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勇気ある者達
94話 激戦水域
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人間の元々の生息環境は陸の上であるが、水の中では全く動けないわけではないし、むしろ"個体"によっては水凄生物に迫るほどの活動力を見せる。
しかし、あくまでも肺呼吸の生物で、なおかつそれも僅か数分しか保たない。
故に断続的に呼吸をしなければならないのだが、水の中ではそれすらもままならない。
この祭壇のガーディアンあるリヴァイアサンとの戦闘中、息に限界を感じたフェルテは水を蹴って水面へ浮上し、顔をさらけ出した。
「ぷはぁっ、ハァッ、ハァッ、フゥー……」
最初は口で呼吸し、途中から鼻呼吸に移る。
アロウ、カノラ、メイプルは水中でも呼吸が可能な水陸両用タイプのマギアアームドを装備しているため、戦闘を継続しているし、陸戦タイプの砲撃特化型のジルダは可能な限りすぐに酸素を入れ替えられるようにポジショニングを維持して立ち回っている。
「スゥー、フゥー、スゥー……」
大きく息を吸って、再び水中へ。
リヴァイアサンは牙を剥いてアロウを噛み砕こうと襲い掛かるが、アロウは素早くスラスターを使ってリヴァイアサンの噛み付きを潜り抜け、魚鱗に覆われていない無防備な腹部にワイルドカットラスを斬り込ませる。
硬い魚鱗に守られていないそこはリヴァイアサンにとっての弱点らしく、ワイルドカットラスの刃は滑ることなく外皮を斬り裂いていく。
「(弱点は腹か!)」
肉質の柔らかさから、ここが弱点だと見立てたアロウはさらにワイルドカットラスを連続で振るい、叩き込んで行く。
リヴァイアサンは煩わしげに身を捩らせてアロウを弾き飛ばすものの、カノラが重ねがけしたガードハーデンによって大したダメージは受けない。
とはいえアロウは大きく弾き飛ばされてリヴァイアサンとの間合いを離されてしまい――その先にカノラがいる。
アクアスライムの柔軟な素材で作られた、彼女のマギアアームドが柔らかくアロウを抱き止めようとするが、しかし踏ん張りの効かない水中では、カノラもろともくるくると水中を回ってしまう。
「(ありがとう、カノラさん)」
呼吸は出来てもまともに喋れない中、アロウは是正することで礼を表し、カノラも「(大丈夫だよ)」と微笑んで頷き返す。
このやり取りだけで相手の感情が分かるのは、二人が中学時代からの付き合いの長さ故だろう。
体勢を崩していると見たのか、リヴァイアサンはアロウとカノラに襲い掛かろうとして、
高速で近付いてきていた複数の何かがリヴァイアサンの横腹にぶつかって連続爆発を起こし、リヴァイアサンは蹌踉めく。
見やれば、ジルダが左肩の魚雷で援護してくれたらしく、発射管のハッチから漏れる水泡が硝煙のごとく浮かぶ。
魚雷の弾数は少ないものの、直撃させれば破壊力は上々、また水中本来で発射すればある程度なら追尾してくれる。
手痛い爆撃を喰らわせてくれたジルダに、リヴァイアサンは眼を血走らせ、怒りに咆哮を上げる。
そこへ、機を窺っていたメイプルと、戦線に復帰してきたフェルテが切り込もうとするが、リヴァイアサンはゆらりと巨躯を翻してアロウ達から大きく距離を取ると、その場で動きを止め――青い魔法陣を展開した。
「(まさか、攻撃魔法!?)」
詠唱を阻止しなければと、アロウはフォノンメーザーガンを照射するものの、距離が遠いせいでまともなダメージにならず、リヴァイアサンの詠唱を止められない。
瞬間、リヴァイアサンの青い魔法陣が強く輝くと、強烈な水柱が勢い良く放たれ、アロウ達を呑み込んだ。
しかし、あくまでも肺呼吸の生物で、なおかつそれも僅か数分しか保たない。
故に断続的に呼吸をしなければならないのだが、水の中ではそれすらもままならない。
この祭壇のガーディアンあるリヴァイアサンとの戦闘中、息に限界を感じたフェルテは水を蹴って水面へ浮上し、顔をさらけ出した。
「ぷはぁっ、ハァッ、ハァッ、フゥー……」
最初は口で呼吸し、途中から鼻呼吸に移る。
アロウ、カノラ、メイプルは水中でも呼吸が可能な水陸両用タイプのマギアアームドを装備しているため、戦闘を継続しているし、陸戦タイプの砲撃特化型のジルダは可能な限りすぐに酸素を入れ替えられるようにポジショニングを維持して立ち回っている。
「スゥー、フゥー、スゥー……」
大きく息を吸って、再び水中へ。
リヴァイアサンは牙を剥いてアロウを噛み砕こうと襲い掛かるが、アロウは素早くスラスターを使ってリヴァイアサンの噛み付きを潜り抜け、魚鱗に覆われていない無防備な腹部にワイルドカットラスを斬り込ませる。
硬い魚鱗に守られていないそこはリヴァイアサンにとっての弱点らしく、ワイルドカットラスの刃は滑ることなく外皮を斬り裂いていく。
「(弱点は腹か!)」
肉質の柔らかさから、ここが弱点だと見立てたアロウはさらにワイルドカットラスを連続で振るい、叩き込んで行く。
リヴァイアサンは煩わしげに身を捩らせてアロウを弾き飛ばすものの、カノラが重ねがけしたガードハーデンによって大したダメージは受けない。
とはいえアロウは大きく弾き飛ばされてリヴァイアサンとの間合いを離されてしまい――その先にカノラがいる。
アクアスライムの柔軟な素材で作られた、彼女のマギアアームドが柔らかくアロウを抱き止めようとするが、しかし踏ん張りの効かない水中では、カノラもろともくるくると水中を回ってしまう。
「(ありがとう、カノラさん)」
呼吸は出来てもまともに喋れない中、アロウは是正することで礼を表し、カノラも「(大丈夫だよ)」と微笑んで頷き返す。
このやり取りだけで相手の感情が分かるのは、二人が中学時代からの付き合いの長さ故だろう。
体勢を崩していると見たのか、リヴァイアサンはアロウとカノラに襲い掛かろうとして、
高速で近付いてきていた複数の何かがリヴァイアサンの横腹にぶつかって連続爆発を起こし、リヴァイアサンは蹌踉めく。
見やれば、ジルダが左肩の魚雷で援護してくれたらしく、発射管のハッチから漏れる水泡が硝煙のごとく浮かぶ。
魚雷の弾数は少ないものの、直撃させれば破壊力は上々、また水中本来で発射すればある程度なら追尾してくれる。
手痛い爆撃を喰らわせてくれたジルダに、リヴァイアサンは眼を血走らせ、怒りに咆哮を上げる。
そこへ、機を窺っていたメイプルと、戦線に復帰してきたフェルテが切り込もうとするが、リヴァイアサンはゆらりと巨躯を翻してアロウ達から大きく距離を取ると、その場で動きを止め――青い魔法陣を展開した。
「(まさか、攻撃魔法!?)」
詠唱を阻止しなければと、アロウはフォノンメーザーガンを照射するものの、距離が遠いせいでまともなダメージにならず、リヴァイアサンの詠唱を止められない。
瞬間、リヴァイアサンの青い魔法陣が強く輝くと、強烈な水柱が勢い良く放たれ、アロウ達を呑み込んだ。
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