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マギアアームド・ファンタジア

9話 フレンド登録

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 ふと、アロウとカノラの後ろにある転移装置から、他のプレイヤーが帰還してくる。
 ルナだ。
 あれからまもなくクエストクリアして、すぐに帰還してきたのだろう。

「あ、どうも……」

 ついさっきに会ったばかりではあるが、ルナは二人に会釈してきたので、アロウとカノラも会釈を返す。

「ルナさん。クエスト、お疲れ様です」

「お、お疲れ様です」

 ルナはクエストカウンターで報酬を受け取ると、すぐにアロウとカノラの元へ戻って来る。

「あの、お二人とも初心者さん、ですよね?」

「え、はい、そうですけど」

 初心者かどうかを訊ねて来たルナに、アロウは正直に答える。
 それを聞いたルナは、アロウとカノラの顔を見比べて、少し思案するような間を置いてから。

「その、もし予定とかが無いなら、私と一緒にクエスト受けませんか?」

 クエストの同行を誘ってきた。

「いいんですか?そりゃ、俺達からすれば願ったり叶ったりですけど……俺達、ほんとについさっき始めたばっかりで、全然何も分かってなくて」

 まだプレイ開始から30分も経っていないようなビギナー、それも二人もいるのだ。
 足手まといになるのではないかとアロウは遠慮しようとするが、

「大丈夫です。私もアロウさんやカノラさんと大差ありませんから。初心者同士なら、と思ったんですけど……ダメですか?」

「いや、ダメじゃないですよ。いいのかなって思ってただけで……カノラさん、ルナさんと三人でプレイするけど、いいか?」

 アロウは、一步後ろに控えている、カノラの意見も聞く。

「うん、わたしは大丈夫だよ」

 ルナのことをあまり警戒していないからか、彼女との同行に抵抗は感じていないらしいカノラ。

「えぇと……じゃぁ、一緒にクエスト受けますか」

 あっさりと結論は出た。

「良かった、ありがとうございます」

 ホッと胸を撫で下ろすルナ。

「とりあえず一人で頑張って進めてみましたけど、さすがにずっとソロプレイじゃちょっと寂しいかなって思ってて……」

 ユーザー同士の交流を求めていたと言う。
 確かに、初めて間もない初心者が一人だけでは、既存のチームやパーティに加わるのは難しい。
 そう言った場合は、自分と同じくらいのプレイヤーと肩を寄せて協力し合うケースが多い。

「あ、フレンド交換しましょうか」

 ルナは自身のコンソールを開き、何かをアロウとカノラへ送信する。
 受信を確認したアロウとカノラ側に『ルナさんよりフレンドデータが送信されました』のポップアップが表示される。

「フレンド登録か。えーと、登録する……と」

「登録したら、わたし達もルナさんに送信、だね」

 アロウとカノラは拙い手付きで、ルナにフレンド登録を返信する。

「はい、受け取りました」

 ルナの方も二人のフレンドデータを登録。
 そう言えばまだだったと、アロウとカノラ同士でもフレンドデータを交換する。
 これで、アロウ、カノラ、ルナの三人は、晴れてフレンドだ。
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