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ハタセ

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彼の事情 No.1〔桜崎 圭の場合〕

彼の事情 No.1〔桜崎 圭の場合〕4

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「なんの?」

「今更とぼけたって無駄っすよ先輩。その写ってる写真の、あなたの仲間に入れてほしいんです」

「ああ、それは………嫌だなぁ」

「なんでですか?」

脅されていると言うのにまさかの拒否を示してきた。
この男は自分が置かれている状況をはたして理解しているのか?

「これは趣味でやってる事だから」

「だったら俺もそれを趣味にしますよ」

「要らないよ」

「…………………………はい?」

会話が成り立っていない。
これも彼の特徴なのだろうか?

「確かにこれは俺の趣味だけど、仲間は要らない。この事で話し合う仲間が欲しいわけじゃないから。だから仲間にする以前の問題。お前がこれを趣味にするのはそっちの勝手で俺が意見する事じゃないけど、それが俺含めてと言うのなら話は別。一人でやってくれ。俺は単独で行動したいし、趣味の時間を誰かに邪魔されたくはないんだ。」

「…………へぇ?」

案外よく喋るんだなぁと俺はその時そんなどうでもいいことを考えていた。

「ああそれと、バラすならバラすで一向に構わないから勝手にどうぞ。俺はそれで別に何を失ってもいいし怨んだりもしないから。」

「面白い人ですね先輩って」

さて、誉め言葉と受け取るか
それとも馬鹿にされてると受け取るか
あなたはどっち派ですか?吉野先輩。

「…ま、他人が俺をそう思うならそーなんじゃね?」

俺は自分自身を評価なんて出来ないからな
と先輩が言った。

その時
ああ、この人なんだと俺は悟った。
俺が求めていた【興味】の対象は吉野三春なんだと。

「分かりました。じゃあ勝手にします。それと写真、端っからバラす気なかったんでこちらで処分しときますね。それとも心配ならネガを先輩にお渡ししておきましょうか?」

「要らない。そっちの好きにすれば?」

「りょーかいっす」

そんな会話をして俺達は別れた。

でもその日の夜にはもう俺は吉野三春の傍に居たけどね。
まぁ最初は邪険に扱われたり、まかれたりもしたけど
俺が全く諦める気配をみせず、しぶとく追い回したおかげか今では少しの信頼を得ている立場にまで登り積めた。
さすがに危機的状況になりそうな場合はあの人は俺なんか置いて一人でさっさと逃げてしまうわけだが。
そんなとこも面白いので俺は当分吉野先輩と一緒に居るんだと思う。
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