【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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魔法があれば脱獄も余裕です

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 大雑把に、体内時計ではあるが、あれから三、四時間は経っただろうか。

 日付変更の頃合いは、今ぐらいか?

 一応周囲を確認し、誰も近くにいないと踏んで、俺は静かに水属性の魔法陣を顕現、極微量の水を手錠の鍵穴に注ぐ。

 鍵穴に水を注ぎながら、それを零さないように気を付けつつ、同時に氷属性の魔法を顕現させ、水を注ぎつつも徐々に凍らせていくのだ。

 水温が0℃を下回り、カチコチと水が凍結を開始し――やがてパキンッという小気味良い音が鳴った。

 鍵の中が凍結によって圧迫され、内側から壊れたのだ。

 さぁ今度は逆だ、火属性の魔法を顕現、ライターくらいの火を凍った部位に当てて溶かしていく。一気に燃やしたら俺の手が燃えるからな。

 凍結した鍵穴が溶ければ、するりと手錠が開く。

 さて、次はこの鉄格子を破らないとな……と思ったら、足音が聞こえてきた。

 夜勤の巡回兵か?こんなところまでご苦労なこったな。
 手錠が外れているところを見せるわけにはいかない、俺はすぐに鉄格子に背を向けて腕を隠し、寝ているフリをする。

 ……しかし、巡回兵のそれにしては足音がやけに控えめだ。

 そして俺の背後で足音が止まる。
 手錠が外されていることに気付かれたか?

「お兄様……ッ」

「え?」

 俺は思わず起き上がってその声の主を確認する。

「良かった、ここにいたんですね……っ」

 その姿は見間違えようが無いし、声にも聞き違えようがない。

「シャル……?」

 シャルじゃねぇか!?
 驚きに声が上がるのを必死に抑えて、彼女の名を口にする。

「そうですっ、シャルです」

「おまっ、何でここに……?」

 本当に予想外だよ!?
 何のドッキリだよ心臓に悪いわ。
 
「もちろん、お兄様を助けにです」

「助けにって……あぁ、今は詮索すべきじゃないな」

 色々と疑問は絶えないが、それらは一旦全部片隅に蹴り飛ばしておく。

「シャル、ここの鍵があるのか?」

「え?ありませんけど……、……あ」

「おい」

 こら待ちんしゃい義妹よ、勢い勇んで来たのはいいが、肝心の状況打破はどうするつもりだったんだ。

「ご、ごめんなさい……」

「あぁ、それはいいんだ。別に鍵は要らないからな」

 シャルにそこから離れるように言い付けて、俺は火属性に加えて、風属性の魔法陣を同時に顕現する。
 小さな火球を風の中に閉じ込めて、それを鉄格子の蝶番に向けて放つ。
 ボンッという破裂音と共に蝶番が吹き飛び、支えが無くなった鉄格子が倒れる。
 火属性のエネルギーを風属性エネルギーで圧縮した、魔法爆弾とも言うべきものだ。

 俺を拘束するなら、魔封じ効果を帯びたものを使うべきだったな、ガルシアよ。

 さて、シャルもいることだし、おさらばするとしますか。

 というわけで、



 ギャレット家の邸の異変に最初に気付いたのは、アルフレッドが幽閉されている地下牢に最も近いところにいた衛兵だった。

 なんだかきな臭い。物理的にと言うか、嗅覚的に。
 以前にも似たような臭いを嗅いだような……
 嫌な予感がしたのか、急ぎ足で地下牢へ続く階段を降ろうとしたが、

 階段があったそこは濛々と炎が自己主張していた。

「……か、火事だ、いや、アルフレッド様が逃げたぞぉぉぉぉぉ!?」

 火事が起きていることと、アルフレッドが (恐らく)脱獄したこと、どっちを優先しようとした結果、後者を選んだ衛兵。
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