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学問プランニング

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 クリスさんお手製のサンドイッチをいただきながら、今後の予定と言うか計画を話し合う。

「急かすつもりは無いのだけど、学問所の授業はいつぐらいから始めるのかしら?」

 授業開始がいつからか。
 さすがに明日明後日すぐには無理だな。 
 と言うか、修学経験があるだけで教師役をやるってのもなかなか無茶な相談を引き受けたよな、俺。

「んー、今日は居住区の掃除だけで手一杯になるでしょうし、明日は教室の掃除と教材の確認。それと、今学問所で授業を受けている子ども達の人数と年齢層、加えて現在の授業内容の確認と、今後の授業方針の決定も必要ですね」

 何せこっちはまだ何も分かってないんだ。
 何が必要なのか、不要なものは何か、そもそも授業を受けに来る子ども達の年齢はいくつなのか、それが何人なのか。

 教師役なんてやったこと無いとは言え、『生徒から見た視点』なら分かるからな。
 そこから想像していけば、どのくらいの準備が必要なのかの大凡の予想がつく。 

「その辺をベン村長と再相談しつつになるから……早くてもあと三日後くらいになるかと」

「……驚いたわ、もうそこまで考えていたなんて」

 それくらいの前準備くらいは当然だろうと思っていたんだが、何故かクリスさんは驚いたように目を見開く。

「そりゃぁ、ある程度の目処をつけた上での計画に沿った授業じゃないと、効率が悪いでしょう」

 勉強だって長時間やりゃいいってもんじゃない。
 教科書を丸暗記するのに五時間かけるくらいなら、要点纏めたところだけに一時間かける方が身に付きやすいし、記憶にも長く定着する。
 学生の鬼門である定期考査だって、やり方ひとつで簡単に通り過ごせるものさ。高成績を望むなら相応の勉強量もまた別に必要になるがな。

「さすが……首席卒業者は頭の作りからして違うのね」

「そこまで大して頭を使っているわけじゃないんですが……」

 あぁそうです、と俺は掃除中に考えていた授業プランの一部を明かす。

「この村で、まだ文字の読み書きや、足し算引き算が出来ない子どもはどれくらいいますか?読み書きが出来る子と、まだ出来ない子とで授業を二分割しようと考えていまして」

「えぇと……確か、五人くらいだったかしら。年齢もまだ五、六歳の子達だけど」

 ふむ、五人くらいか。
 それなら何とかなるかな?

「その子達の指導は、シャルに任せようかと」

「わ、わたしですかっ?」

 急に名前を挙げられて、シャルは背筋をピンッと伸ばして反応する。

「そうだ。文字の読み書きや、簡単な足し引き算を教えるぐらいなら出来るだろう?」

 小学生一年生くらいの授業だ。
 仮にも貴族の家で過ごしていたんだ、まともな学が無いとは言ってもそれは貴族の中で比較すればの話だ。
 シャルもそこまで頭が悪いわけではないし、勉強できる環境がまともじゃなかっただけで、むしろ理知的な方だと思う。
 それに、小さい子どもが相手ならシャルだって何とか出来るはずだし。

「そ、それくらいなら……頑張りますっ」

 うん、いい返事だ。
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