91 / 159
勇気ある者達
89話 三つのオーブを探せ
しおりを挟む
入口に当たる場所を通過すると、早速壁にぶつかった。二重の意味で。
大部屋だが、その部屋の半分は石壁に遮られている。
「石壁……ここは通れないのか」
一箇所だけ色の違う部分があるので、恐らくはこれが開くのかもしれない。
アロウは石壁の周囲を探るが、石壁を壊したり動かせるようなものは特に見当たらない。
が、よく見ると石壁には、何か嵌め込めそうな三つの窪みが並んでいる。
「これは……何かのキーかな?」
メイプルはアロウの隣からその窪みを見やる。
「この窪みに何かを嵌め込むんだと思うけど……」
「いずれにせよ、水路を渡って回り道をしなければならないようですね」
ルナが進言した通り、この大部屋には三つの水没した通路がある。そこを潜っていくようだ。
道中に現れるマーマンやマッドエスカルゴ、シーサーペントを撃破しつつ、ようやく水路から上がると、そこは行き止まりで、代わりに青い宝箱があった。
「……罠、かしらね」
それを見て、ジルダが最初に疑った。
「あぁ、パンドラボックスみたいな、宝箱のフリしたモンスターですか?」
ダンジョンではよくあるトラップだ。
モンスターが宝箱の中に潜んでいるのか、あるいは宝箱そのものがモンスターなのか。
「でも、本物の宝箱の可能性もあるよね?だったら、射撃して本物か偽物か試すのも、危ないんじゃない?」
もし宝箱が本物だったとしたら、射撃によって宝箱が壊れ、中身も台無しに、とメイプルも意見する。
「……だったら、俺が開けてみよう。ルナさん、もしこれがモンスターで、俺が不意打ちを受けたら援護してほしい」
「分かりました」
フォノンメーザーガンの銃口を向けつつ、ゆっくり宝箱に近付くアロウ。そのすぐ後ろをソニックレイピアを構えたルナが控える。
近付くだけでは反応はない。
宝箱の蓋に手を添え、そーっと開き、
開けた瞬間魔物が牙を剝いて頭をバクリ――といかれるようなこともなく。
水色の宝玉が箱の中に納められていた。
「ふぅ……本物で良かった」
アロウは安堵して、その宝玉を手に取る。
どうやら、これを三つ集めて大部屋の石壁の窪みに嵌め込むようだ。やはり宝箱を射撃しなくて良かった。
来た道を戻って来て、二つ目の水路へ。
小型モンスターを掃討しつつ、水路の奥行きに到達するが、そこに宝箱は無く、代わりに部屋に繋がっているらしい扉がある。
「これ、入ったら扉を閉められて、中ボス戦とか?」
扉に手を掛ける前に、アロウが止まる。
「それっぽいよね。最初は普通に宝箱があって、その次からは隠してるんだし」
メイプルもそれに同調している。
「中ボス戦ね。なら、ここはあたしに任せてもらっても?」
そこへ、ジルダが危険を買って出る。
「任せてって、一人で入るんですか?」
「点数稼ぎよ。少しは実力があるってところを見せないと、口先だけと思われるでしょう?」
「俺はそんなこと思いませんけど……」
わざわざ一人で行くよりも、全員で戦った方が楽なんじゃ、とアロウは止めようとするが、
「良いではないか」
意外にもフェルテが肯定した。
「ジルダに、我らの戦いに手を貸す価値があるかを確かめるには、ちょうどいい。これで"ちゅうぼす"とやらを倒せたならば良し、倒せなければそこまでということだ」
「……だ、そうよ。ちょっと行って来るわね」
有無を言わせぬまま、ジルダは扉を開けて入って行った。
大部屋だが、その部屋の半分は石壁に遮られている。
「石壁……ここは通れないのか」
一箇所だけ色の違う部分があるので、恐らくはこれが開くのかもしれない。
アロウは石壁の周囲を探るが、石壁を壊したり動かせるようなものは特に見当たらない。
が、よく見ると石壁には、何か嵌め込めそうな三つの窪みが並んでいる。
「これは……何かのキーかな?」
メイプルはアロウの隣からその窪みを見やる。
「この窪みに何かを嵌め込むんだと思うけど……」
「いずれにせよ、水路を渡って回り道をしなければならないようですね」
ルナが進言した通り、この大部屋には三つの水没した通路がある。そこを潜っていくようだ。
道中に現れるマーマンやマッドエスカルゴ、シーサーペントを撃破しつつ、ようやく水路から上がると、そこは行き止まりで、代わりに青い宝箱があった。
「……罠、かしらね」
それを見て、ジルダが最初に疑った。
「あぁ、パンドラボックスみたいな、宝箱のフリしたモンスターですか?」
ダンジョンではよくあるトラップだ。
モンスターが宝箱の中に潜んでいるのか、あるいは宝箱そのものがモンスターなのか。
「でも、本物の宝箱の可能性もあるよね?だったら、射撃して本物か偽物か試すのも、危ないんじゃない?」
もし宝箱が本物だったとしたら、射撃によって宝箱が壊れ、中身も台無しに、とメイプルも意見する。
「……だったら、俺が開けてみよう。ルナさん、もしこれがモンスターで、俺が不意打ちを受けたら援護してほしい」
「分かりました」
フォノンメーザーガンの銃口を向けつつ、ゆっくり宝箱に近付くアロウ。そのすぐ後ろをソニックレイピアを構えたルナが控える。
近付くだけでは反応はない。
宝箱の蓋に手を添え、そーっと開き、
開けた瞬間魔物が牙を剝いて頭をバクリ――といかれるようなこともなく。
水色の宝玉が箱の中に納められていた。
「ふぅ……本物で良かった」
アロウは安堵して、その宝玉を手に取る。
どうやら、これを三つ集めて大部屋の石壁の窪みに嵌め込むようだ。やはり宝箱を射撃しなくて良かった。
来た道を戻って来て、二つ目の水路へ。
小型モンスターを掃討しつつ、水路の奥行きに到達するが、そこに宝箱は無く、代わりに部屋に繋がっているらしい扉がある。
「これ、入ったら扉を閉められて、中ボス戦とか?」
扉に手を掛ける前に、アロウが止まる。
「それっぽいよね。最初は普通に宝箱があって、その次からは隠してるんだし」
メイプルもそれに同調している。
「中ボス戦ね。なら、ここはあたしに任せてもらっても?」
そこへ、ジルダが危険を買って出る。
「任せてって、一人で入るんですか?」
「点数稼ぎよ。少しは実力があるってところを見せないと、口先だけと思われるでしょう?」
「俺はそんなこと思いませんけど……」
わざわざ一人で行くよりも、全員で戦った方が楽なんじゃ、とアロウは止めようとするが、
「良いではないか」
意外にもフェルテが肯定した。
「ジルダに、我らの戦いに手を貸す価値があるかを確かめるには、ちょうどいい。これで"ちゅうぼす"とやらを倒せたならば良し、倒せなければそこまでということだ」
「……だ、そうよ。ちょっと行って来るわね」
有無を言わせぬまま、ジルダは扉を開けて入って行った。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる