【完結】マギアアームド・ファンタジア

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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勇気ある者達

82話 罠かもしれない

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「つ、連れ去られたって、どういうことだ?」

 アロウは努めて落ち着きを払い、カノラの応答を聞く。

『えぇとっ……なんか急に、身体に何かが刺さったと思ったら、麻痺の状態異常になっちゃって、わたしの近くにいたフェルテちゃんも麻痺になって、それで、『緑色のマギアアームドを着けた、黒い髪の女の人』がフェルテちゃんを連れ去って行っちゃったの……っ』

 カノラもどうにか落ち着きながら、先程までの一連の流れを説明する。

「……毒矢か、状態異常属性付きの投げナイフでしょうか」

 身体に刺さるもので、なおかつ神経毒を与えられるものという中から、恐らくその二つのどちらか、とルナは推測する。

『そ、そう、小さいナイフ、小さいナイフが刺さったら、麻痺になったの……』

 ルナの推測を肯定するカノラ。

「それでカノラさん、フェルテはその女の人に連れ去られて……マップ上だと、北の方から動いていないみたいだけど?」

 アロウはマップ上に表示されているフェルテの表示を指す。
 連れ去られたと言う割には、マップ上にフェルテの反応が生きているため、まだマリーネ孤島にいる可能性が高い。

『そ、それは分かんない。フェルテちゃんが抵抗してるかもしれないけど……』

「とにかく、逃げられる前にフェルテを助けに急ごう。スパイクタートルの討伐は、そのあとだ」

 アロウ、ルナ、メイプルの三人はスラスターを駆動させて、まずはカノラがいる海岸のエリアまで急ぐ。



 カノラと合流しても、フェルテの反応はまだ生きている。

「よし、まだ反応はある。急いでこのエリアに移動し……」

 移動しよう、と言いかけたアロウだが、不意にメイプルが「ちょっと待って」と制止する。

「カノラちゃんは相手の顔を見て、フェルテちゃんが連れ去られるのを見てたんでしょ?」

「は、はい、そうです」

 メイプルの問い掛けに頷くカノラ。

「だったらこれは、罠だよ」

「「「罠?」」」

 これは罠だと言うメイプルは続ける。

「だって、カノラちゃんの口封じをしないってことは、フェルテちゃんのことはすぐにボク達にも伝わる。だったら当然、追い掛けてくるってことも分かってるはず。なのに、ちょっと離れたエリアまで移動して止まってるなんて、いくらなんでも怪しい」

「……それじゃぁ向こうは『私達が追撃してくるのを待ち構えている』ということですか?」

 いち早くルナがメイプルの懸念を読み取った。

「多分、そうかもね。でも、だからって手をこまねいている場合でもないし……」

 モタモタしていては、フェルテがどうなるか分からない。
 かといってこのまま真っ直ぐ追い掛けては罠にかかる恐れもある。
 どうするべきか、とアロウはフェルテの反応が点在するエリアのマップを睨み――

 ふと、今フェルテがいるだろうエリアは、陸路だけでなく、水路にも繋がっていることに気付く。
 ならば……

「聞いてくれ、俺に作戦がある」

 彼が立案した作戦を聞き、それしか無いかと頷き合い、行動を開始する。

 アロウの作戦とは、果たして。
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