35 / 159
謎の少女
34話 チャンプの貫禄
しおりを挟む
レールガンが巻き起こした砂煙を前に、オーディンの反応は早い。
すぐさま、砂煙越しにいるであろうカインへランスのマシンガンを連射しつつも急速バックホバー、砂煙から距離を取る。
どこから来るか。
砂煙を突っ切ってくるか、砂煙に注意を引かせた上で上空から来るか、あるいは……
『……そうだろうさ!』
瞬間、砂煙を吹き飛ばさんがごとく、"五筋の"火線がオーディン目掛けて襲い掛かる。
切り裂かれた砂煙の向こう側にいるのは、いつの間にか手にしていたエナジーライフルと腰部のレールガン、さらには蒼翼に内蔵されていた荷電粒子砲、合計五門の火砲を向けたカインの姿。
オーディンは支持脚を折り畳んで二足歩行形態に戻ると、足腰を踏ん張ってラウンドシールドを構え――一拍を置いて、ラウンドシールドの一点に一斉射撃が叩き込まれた。
鉄壁を誇るラウンドシールドの表面が融解し、歪な形へ変形してしまうが、カインの放った一斉射撃を受け切ってみせた。
『今のを受け切るか。さすがだよ、オーディン』
勝負あった、とは思っていなかったものの、真正面から受け切られるとは思えなかったカインは、驚いた様子もなくその堅固な防御力を称賛する。
『これくらいはお前に勝っておかなくてはな。……決める!』
使い物になりそうにないラウンドシールドを捨てると、オーディンは再びランスを構え直してカインへと突撃。
カインの一斉射撃は強力な決め手になり得るが、射撃の反動も重く、直後は機体制御のためにほんの少しだけ動きが止まる。
オーディンが狙っていたのはその隙。
『カインッ、覚悟ォ!!』
ランスの穂先は然りとカインへ向けられ、音速並みの速度を以て迫る。
瞬きひとつの余裕もない、その驚異的な速度。
これを前にしてもカインは慌てることなく微笑の仮面を崩さない。
潔く負けを認めたからではない。
むしろ、この状況に前にしてもまだ勝算があるかのようだ。
ランスの穂先がカインの身体を貫いた――かのように見えたが。
その実、カインはランスの穂先を左脇の下を潜らせるようにやり過ごし、ランスの槍身を左脇の下に挟んで、オーディンの身動きを封じていた。
『なんとっ!?』
『肉を切らせて骨を断つ、さ』
瞬間、カインはシャイニングセーバーを抜き放ち様にオーディンの喉笛へと切っ先を向ける――が、それは寸前で止められた。
『勝負あったな、オーディン』
『さすが、としか言えないな』
満足げな溜息をついたオーディンは、ランスの柄から手を離し、両手を上げて『降参』の意志を見せる。
それを確認したカインはシャイニングセーバーを降ろし、観客の前に振り返って、シャイニングセーバーを掲げた。
勝利宣言を前に、会場の歓声は頂点に達した。
『決まりましたァー!今回のエキシビションマッチの勝者は、やはりこの人カイン!強い、強いぞ!MAFチャンプの名は伊達じゃなぁい!!』
すぐさま、砂煙越しにいるであろうカインへランスのマシンガンを連射しつつも急速バックホバー、砂煙から距離を取る。
どこから来るか。
砂煙を突っ切ってくるか、砂煙に注意を引かせた上で上空から来るか、あるいは……
『……そうだろうさ!』
瞬間、砂煙を吹き飛ばさんがごとく、"五筋の"火線がオーディン目掛けて襲い掛かる。
切り裂かれた砂煙の向こう側にいるのは、いつの間にか手にしていたエナジーライフルと腰部のレールガン、さらには蒼翼に内蔵されていた荷電粒子砲、合計五門の火砲を向けたカインの姿。
オーディンは支持脚を折り畳んで二足歩行形態に戻ると、足腰を踏ん張ってラウンドシールドを構え――一拍を置いて、ラウンドシールドの一点に一斉射撃が叩き込まれた。
鉄壁を誇るラウンドシールドの表面が融解し、歪な形へ変形してしまうが、カインの放った一斉射撃を受け切ってみせた。
『今のを受け切るか。さすがだよ、オーディン』
勝負あった、とは思っていなかったものの、真正面から受け切られるとは思えなかったカインは、驚いた様子もなくその堅固な防御力を称賛する。
『これくらいはお前に勝っておかなくてはな。……決める!』
使い物になりそうにないラウンドシールドを捨てると、オーディンは再びランスを構え直してカインへと突撃。
カインの一斉射撃は強力な決め手になり得るが、射撃の反動も重く、直後は機体制御のためにほんの少しだけ動きが止まる。
オーディンが狙っていたのはその隙。
『カインッ、覚悟ォ!!』
ランスの穂先は然りとカインへ向けられ、音速並みの速度を以て迫る。
瞬きひとつの余裕もない、その驚異的な速度。
これを前にしてもカインは慌てることなく微笑の仮面を崩さない。
潔く負けを認めたからではない。
むしろ、この状況に前にしてもまだ勝算があるかのようだ。
ランスの穂先がカインの身体を貫いた――かのように見えたが。
その実、カインはランスの穂先を左脇の下を潜らせるようにやり過ごし、ランスの槍身を左脇の下に挟んで、オーディンの身動きを封じていた。
『なんとっ!?』
『肉を切らせて骨を断つ、さ』
瞬間、カインはシャイニングセーバーを抜き放ち様にオーディンの喉笛へと切っ先を向ける――が、それは寸前で止められた。
『勝負あったな、オーディン』
『さすが、としか言えないな』
満足げな溜息をついたオーディンは、ランスの柄から手を離し、両手を上げて『降参』の意志を見せる。
それを確認したカインはシャイニングセーバーを降ろし、観客の前に振り返って、シャイニングセーバーを掲げた。
勝利宣言を前に、会場の歓声は頂点に達した。
『決まりましたァー!今回のエキシビションマッチの勝者は、やはりこの人カイン!強い、強いぞ!MAFチャンプの名は伊達じゃなぁい!!』
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
【完結】勇者学園の異端児は強者ムーブをかましたい
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、pixivにも投稿中。
※小説家になろうでは最新『勇者祭編』の中盤まで連載中。
※アルファポリスでは『オスカーの帰郷編』まで公開し、完結表記にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる