上 下
71 / 504

第十四 チェス チェスのド素人 ルールを覚える所から

しおりを挟む
天井からのマジックハンドに拠り、四冊の本が机上に置かれた。

チェスの遊び方、チェスの定石、チェス必勝法、チェスの歴史の四冊。

最初に読むのはチェスの遊び方だよね。

ルール以前に駒の見分け方すら分からないんだから。

アナウンス「二十分後に競技会場へ案内する」

えーーーーーーーーーーーーーーー!?

無理無理無理無理無理無理。

二十分で何が覚えられるんだよ。

とかやってる場合じゃない。

少なくとも最低限度の事は覚えないと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二十分が経過し、案内役のロボットがやって来た。

駄目だ、本当に最低限度の事柄さえ覚えられたかどうか怪しい。

参ったなー、どうすりゃいいんだ?

対戦相手が俺以下の実力であるのを願うしかないのか?

それとも、変則ルールの十人同時チェスの開催に期待か?

そんな都合の良い話しはないよな。

くそう、どうしよう。

マグネットで駒を動かすとかはどうだ?

チェスの駒は金属製じゃないから無駄か。

何にも思い付かない。

少なくとも正攻法で挑んだら、敗北だ。

死にたくねぇよ。

ロボット「大喜利で出た解答なんだが、どれが一番つまらないか教えてくれ」

そんな事を答える余裕はないんだが。ズルの作戦を練らないといけないのに。

断って機嫌を損ねるのもばからしいしな。

「いいですよ」

ロボットから用紙を受け取った。


Q、村へ出没していた熊に拠る被害がある日、パッタリと収まった。理由は?

A1、村人が全員死亡したから、それ以上の被害はなくなった。

A2、押し入れに閉じ込めてから、長時間説教後に反省文を書かせた。

A3、代わりに街への被害が始まった。

A4、熊は死んだ。だが第二、第三の熊が出現するだろうと予言。

A5、逆に熊が村長になった。


言っていいのかな?

どれもつまらない気がする。

これより面白いのを言えと言われても直ぐには出て来ないけど。

自分のギャグセンスは、棚上げしておこう。

五十歩百歩、甲乙つけがたし、団栗の背比べだね。

敢えて、一番つまらないのを言うのなら。

「五番目の、逆に熊が村長になった、ですね」

ロボット「そうか、意見が別れていてな。回答に感謝する」

「いえいえ、お役に立てれば」

じゃねえ、チェスのルール、少し飛んでった。

余計な知恵を使わせるな。

くそロボットめ。

ロボット「チェスの本は持ち込み可能だぞ」

くそロボットは取り消します。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

光を目指して

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:681pt お気に入り:2,366

社長、嫌いになってもいいですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:73

時を越える瞳

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:0

元第二王子とヒドインの子は復讐を誓う。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:52

緋黒の焔〜ヒトラー異世界戦記〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:9

処理中です...