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彼の事情 No.3〔八野 深弦の場合〕
彼の事情 No.3〔八野 深弦の場合〕4
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なのに
「転校?」
親からのその一言で三春との未来が崩れ去ってしまった。
「そんな…」
それは自分が小学5年生の時だった。
三春と離れてしまう
いの一番に考えたのがその事だった。
親に泣いて縋って嫌だと言っても聞き入れてなんてもらえるわけがないし
だからと言って自分一人がここに残るなんて小学5年にしか満たない自分じゃ認めてもらえるわけもない。
親に付いて行くしか選択肢がなかった。
三春にどう告げようかと悩んで、でもこれは好機だとも思えたのだ。
転校する事で、距離が遠くなることで
どれほど三春の中で自分の存在が占めているのか確認が出来る。
もし三春が泣いてしまったら
優しく抱きしめて大丈夫だよと、俺はいつでも三春の事だけしか考えてないと、
どこにいても三春だけだと…好きだと伝えようと思った。
そう思ったら転校も悪い話ではない気がしてきた。
そりゃ会えなくなるのは嫌だし、三春に俺以外の親友的な奴が出てこないとも限らない。
不安がないわけじゃない。
それでも
三春の心の中を知りたい欲求の方が勝った。
三春から俺を欲する言葉や態度が見てみたかった。
だから…
「転校するんだ…来週」
三春に言うのは今日だと決めていた。
担任や親には友達には言わないで、雰囲気を悪くしたくないんだと説得した。
しんみりした空気を一か月もさせるわけにはいかないでしょ?と暗に告げておいたのだ。
担任もそうだなと言って了承したくれた。
それくらい自分の価値と言うのを俺は理解していた。
あと周りから煩くあれこれ聞かれたくもなかったから。
クラスのみんなには引っ越す前日に
三春には一週間前に告げようと思っていたのだ。
「ごめんね三春…急にこんな話して」
「転校?」
「うん。両親の都合で、ちょっと九州の方に転勤になっちゃったんだって」
「そうなんだ?」
「あのね三春」
「なに?」
意を決した俺は両手で三春の手を握った。
「僕が転校しても、友達でいてくれる?ずっと僕の事を想っててくれる?僕は、三春だけなんだ
三春がいてくれたらそれでいいんだ。たとえどんなに離れていても、三春が僕を想ってくれてるならそれだけで…」
期待してた
三春はきっと笑顔で俺を見て頷いてくれると。
三春と俺の絆は途絶えるわけがないのだと。
そんな根拠のない自信があった。
「転校?」
親からのその一言で三春との未来が崩れ去ってしまった。
「そんな…」
それは自分が小学5年生の時だった。
三春と離れてしまう
いの一番に考えたのがその事だった。
親に泣いて縋って嫌だと言っても聞き入れてなんてもらえるわけがないし
だからと言って自分一人がここに残るなんて小学5年にしか満たない自分じゃ認めてもらえるわけもない。
親に付いて行くしか選択肢がなかった。
三春にどう告げようかと悩んで、でもこれは好機だとも思えたのだ。
転校する事で、距離が遠くなることで
どれほど三春の中で自分の存在が占めているのか確認が出来る。
もし三春が泣いてしまったら
優しく抱きしめて大丈夫だよと、俺はいつでも三春の事だけしか考えてないと、
どこにいても三春だけだと…好きだと伝えようと思った。
そう思ったら転校も悪い話ではない気がしてきた。
そりゃ会えなくなるのは嫌だし、三春に俺以外の親友的な奴が出てこないとも限らない。
不安がないわけじゃない。
それでも
三春の心の中を知りたい欲求の方が勝った。
三春から俺を欲する言葉や態度が見てみたかった。
だから…
「転校するんだ…来週」
三春に言うのは今日だと決めていた。
担任や親には友達には言わないで、雰囲気を悪くしたくないんだと説得した。
しんみりした空気を一か月もさせるわけにはいかないでしょ?と暗に告げておいたのだ。
担任もそうだなと言って了承したくれた。
それくらい自分の価値と言うのを俺は理解していた。
あと周りから煩くあれこれ聞かれたくもなかったから。
クラスのみんなには引っ越す前日に
三春には一週間前に告げようと思っていたのだ。
「ごめんね三春…急にこんな話して」
「転校?」
「うん。両親の都合で、ちょっと九州の方に転勤になっちゃったんだって」
「そうなんだ?」
「あのね三春」
「なに?」
意を決した俺は両手で三春の手を握った。
「僕が転校しても、友達でいてくれる?ずっと僕の事を想っててくれる?僕は、三春だけなんだ
三春がいてくれたらそれでいいんだ。たとえどんなに離れていても、三春が僕を想ってくれてるならそれだけで…」
期待してた
三春はきっと笑顔で俺を見て頷いてくれると。
三春と俺の絆は途絶えるわけがないのだと。
そんな根拠のない自信があった。
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