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彼等について5
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これでも【観察】において、中学の時から今まで周囲や観察対象に絶対バレないように関わらないようにと周到にやってきたつもりだ。
桜崎の事もあったが俺は彼の事はそれなりに評価はしていた。
俺を燻り出させない為に必要以上に周りに気を配り、俺が該当しそうな証拠は念入りに消していた彼がはたしてそんなケアレスミスをするだろうか?
どっかしら俺の情報が漏れない限り俺の事を知るのは不可能なはずだった。
なのにバレた。
何故ここで?しかもこのタイミングで?
「………分かった。貸せ」
桜崎から携帯を受け取ると俺は耳にそれを当てた。
「もしもし?」
<あ!やぁーっと出てくれたねー吉野 三春くん♪>
俺のフルネーム。
間違いなく俺自身の情報が漏れている事を確信した。
「なんで俺の名前知ってんですか、七原さん」
<ちょっとね、頑張っちゃった俺。君の事調べるの大変だったんだよー?だってさぁ、いくら圭くんに聞いても問い詰めても一向に君の事に関しては口を割らないんだもん。君の存在の何もかもを隠蔽または擬装するし。だから単独で君の事調べさせてもらったんだよねー。まぁここまで来るのに予定外なほど時間掛かっちゃたけど。やっぱさぁ、君達に協力してる身としては知っておきたいじゃない。自分がどこの誰に尽くしてんのかってさー>
「それなら桜崎だけで充分でしょう。俺は関係ない」
<でも【観察】を始めたのは三春くん、君でしょ?設立者を知っておくのは手下として当然の義務だと思うけどねー>
「…………何が目的ですか?」
俺が覗き込んでいる双眼鏡に七原の笑顔が見えた。
<俺と直接会ってほしい>
「………嫌だと言ったら?」
<今すぐここで君達の存在をバラす>
「これは脅迫ですか?」
<そうとも言うね>
双眼鏡を通して真っ直ぐ俺の事を見てくる七原に虫酸が走った。
「分かりました。ですが場所と時間はこちらで指定させて頂きます。それが嫌ならこの件はなかった事に。今後一切貴方がたとは関わらないし俺も姿を消します。」
<了解。あ、圭くんに代わってもらえる?>
「代われって」
携帯を桜崎に返そうと腕を伸ばすとその手を桜崎に捕られた。
「会うんすか?」
一連の流れで向こうの声が聞こえなくても俺が七原に会う事が分かったらしい。
「しょうがないだろ。今バラされたら終わりだ。」
「でも…!」
「いい。俺が決めた。会うよ」
「…………クソッ!」
俺を暫く見た後、桜崎はそう吐き捨てて携帯を握った。
桜崎の事もあったが俺は彼の事はそれなりに評価はしていた。
俺を燻り出させない為に必要以上に周りに気を配り、俺が該当しそうな証拠は念入りに消していた彼がはたしてそんなケアレスミスをするだろうか?
どっかしら俺の情報が漏れない限り俺の事を知るのは不可能なはずだった。
なのにバレた。
何故ここで?しかもこのタイミングで?
「………分かった。貸せ」
桜崎から携帯を受け取ると俺は耳にそれを当てた。
「もしもし?」
<あ!やぁーっと出てくれたねー吉野 三春くん♪>
俺のフルネーム。
間違いなく俺自身の情報が漏れている事を確信した。
「なんで俺の名前知ってんですか、七原さん」
<ちょっとね、頑張っちゃった俺。君の事調べるの大変だったんだよー?だってさぁ、いくら圭くんに聞いても問い詰めても一向に君の事に関しては口を割らないんだもん。君の存在の何もかもを隠蔽または擬装するし。だから単独で君の事調べさせてもらったんだよねー。まぁここまで来るのに予定外なほど時間掛かっちゃたけど。やっぱさぁ、君達に協力してる身としては知っておきたいじゃない。自分がどこの誰に尽くしてんのかってさー>
「それなら桜崎だけで充分でしょう。俺は関係ない」
<でも【観察】を始めたのは三春くん、君でしょ?設立者を知っておくのは手下として当然の義務だと思うけどねー>
「…………何が目的ですか?」
俺が覗き込んでいる双眼鏡に七原の笑顔が見えた。
<俺と直接会ってほしい>
「………嫌だと言ったら?」
<今すぐここで君達の存在をバラす>
「これは脅迫ですか?」
<そうとも言うね>
双眼鏡を通して真っ直ぐ俺の事を見てくる七原に虫酸が走った。
「分かりました。ですが場所と時間はこちらで指定させて頂きます。それが嫌ならこの件はなかった事に。今後一切貴方がたとは関わらないし俺も姿を消します。」
<了解。あ、圭くんに代わってもらえる?>
「代われって」
携帯を桜崎に返そうと腕を伸ばすとその手を桜崎に捕られた。
「会うんすか?」
一連の流れで向こうの声が聞こえなくても俺が七原に会う事が分かったらしい。
「しょうがないだろ。今バラされたら終わりだ。」
「でも…!」
「いい。俺が決めた。会うよ」
「…………クソッ!」
俺を暫く見た後、桜崎はそう吐き捨てて携帯を握った。
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