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ハタセ

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彼等について3

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「3人とも吉野先輩に興味あるみたいっすけどね~。毎回俺に会いたい会わせろって言ってくんだもん。あと名前決めろってさ」

「名前?」

「この【観察】の名前。チーム名みたいなもんっすね」

「断る。観察は観察だ。それ以上のモノはいらない。」

「ですよね。俺も興味ないっす」

【観察】の【対象】それは人だ。
しかも世間一般で不良と呼ばれている人間の観察。
それが彼、吉野 三春の趣味であった。

彼いわく、その者達が1番手っ取り早く人間の本質を見る事が出来るからとのことで、そんな理由で中学の時から族やカラーギャング果てはヤクザまでもその観賞の対象とした。

高校に入ってからは近々族同士の抗争があると言う噂を聞き付けては夜な夜な家を抜け出し、それを物陰に隠れてこっそりと見るのが日課となっていた。
そこにいつの間にか入ってきたのが三春の1年後輩にあたる桜崎である。
三春がいくら付いて来るなと言っても笑いながらいーじゃないっすかぁと流し続けた結果が今の状態となってしまった。

「しかし、この抗争も実にくだらない理由だな」

「あー……田山を巡る奪い合いでしたっけ?」

「そう。俺には田山に何の興味もないけど、こんな面白い展開を見せてくれるなら感謝しないとな」

「田山、接触してみたけどホントふっつーの人間って感じでしたよ。」

「お前田山にまで声掛けたのか?この恐いもの知らずが。」

「ちょっとだけね。俺的には何であんなにチームの頭達が田山に執着するのかよく分かんなかったっすけど」

「何か魅力でもあんだろ」

「あと、雷那の未神と黄牙組の原も田山に興味持ってるし。田山の噂を聞き付けた他のチームまで興味持ちはじめてるらしいっすよ。しっかし、よくもまぁここまでフラグ立てたもんっすね田山も。」

田山 英輔(タヤマ エイスケ)17歳。
九橙(クトウ)高校に通う一般生徒だ。
何故だか彼は不良を呼び寄せてしまう特異体質らしい。
見た目も性格も可もなく不可もなくと言ったところか。
彼の周りには常に不良の頭がひしめき合い、日夜彼を巡る争奪戦が繰り広げられている。
等の彼には誰とも付き合う気はないらしく、不良とも縁を切りたいと友人に漏らしていたみたいだが
世の中1人の人間の夢を叶えてくれるほどそう甘くもなく
彼の平穏ではない生活は暫く続くものと三春は予想していた。
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