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義妹はお天使さま

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 全く、全くもってこいつらはクソだな。
 入浴と清潔な着替えを用意しろとは言ったが、『タオルは用意しなくてもいい』と揚げ足を取って来やがった。ふぁっきんしっと。
 シャルロットが風邪引いたらどうするつもりだ?
 きっと病原菌扱いでもするんだろうが……

 胸 ク ソ 悪 い っ た ら ね ぇ わ 。

 おかげで俺は二度手間三度手間、しかも不本意な悪役ムーブまでかまさなきゃいけなくなったじゃねぇかよ。
 でもなぁ、こう言う奴らはちゃんと力で言うことを聞かせないとならないって言うのは、ざまぁ・もう遅い系のラノベで学んでるんだ。
 苛立ちもあったとは言え、女性の顔面にハイキックしちまったよ。俺ちょっと反省。

 すぐさまメイド達に新しい着替えとタオルを持ってこさせ、余計なものや足りないものが無いかを入念にチェックしてからシャルロットの元へ持っていく。

「シャルロット、いるな?」

「は、はい、お兄様……」

 呼び掛ければ、躊躇いながらもすぐに反応してくれるシャルロット。ほんと良い子だよ。

「新しい着替えとタオルを持ってきたぞ。早く身体を拭いて着替え直すんだ」

「……ごめんなさい」

 今持って来た着替えは何も問題無いはずだが、何故かシャルロットは申し訳無さそうに謝ってきた。

「どうしてお前が謝るんだ?」

「そ、その……お兄様のお手を、煩わせたので……」

「いや、確かに手を煩わせたと言えば、それは間違いではないんだが。お前のせいじゃないだろう」

 俺を煩わせたのはどっちかと言うと、シャルロットへの嫌がらせ行為に余念がない奴らだよ。

「ですけど……」

 うーん、気持ちは分からんでもないけど、ごめん、今のシャルロットはちょっとだけめんどくさい。
 何でもかんでも自分が悪いように捉えてしまっているな、この邸宅で虐待生活を続けていたのでは、そうなるのもやむ無しか。

「あー、じゃぁアレだ。貸しひとつだ。また今度、違う形で何かしてもらう。だから、今は早く身体拭いて着替える。せっかくのお茶が冷めるからな」

 シャルロットに着替えとタオルを強引に押し付けると、すぐにドアを閉じる。
 さすがに義妹の着替えまで監視するわけにはいかんよ。そこまでやったらもう義兄妹の枠を超えちまう。

 ドアを閉じてから三分ほど経ってから、ドアに隠れるかのようにそっとドアが開けられた。

「お、お待たせ、しました……」



 は?
 なんか俺の目の前にお天使さまがいるんですが。

 荒れ放題だった黒髪を丁寧にして、入浴もさせて、ちゃんとした服を着せるだけで、こんなにも変わるものなのか!?
 あぁもうハッキリ言うぞ。

 可愛い!!

 俺の義妹がこんなに可愛いわけある!!

「よし、それじゃぁ中庭に行こうか」

 脳内が『可愛い』で埋め尽くされるのを押し隠しつつ、俺はシャルロットを連れて中庭へ向かった。

 ……ふふふ、顔のにニヤけがおさまらん、変態だな俺は。
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