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謎の少女

40話 遺跡の中はダンジョン

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 少女の目的地はやはり遺跡群の内部らしく、扉らしきものを開けて中へ入って行った。
 少しだけ間をおいてから、アロウ達三人も遺跡群の中へ進入する。

 遺跡群の中は薄暗く、まるで迷路のように幾筋にも分岐した通路となっている。

 コツ、コツ、コツ……と足音が不気味に反響する中、ルナは警戒しつつ辺りを見回している。

「さすがに遺跡の中にサボテンは無いとは思いますが……」

「というか、まるでダンジョンだな……」

 荒廃した遺跡、という割には内部の状態はそれほど廃れてはおらず、舗装されているとまではいかないが、あまり経年劣化の後が見られない。
 尤も、ゲーム内のダンジョンだからという都合もあるだろうが。

「何だか怖そう……ゾンビとかお化けとか出てきたりして……」

 ぴったりとアロウのすぐ後ろについているカノラ。

「あぁ、確かにアンデッド系のモンスターとか出てきそうだな」

 レイスとかリビングデッドとか、とアロウは知る限りのアンデッド系モンスターの名前を挙げる。

「こう、オブジェクトの棺桶からいきなりミイラ男が出てきたり、ありがちですよね」

 ルナもそれに頷いている。

「ア、アロウくんもルナちゃんもやめてよ、ほんとに出てきたらどうす……」

 どうするの、とカノラが言いかけたのが前触れだったのか、

 バァッ、といきなりアロウ達の前に白い何かが二体ほど降って来た。

「ふぇぁっ!?出たぁっ!」

 カノラは悲鳴を上げながら尻餅をつき、アロウとルナは咄嗟に臨戦態勢を整えるが、

「……こいつらは、『レイス』、かな?」

「レイス、でしょうか……?」

 目の前にいるのは、足のない真っ白な布のような身体 (霊体?)に「」鉤括弧のような腕、点々とした目と、べー、と伸ばした舌。
 恐らくはアンデッド系のモンスターである、レイスだと思われるが……

「ぁ……あれ?あんまり怖くないね?」

 カノラも小首を傾げながら、立ち上がる。
 まるで、絵本に出てくるおばけのような、剽軽というか可愛らしいデザイン。
 二体のレイスも、べーっべーっと舌を振り回してアロウ達を威嚇(?)しているばかりで、襲ってくるような様子もない。

「攻撃しなさそうだし、スルーしようか」

「そうですね」

「うん。おばけちゃん、ばいばい」

 カノラによって勝手に命名(?)されたレイスおばけちゃん達をすり抜けて、アロウ達は先に進む。

 素通りされたからか、レイス達はしょんぼりしながら消えていった。


 石壁の通路を進むこと数分。
 行き止まりらしき所に開きそうな扉を見つけたので、注意しつつも扉を開いてその部屋の中へ入ってみる。

 部屋の中は開けた場所となっており、戦闘が可能な程度の広さはある。
 部屋の中央辺りにいるのは、先程の少女。
 そしてその彼女と相対しているのは、骨だけの身体に武具を纏ったモンスター。

「ハァッ、ハァッ……くっ、もはや、これまでか……」

 すると、少女は荒くしていた呼吸のまま、力尽きたように倒れた。

「お、おいっ、君……!」

 彼女を助け起こそうとアロウは出入り口付近から飛び出し――その姿を骨の騎士――『ボーンナイト』が捕捉する。

 ケタケタと嗤うように骨を擦り鳴らしながら、アロウに襲いかかってきた。
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