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謎の少女
47話 フェルテの実力
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クエストスタートから拠点を出てすぐのエリアで、ボスラプタスらしき姿を発見した。
子分のラプタスを二頭引き連れて、平原を闊歩している。
しかしボスゴブリンの時とは違い、アロウがそれに気付いた時には、既にボスラプタスも二人の存在を認知しており、ジリジリとこちらへ向かって来ている。
「しまった、気付かれたか」
出来れば不意打ちを仕掛けたかったアロウだが、この一触即発の状況で、フェルテは行動に出た。
「何を恐れる必要がある、倒せば良いのだろう?」
宝剣を抜くと、堂々と身構える。
それを見て敵対行動を取ったと判断したか、ボスラプタスは耳障りな咆哮を上げて威嚇し、取り巻きのラプタスもボスに同調する。
「倒せばいいって、それはそうだけどな、もっとこう……あぁ、もういいか、行くぞ!」
下手な小細工など不要。
襲い掛かってくるボスラプタスとラプタスに、アロウはエナジーライフルを連射、まずは子分の排除からだ。
光弾は二頭の子分の内の一頭に直撃、続けざまに放たれる光弾が一気にダメージを与え、撃破する。
これで二対二、数的不利ではなくなった。
あと少しでボスラプタスの間合いに踏み込んでくるだろうタイミングで、フェルテは自ら駆け出す。
ボスラプタスは向かってくるフェルテの頭に齧り付こうと、唾液を滴らせながら牙を剥くが、
「遅い」
するりと牙を躱し、ボスラプタスの斜め後ろに回り込みつつ宝剣を一閃、強靭な皮を容易く斬り裂き、斬り裂いたそこへ切っ先を突き込み、えぐり抜く。
グギャァァァッ、といきなりのダメージにたたらを踏むボスラプタス。
もう一頭の子分のラプタスがフェルテに襲い掛かろうとするものの、そこをアロウがインターセプト、エナジーライフルの光弾を割り込ませてラプタスを足を止めさせ、止めたところをラプターサーベルで斬り付けて撃破。
瞬く間に子分を失い、手痛いダメージまで食らわされたボスラプタスは一度大きく飛び下がって間合いを開ける。
「無駄な時間を食うわけにはいかぬ。一気に叩く!」
フェルテは地面を蹴り、ヒトのそれとは思えないほどの脚力で瞬時にボスラプタスとの距離を詰める。
あれだけの速さをスラスター無しで、なおかつ生身で行う。
「(フェルテって、けっこう強いな?)」
ボーンナイトに遅れを取ったと言う割には、それを感じさせない実力に、アロウは少し疑問を覚えたが、
「(まぁ、仲間になるための、イベントの演出か)」
と割り切る。
それよりも、今はボスラプタスの撃破だ。
フェルテを誤射しない位置からエナジーライフルで狙い撃ち、ボスラプタスの体表の鱗を焼き潰していく。
懐で暴れるフェルテと、遠くから確実に射撃するアロウ。
ボスラプタスがフェルテを攻撃しようにもアロウがそれを阻止し、逆にアロウを狙おうと思えばフェルテが張り付いてくる。
どちらを狙えばいいのかとボスラプタスが右往左往している間にも。
「終わりだ」
フェルテの袈裟懸けの一撃が、ボスラプタスの頭部を捉えた。
ついに力尽きたボスラプタスは断末魔を上げながら倒れ、複数の素材アイテムを残して消失する。
「お疲れさん、フェルテ」
「うむ、大したことは無かったな」
フェルテは宝剣を鞘に納める。
「どうした、素材アイテムとやらはいいのか」
「え?いや、フェルテはいいのか?」
フェルテも一緒に回収しなくていいのかとアロウは言うが、
「我がそれを持っていても仕方あるまい、汝が全て納めればいい」
「そ、そっか……」
微妙に納得いかないながらも、アロウは素材アイテムを集め、フェルテと共に帰還した。
子分のラプタスを二頭引き連れて、平原を闊歩している。
しかしボスゴブリンの時とは違い、アロウがそれに気付いた時には、既にボスラプタスも二人の存在を認知しており、ジリジリとこちらへ向かって来ている。
「しまった、気付かれたか」
出来れば不意打ちを仕掛けたかったアロウだが、この一触即発の状況で、フェルテは行動に出た。
「何を恐れる必要がある、倒せば良いのだろう?」
宝剣を抜くと、堂々と身構える。
それを見て敵対行動を取ったと判断したか、ボスラプタスは耳障りな咆哮を上げて威嚇し、取り巻きのラプタスもボスに同調する。
「倒せばいいって、それはそうだけどな、もっとこう……あぁ、もういいか、行くぞ!」
下手な小細工など不要。
襲い掛かってくるボスラプタスとラプタスに、アロウはエナジーライフルを連射、まずは子分の排除からだ。
光弾は二頭の子分の内の一頭に直撃、続けざまに放たれる光弾が一気にダメージを与え、撃破する。
これで二対二、数的不利ではなくなった。
あと少しでボスラプタスの間合いに踏み込んでくるだろうタイミングで、フェルテは自ら駆け出す。
ボスラプタスは向かってくるフェルテの頭に齧り付こうと、唾液を滴らせながら牙を剥くが、
「遅い」
するりと牙を躱し、ボスラプタスの斜め後ろに回り込みつつ宝剣を一閃、強靭な皮を容易く斬り裂き、斬り裂いたそこへ切っ先を突き込み、えぐり抜く。
グギャァァァッ、といきなりのダメージにたたらを踏むボスラプタス。
もう一頭の子分のラプタスがフェルテに襲い掛かろうとするものの、そこをアロウがインターセプト、エナジーライフルの光弾を割り込ませてラプタスを足を止めさせ、止めたところをラプターサーベルで斬り付けて撃破。
瞬く間に子分を失い、手痛いダメージまで食らわされたボスラプタスは一度大きく飛び下がって間合いを開ける。
「無駄な時間を食うわけにはいかぬ。一気に叩く!」
フェルテは地面を蹴り、ヒトのそれとは思えないほどの脚力で瞬時にボスラプタスとの距離を詰める。
あれだけの速さをスラスター無しで、なおかつ生身で行う。
「(フェルテって、けっこう強いな?)」
ボーンナイトに遅れを取ったと言う割には、それを感じさせない実力に、アロウは少し疑問を覚えたが、
「(まぁ、仲間になるための、イベントの演出か)」
と割り切る。
それよりも、今はボスラプタスの撃破だ。
フェルテを誤射しない位置からエナジーライフルで狙い撃ち、ボスラプタスの体表の鱗を焼き潰していく。
懐で暴れるフェルテと、遠くから確実に射撃するアロウ。
ボスラプタスがフェルテを攻撃しようにもアロウがそれを阻止し、逆にアロウを狙おうと思えばフェルテが張り付いてくる。
どちらを狙えばいいのかとボスラプタスが右往左往している間にも。
「終わりだ」
フェルテの袈裟懸けの一撃が、ボスラプタスの頭部を捉えた。
ついに力尽きたボスラプタスは断末魔を上げながら倒れ、複数の素材アイテムを残して消失する。
「お疲れさん、フェルテ」
「うむ、大したことは無かったな」
フェルテは宝剣を鞘に納める。
「どうした、素材アイテムとやらはいいのか」
「え?いや、フェルテはいいのか?」
フェルテも一緒に回収しなくていいのかとアロウは言うが、
「我がそれを持っていても仕方あるまい、汝が全て納めればいい」
「そ、そっか……」
微妙に納得いかないながらも、アロウは素材アイテムを集め、フェルテと共に帰還した。
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