□ベストアンサー□

ハタセ

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彼等について2

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「うわぁ修羅場ってますねー」

「そりゃそうだろ。チームの頭がそれぞれ雁首揃えてんだから」

廃ビルの屋上から2つの双眼鏡が自分達を覗いているなんて一体誰が気付くであろうか。
その場の当事者であるはずの、とある3人以外は俺達の存在を知る者は誰も居ない。

「あ、七原がこっちに手振ってきてる」

「やめさせろ」

「無茶っすよ、今ケータイ鳴らすわけにいきませんもん。だいたいアイツ、多分吉野先輩に手振ってますよ」

「……絶対バラすなよお前」

「バラすわけないっしょこの俺が。先輩のプライバシーはちゃんと俺が守り通しますよ」

「頼むぜマジで。そもそもお前が勝手に蒔いた種なんだからな」

「分かってますって」

無反応な俺達に飽きたのか手を振る事をやめた七原は、彼のリーダーである奴の所へと歩み寄っていった。

「チクる気か?」

「んな事、あの七原がするわけないっすよ。」

「なんで分かる?」

「教えません」

「黙秘か。まぁいいけど」

七原の動向に他2人もこっちを見上げている。

「相良と八野も気付いたみたいっすね」

「こっち見るなと今度言っておけ。頭に感づかれなきゃいいが」

「言ってもあの3人もそれぞれのチームの幹部クラスっすよ?」

「だけどチームの裏切り者共だろ」

「先輩言い方キッツイな~。俺達の貴重な協力者っすよあの3人は」

「お前の協力者だ。俺は関係ない」

三春の知らない間に桜崎はそれぞれのチームの幹部である1人1人と話しを付け、抗争がある日を逐一報告してくるように仕向けていた。
桜崎いわく、なにもチームの全員が頭を崇拝してるわけじゃないらしい。
必ず誰か1人くらいは遊び半分でチームに入っている暇人が居ると言う。
そいつを見つけ出して仲間に付ければ情報収拾が楽になると笑っていた。
情報さえくれれば下っ端でも誰でも良かったみたいだが、チームの裏切り者になりうる存在が全員たまたま幹部だったらしい。奇跡だ。
確かに桜崎の言う通り、今まで噂を頼りに動いていた三春にとって確実な情報が入る事が1番嬉しかった。
噂に騙されて何度誰も居ない空き地や倉庫に向かった事か。
それが無くなった事が何よりだった。
ただそのリスクが余りに重いのが気掛かりと言うべきか。
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