□ベストアンサー□

ハタセ

文字の大きさ
上 下
5 / 28

彼等について5

しおりを挟む
これでも【観察】において、中学の時から今まで周囲や観察対象に絶対バレないように関わらないようにと周到にやってきたつもりだ。
桜崎の事もあったが俺は彼の事はそれなりに評価はしていた。
俺を燻り出させない為に必要以上に周りに気を配り、俺が該当しそうな証拠は念入りに消していた彼がはたしてそんなケアレスミスをするだろうか?
どっかしら俺の情報が漏れない限り俺の事を知るのは不可能なはずだった。
なのにバレた。
何故ここで?しかもこのタイミングで?

「………分かった。貸せ」

桜崎から携帯を受け取ると俺は耳にそれを当てた。

「もしもし?」

<あ!やぁーっと出てくれたねー吉野 三春くん♪>

俺のフルネーム。
間違いなく俺自身の情報が漏れている事を確信した。

「なんで俺の名前知ってんですか、七原さん」

<ちょっとね、頑張っちゃった俺。君の事調べるの大変だったんだよー?だってさぁ、いくら圭くんに聞いても問い詰めても一向に君の事に関しては口を割らないんだもん。君の存在の何もかもを隠蔽または擬装するし。だから単独で君の事調べさせてもらったんだよねー。まぁここまで来るのに予定外なほど時間掛かっちゃたけど。やっぱさぁ、君達に協力してる身としては知っておきたいじゃない。自分がどこの誰に尽くしてんのかってさー>

「それなら桜崎だけで充分でしょう。俺は関係ない」

<でも【観察】を始めたのは三春くん、君でしょ?設立者を知っておくのは手下として当然の義務だと思うけどねー>

「…………何が目的ですか?」

俺が覗き込んでいる双眼鏡に七原の笑顔が見えた。

<俺と直接会ってほしい>

「………嫌だと言ったら?」

<今すぐここで君達の存在をバラす>

「これは脅迫ですか?」

<そうとも言うね>

双眼鏡を通して真っ直ぐ俺の事を見てくる七原に虫酸が走った。

「分かりました。ですが場所と時間はこちらで指定させて頂きます。それが嫌ならこの件はなかった事に。今後一切貴方がたとは関わらないし俺も姿を消します。」

<了解。あ、圭くんに代わってもらえる?>

「代われって」

携帯を桜崎に返そうと腕を伸ばすとその手を桜崎に捕られた。

「会うんすか?」

一連の流れで向こうの声が聞こえなくても俺が七原に会う事が分かったらしい。

「しょうがないだろ。今バラされたら終わりだ。」

「でも…!」

「いい。俺が決めた。会うよ」

「…………クソッ!」

俺を暫く見た後、桜崎はそう吐き捨てて携帯を握った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

だから愛した

佐治尚実
BL
大学生の礼嗣は恋人の由比に嫉妬させようと、せっせと飲み会に顔を出す毎日を送っている。浮気ではなく社交と言いつくろい、今日も一杯の酒で時間を潰す。帰り道に、礼嗣と隣り合わせた女性が声をかけてきて……。 ※がっつり女性が出てきます。 浮気性の攻めが飲み会で隣り合わせた女性に説教されて受けの元に戻る話です。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

別に、好きじゃなかった。

15
BL
好きな人が出来た。 そう先程まで恋人だった男に告げられる。 でも、でもさ。 notハピエン 短い話です。 ※pixiv様から転載してます。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

番を解除してくれと頼んだらとんでもないことになった話

雷尾
BL
(タイミングと仕様的に)浮気ではないのですが、それっぽい感じになってますね。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

気の遣い方が斜め上

りこ
BL
俺には同棲している彼氏がいる。だけど、彼氏には俺以外に体の関係をもっている相手がいる。 あいつは優しいから俺に別れるとは言えない。……いや、優しさの使い方間違ってねえ? 気の遣い方が斜め上すぎんだよ!って思っている受けの話。

処理中です...