【完結】マギアアームド・ファンタジア

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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勇気ある者達

62話 シンプルかつ率直に

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 ここ数日は、デゼルト砂漠の遺跡攻略のために連日ログインしていたので、今日から数日はログインを自重しよう、と考えていた三人は、放課後は速やかに下校。

 帰宅した徹矢は、自室でMAFのアプリを開き、現在登録されているパーティ一覧を閲覧する。
 これから決めるパーティネームの参考にするためだ。

「すごいな、2000パーティ以上も登録されてる」

 画面にズラリと記載される、パーティ名の数々。
 普通にカタカナだけのものだったり、英語表記、漢字による当て字など、多種多様な名前が並ぶ。

 参考はもちろんだが、これらと重複しないようにも考慮する必要がある。

「(とはいえ、俺達の共通点……)」

 徹矢と菜々花、結月は同じ高校。
 メイプルは分からないが、アバターの外見相応なら、同じ高校生だろう。
 フェルテはNPCなので、"リアルの人"が存在しない。

 共通点と言える共通点は、(フェルテが外見通りの年齢だと仮定すれば)いずれも年若いプレイヤーだろうということぐらいか。

「……意外と見つからないもんだな」

 思い返してみれば、小学校の体育の授業でティーボールのリーグ戦を行う際に、それぞれのチームの名前を考えたことがあったはずだが、その時は草野球のクラブに所属していた生徒が中心に取り仕切って決めていた。

「(あの時決めてたチーム名ってなんだっけ……ダメだ、忘れた)」

 一度アプリを閉じて、『カッコいいチーム名』と検索してみる。

 検索結果には、響きの良いフランス語やイタリア語などを組み合わせたものが上位に並んでいる。
 しかし、この辺りのネームバリューはMAFでもよく見られるため、ここから選んでも重複する可能性が高い。

「……こういうのって、意外とシンプルなほうが通りやすかったりするんだよな」

 とはいえ、動物の英読みを複数形にすると、プロ野球チームっぽくなってしまうだろうし、地元名とカタカナを組み合わせるとプロサッカーチームのようになってしまう。

 悩めど悩めど、一向に決まらない。



 パーティネームが決まらないままに、次のログイン予定日が来てしまった。

 酒場に集まる、アロウ達五人。

「結局決まらないな……」

 開口一番にアロウがそう溢す。

「困りましたね……」

 ルナも眉の端を落とす。

「女の子だけならかわいい名前でもいいんだけど、アロウくんもいるし……」

 男女比率で言うと、(フェルテを女性と仮定すれば)男1:女4 という形になる。
 創作物に詳しい者が見れば「ハーレムとか裏山けしからん」と言い出すかもしれないが、今のところ誰もそんなことに意識を向けていない。
 それよりもパーティネームを考えなくてはならないのだから。

「新参者のボクが決めるわけにもいかないし……」

 メイプルはこう言っているが、実は考えるのが面倒なだけではないのかと、アロウは思ったりする。

「そこまでして決めなければならないのか?」

 ふと、フェルテが何をそんなに困っているのかと言いたげに溜息をつく。
 そして、

「ならば我が決めてやろう。そうだな……勇気ある者……『ブレイヴス』でどうだ?」

 ブレイヴス――勇気ある者達。

「汝らは、何が待っているかも分からぬにも関わらず、進もうとする。無謀と言えば無謀だが……それは"勇気"が無ければならぬものだ」

 故にブレイヴスだ、とフェルテは簡単に決める。
 簡単で、しかし思いの外腑に落ちるものがあった。

「賛成に一票」

 真っ先にメイプルが賛成した。

「賛成」

「賛成です」

「わ、わたしも賛成」

 それに続くように、アロウ、ルナ、カノラも賛成。

「うむ。では、これより我らは『ブレイヴス』としよう。異論は無いな?」

 最後にフェルテが、異論はないかと確かめて、それも挙がらないことを確認。

 今日ここに、新たなパーティ『ブレイヴス』が誕生した――。
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