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勇気ある者達

67話 本当にDランクのプレイヤー?

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 オークを討伐しつつフィールド全体をぐるっと一周し、どのような素材を入手出来るかを確かめるつもりだとアロウが言えば、リックの方も了解してくれる。

 まずは海沿いのエリアから探索を開始し、道すがら植物類や鉱物類を採集していく。

 そうして素材を集めながらのクエストを開始して。

「ふむ、あれだな」

 ふと足を止めたリックは、前方を指した。
 熱帯雨林のように生い茂った草木の中に、二足歩行で歩く薄灰色の豚のような小型モンスター――オークが三頭ほど、鼻を鳴らしながら屯している。
 石斧や石槍で武装しており、その体躯もゴブリンよりも太く鈍重そうな印象を思わせる。
 どうやら、向こうはまだこちらに気付いていない。

「では、私が前に出て囮になろう」

「えっ、囮って……」

「アロウ君達、後詰めは頼んだよ」

「ちょっ、リックさん!?」

 アロウが制止するよりも先に、リックはスラスターを吹かして加速、右手のエナジーライフルを連射しながらオーク達へ接近する。
 突然の攻撃にオーク達はたじろぎながらも、向かってくるリックを攻撃しようと石斧や石槍を振りかざす。
 リックはその動きにくそうな装備でありながら軽々と立ち回り、オーク達の攻撃を容易く往なしていく。

「ほぅ、見かけばかりと言うわけでは無さそうだな」

 フェルテは、最小限の動作だけでオーク達の集中攻撃を躱しているリックの立ち回りを見て、彼への評価を改める。
 そうして、オーク達の注意がリックに集中してきたところを見計らって、アロウ達も飛び出す。

「行くぞ!」

「はい!」

「承知!」

 アロウの号令に、ルナとフェルテも続く。

 フェルテは俊敏な動きで瞬く間に一頭のオークの背後に回り込むと、

「迂闊だな」

 その背後に宝剣を一閃する。
 ブグゥォォォ、とまさに豚の断末魔のような吼声を上げて、オークは斃れる。
 突然の急襲の上からさらに強襲を仕掛けられ、残る二頭のオークは慌てて視界を右往左往している。

「当てます!」

 素早く狙いをつけたルナはエナジーライフルを二射、一発はオークの腹で弾け、もう一発は石斧を弾き飛ばす。
 丸腰になったところをアロウが飛び込み、

「はぁッ!」

 スラスターを使ったジャンプと共に、ラプターサーベルを勢い良く振り下ろし、袈裟懸けに斬り裂いた。
 まだ体力を削り切れていなかったか、オークは蹌踉めくものの、アロウは返す刀でラプターサーベルを薙ぎ払い、深々とオークの胴体を斬り裂いた。

 残る一頭のオークは、仲間を討たれた怒りをリックに向けて、石槍を突き出すものの、リックは突き出された切っ先を首を捻るようにやり過ごすと、

「フッ」

 エナジーライフルの銃口をオークの眉間に押し込み、発射。
 ゼロ距離で頭部をヘッドショットされたオークは、断末魔なく仰向けに斃れた。

 これでこのエリアのオークは全滅だ。

「ここは片付いたな」

 そう言いつつ、リックは自分が撃破したオークがドロップしたアイテムを拾う。

 しかし、真っ先に飛び出して囮になり、十数秒ほどとはいえ三対一の状況を無傷で切り抜けたのだ。

「(この人……ほんとにDランクに上がりたてなのか?)」

 アロウがそう疑念に思うのは、無理からぬことだろう。
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