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彼の事情 No.2〔七原 郁巳の場合〕
彼の事情 No.2〔七原 郁巳の場合〕7
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仮にもあの匿名だ。
自分の事は自分でするのが好きな奴ではあるけど使える物は猫の手ですらぞんざいに扱う。しかも使い捨てだから質が悪い。
そんな奴がわざわざ自分から動いていて剰え俺に頼るなんて、それこそ有り得ない話だった。
「………なーんか、腑に落ちないよねぇ…」
身元不明
年齢不詳
分かってるのは性別だけ。しかもその情報すらどこか危うい。
断定とまではいかないのが気に入らない。
「匿名に監視でも付けよっかなぁ?でもすぐにバレそーだよね。」
下手なやり方ではあの聡い相手に感づかれてしまう。
「自分で現地調査が1番手っ取り早い方法かもね…ま、いっか、どーせヒマだし」
真峯は田山にベッタリで集会は週一程度にしかやらなくなった。
統率する頭がこんなんじゃRIZEもそろそろ内部分裂が起きても可笑しくない状態だろう。
ま、そっちのほうが個人的には楽しいからいいけど。
「分裂したらまたどっか他のチームに入れてもらおっかなー?」
それとも本当に個人だけで好き勝手に動いてみるのも面白いかもしれない。
そう遠くはない未来を想像しながらパソコンのモニターを見つめていた。
それからすぐに俺は単身で潜かに桜崎を監視し、果ては北星高校にまで忍び込んだりもしていた。
そして遂に【観察】の産みの親である吉野 三春に辿り着いたのだった。
彼は桜崎の通う高校と同じ学校の2年。
家庭は極一般的な中流家庭、その他も含め調べれば調べる程とにかく突出するとこが皆無な男だった。
桜崎が吉野三春の近くに居たから情報収集もこんなに苦戦したのだと思うが、
「なにこれ、つまんねーの」
別に隠さなくともいい情報ばかりの上に噂にすら聞いた事もない一般人。
俺達とは住む世界がまるで違う人間。
桜崎はこんな平々凡々な男のどこに惹かれたのか全く分からないが今でも吉野の傍で動いている。
「ほんとーに、もしかしたらそっち系にいっちゃったのかよ匿名は」
液晶画面に映し出された吉野三春の学生証明写真を見つめる。
「…………接触、しちゃおっかなー…」
その興味本意が
俺の最愛の人へと繋がる第一歩だったなんて
その時はまだ知らなかった。
「好きだよ吉野。桜崎なんか捨てて俺と組めばいいのに。俺とだけ、ずっとずーっと一緒に居ればいいのにねー」
口癖のように吉野を欲するようになるなんて
この時の俺には夢にも思ってなかったよ
ほんとありえないよねー
もう好きすぎて頭おかしくなりそう
なんてさ。
END
自分の事は自分でするのが好きな奴ではあるけど使える物は猫の手ですらぞんざいに扱う。しかも使い捨てだから質が悪い。
そんな奴がわざわざ自分から動いていて剰え俺に頼るなんて、それこそ有り得ない話だった。
「………なーんか、腑に落ちないよねぇ…」
身元不明
年齢不詳
分かってるのは性別だけ。しかもその情報すらどこか危うい。
断定とまではいかないのが気に入らない。
「匿名に監視でも付けよっかなぁ?でもすぐにバレそーだよね。」
下手なやり方ではあの聡い相手に感づかれてしまう。
「自分で現地調査が1番手っ取り早い方法かもね…ま、いっか、どーせヒマだし」
真峯は田山にベッタリで集会は週一程度にしかやらなくなった。
統率する頭がこんなんじゃRIZEもそろそろ内部分裂が起きても可笑しくない状態だろう。
ま、そっちのほうが個人的には楽しいからいいけど。
「分裂したらまたどっか他のチームに入れてもらおっかなー?」
それとも本当に個人だけで好き勝手に動いてみるのも面白いかもしれない。
そう遠くはない未来を想像しながらパソコンのモニターを見つめていた。
それからすぐに俺は単身で潜かに桜崎を監視し、果ては北星高校にまで忍び込んだりもしていた。
そして遂に【観察】の産みの親である吉野 三春に辿り着いたのだった。
彼は桜崎の通う高校と同じ学校の2年。
家庭は極一般的な中流家庭、その他も含め調べれば調べる程とにかく突出するとこが皆無な男だった。
桜崎が吉野三春の近くに居たから情報収集もこんなに苦戦したのだと思うが、
「なにこれ、つまんねーの」
別に隠さなくともいい情報ばかりの上に噂にすら聞いた事もない一般人。
俺達とは住む世界がまるで違う人間。
桜崎はこんな平々凡々な男のどこに惹かれたのか全く分からないが今でも吉野の傍で動いている。
「ほんとーに、もしかしたらそっち系にいっちゃったのかよ匿名は」
液晶画面に映し出された吉野三春の学生証明写真を見つめる。
「…………接触、しちゃおっかなー…」
その興味本意が
俺の最愛の人へと繋がる第一歩だったなんて
その時はまだ知らなかった。
「好きだよ吉野。桜崎なんか捨てて俺と組めばいいのに。俺とだけ、ずっとずーっと一緒に居ればいいのにねー」
口癖のように吉野を欲するようになるなんて
この時の俺には夢にも思ってなかったよ
ほんとありえないよねー
もう好きすぎて頭おかしくなりそう
なんてさ。
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