座敷童と貧乏神

桃月熊

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「そうなのね、それは辛かったのね。
 勝手な事を言ってごめんなさい」
座敷童は深々と頭を下げました。

「あー、いいんだ。
 俺も愚痴を聞いて貰って少しだけスッキリしたから」
「そうなのね、それは良かったのね。
 でも、貧乏神さんはこれからはどうするつもりなの?」


「どうもこうも、無いだろうな。
 俺が貧乏神である以上は、貧乏神として行動するしかないんだから。
 俺が貧乏神を辞められる時は死ぬ時だけだろうからな」

妖怪に職業選択の自由はありません。
名前=職業=存在なのですから。


「そうなのね。
 それじゃあ、今からは私が一緒に行動してもいい?
 貧乏神さんが貧乏にした人間を少しでも幸福にしてあげたいから」
「いいのか、それは願ったり叶ったりだが」
二人は向かい合って握手を交わそうとしました。



「勝手な事は許さんぞ!」
厳しい声が、座敷童と貧乏神に降り注ぎました。
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