【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

文字の大きさ
49 / 76

「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」

しおりを挟む

 挨拶回りをしつつ、ベン村長宅に帰宅。
 ベン村長の奥さんから「おかえりなさい」と出迎えられた時、俺はまたしても涙腺が垂れ流しになりかけたが、今度はぐっと堪えられた。
 が、

「……ぅっ、ぐすっ……」

 なんと今度はシャルが泣き出してしまったではないか。
 一体何が起きたのかと奥さんが狼狽えている。

「シャル、お前まで今度はどうしたんだ?」

「ち、ちが、違うんです……っ、その、「おかえりなさい」って初めて言われて……う、嬉しくてっ……っく……」

 そうか。
 シャルが"シャルロット"としてギャレット家にいた時は、誰も彼女のことを見送りいってらっしゃい出迎えおかえりなさいも無かったのだ。
 その暖かさを今初めて知って、感極まってしまったのか。

 そんな嬉し泣きをするシャルを、クリスさんはそっと抱き寄せた。

「お兄さんと二人だけじゃ寂しかったのね……大丈夫よ、これからは私達がいっぱいお見送りも、お出迎えもしてあげるわ」

「ぅっ、あひがとうごじゃぃましゅぅっ……」

 ちくしょうそんなお涙頂戴なシーンを見せるなよ、せっかく再構築された涙腺がまた決壊するだろうが。



 涙でぐしゃぐしゃになったシャルを席につけて、ゆっくり落ち着きましょうということで紅茶をいただいていた。
 クリスさんと奥さんは夕食作りにかかり、俺とシャルは紅茶を前にベン村長と三者面談だ。

「アルフさん。もし良ければですが、シャルさんは一時こちらに住まわせましょうか?」

 ベン村長は、そのような提案を持ち寄せた。

「もちろん強制ではありません。ただ、私見で申し訳ないですが、シャルさんはずっと寂しい思いをされていたのではないかと。親代わりとまではいきませんが、少しでも寂しさを埋められるのなら」

 確かに。
 シャルの実母は、シャルロットが生まれてすぐに処刑されてしまった。
 実父は俺の父上であるガルシア・ギャレットだが、あの男がシャルに対して父親らしいことをしていたとは思えない。母上も然りだ。
 ……かく言う俺も、"俺"がアルフレッドに憑依するまでは、兄貴らしいことなどまるでしていなかったけどな。

 シャルは親の愛情と言うものを知らないのだ。

 それを見て取ったベン村長は、一時的だけでもシャルをここで預かりましょうかと提案してきたのだろう。
 ベン村長と奥さんだけではない、クリスさんと言う姉貴分もいるのだ。
 シャルは窺うように俺とベン村長の顔を見比べている。迷っているんだろうな。

「シャル。これはお前が自分で決めるんだ。俺と一緒がいいか、ずっとでは無いがここに住むか。俺は口を挟まない。自分で決めていいんだ」

「お兄様……」

 シャルは、考えを集中するために目を閉じた。
 ややあって。

「……いえ、わたしはお兄様と一緒にいます」

「そうか」

 それがシャルの答えなら文句は言うまい。
 だが、

「で、ですけど……その、たまになら、ここにお邪魔してもいいでしょうか……?」

 うん、やっぱり迷いまくってたんだな。
 これは妥協案というものだろう。
 基本は俺と一緒に暮らして、たまにこちらでお世話になると。

「もちろんですシャルさん。いつでも遊びに来てください」

 ベン村長もシャルの妥協案を聞いて、微笑ましく頷く。

 ほんと、この人達には頭が上がらないな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...