

 壁際には、水柱に押し出されて壁に衝突したのか、アロウとメイプルが力無く漂っている。
 カノラは巻き込まれる位置にいなかったのか、その二人を助けようと近付いている。
 ジルダもどうやら回避できたようで、自分にヘイトを向けさせようとリヴァイアサンにヘビーガトリングガンを撃ちまくっている。
 アロウとメイプルの救助はカノラに任せてもいいはずだと判断し、フェルテは再び水を蹴ってリヴァイアサンに攻撃を仕掛けに行く。

 カノラはまずアロウを抱え、次にメイプルも抱え、二人をそれぞれ左右の脇に抱えるように持つと、スラスターを使って一気に水面へ上昇する。
 現実なら、カノラ――菜々花の体力や腕力なら二人抱えて泳ぐなど出来ないが、MAFという仮想空間とスラスターの推進力の設定があってこそだ。

「ぷはっ。二人とも、大丈夫?」

 気絶状態になっているらしい、二人に呼び掛けるカノラ。

「ん……あれっ、意識飛んでた?」

 アロウはすぐに気が付いたらしく目を覚ました。

「そうだ、あいつの攻撃魔法を受けて……悪い、カノラさん」

「うぅん、気にしないでいいよ。回復は、出来る?」

「うん、すぐに。フェルテとジルダさんは、まだ戦ってるのか」

 カノラの腕から離してもらい、アロウは水面下へ目を向ける。
 すぐにアイテムボックスから回復ポーションを取り出して飲み干し、体力を回復させる。

「メイプルさんはまだ気絶してるか……カノラさん、あとは頼む」

「うん、すぐに追い掛けるから」

 カノラはメイプルを抱えると再びスラスターを使い、陸の足場まで運んいく。
 それを尻目にしつつ、アロウは再度水中へ飛び込んで戦線復帰する。

 フォノンメーザーガンを撃ちながらリヴァイアサンの注意を向けさせ、その隙をフェルテが斬り込み、二人を巻き込まない位置からジルダは右脚ポッドの魚雷を発射、全弾命中させる。
 魚雷の炸裂によって怯むリヴァイアサンに、フェルテは腹下へと潜り込み、宝剣で斬りつけ、突き刺していく。

 ガーディアンだけあって、少なくともベヒーモスも同じくらいには体力があるだろう。
 しかしここは水中という、水陸両用タイプのマギアアームドがあっても、人間にはどうしたって不利、かつリヴァイアサンにとっては有利な環境。
 近付けば巨体を振り回し、離れれば攻撃魔術、なおかつ巨体に見合わぬ素早さ。

 以前は、ベヒーモスの突進を壁にぶつけさせて牙を折り、倒れたところを一気に畳み掛ける、という戦法が通じたものの、リヴァイアサンはむしろ自分の巨体をぶつけることで足場の上にいるアロウ達を引き摺り下ろしてみせている。

 不利を強いられるこの戦況、どう打開出来るか――。
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