【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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さらば義妹よ(一時的に)

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 シャルロットが焼菓子を美味しそうに、本当に美味しそうに平らげていくのを、紅茶を片手に眺めていたら、あっという間に時間が過ぎていた。
 そろそろ執務に戻らなければまずい時間だ。
 くっ、こんなに可愛らしい義妹を眺めていられる時間が有限とは……!
 出来る事なら、焼菓子を頬張るシャルロットの頭をなでなでしながら、口元が汚れたら拭いてあげたり、あわよくば『あーん』をしてあげたり……

 ん?これは義妹にしてやって普通だよな?

 一瞬「あれこれ何だか恋人同士っぽくね?」と思った俺はきっと執務に疲れているんだ。そうに違いない。

「さてと、俺はそろそろ執務に戻るとするか」

 紅茶を飲み干して、カップをソーサーに置いてから俺は席を立つ。

「あっ……お、お兄様……」

 ふと、シャルロットが呼び留めてきたので振り返ってやると、どことなく恥ずかしそうに、

「そ、その……お仕事、頑張ってください」

 と言ってくれた。

 うん!最高だ!!
 その一言をもらえるだけで俺は何徹だって出来るぞ!

「あぁ、頑張るとしよう」

 またも顔がニヤけそうになる表情筋を引き締めて、"お兄様"らしい微笑で応じてやる。

 よしやるぞ、ふんすっ。



 残る執務を片付けながら、俺は思考を回す。

 恐らく……この邸宅内でシャルロットの味方になってくれる人は、俺以外にいない。

 俺がシャルロットの近くにいる内は、権力を笠に着てシャルロットへの待遇を改善するように呼び掛けられるが、今のように俺がいない時に、シャルロットはどうなっているのか、それが分からないのが気掛かりだ。

 こうして俺の目が届かない間にも、シャルロットは……なんて考えただけでもどかしい。

 と言うか、ここの使用人達は一体どんな精神構造をしてやがるんだ。
 生まれはあまり関心できるものではないだろうが、だからといって女の子にあんな虐待行為をしていて、良心の呵責と言うものが無いのか。

 ……よくよく思い返せば前世の日本でも、毎年虐待で幼児が死亡したことや、イジメが原因で自殺した学生は、(新聞やニュースで情報統制されているとはいえ)千人以上いる。

 少子高齢化の原因は、行き過ぎた男女平等――女性へのバリアフリーに傾注するあまり男性への配慮が蔑ろにされている女尊男卑とも言うべき社会体制――よりも、未来に花咲く芽がこうして踏み潰され、焼き払われていることだろう。

 っといかんいかん、これはそれはともかくだ。

 使用人達全員を一人ひとり呼び出して(頸を)締め上げて調教してやってもいいが、やり過ぎれば俺までもが陰湿行為の対象……いや下手したら暗殺とかされかねん。

 不満を募らせれば、人はいとも容易く他人を殺せるようになってしまうからな。

 だが分かるとすれば、シャルロットの居場所はここにはない。

 しかし、何の力も無い少女が一人で外の世界に出たところで野垂れ死ぬか、性欲を持て余したケダモノに死ぬまで(自主規制)されるのは火を見るより明らかだ。

 今のシャルロットは、まだ誰かに守ってもらわなければならないんだ。

 そして今、それが出来る人間は俺しかいない。

 だ、と、すれば。
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