ホラー小話

桃月熊

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霊の通る自動ドア 前編

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「おいおいどうしたんだよ。
 顔が悪いぞ、じゃなくって顔色が悪いぞ」
リクが声を掛けた。

実際トシの顔色はとても悪かった。

「ああ、あんまり大丈夫じゃないかもしれない」
トシは弱弱しい声をどうにか発した。


「病院行った方が良いんじゃないのか?
 金がないなら、暫く貸しとくけど」

「いいや、病気じゃないんだ。
 ちょっと話をきいてくれ」

「ああ、そこ座ろうぜ」

ベンチに腰かけるトシとリク。

「俺が深夜のコンビニのバイトをしてるのは知ってるだろ。
 そこのコンビニで、幽霊が出るんだよ」
トシが小声で伝えた。


「幽霊?
 詳しく聞かせれくれよ」


頷くトシ。

「バイト中に自動ドアが勝手に開くんだよ。
 自動ドアだから誰かが通れば勝手に開くのは当たり前なんだけど。
 ドアが開いて、そっちを向いても誰も居ないんだよ。
 そんな事が此処十回のバイトで六回発生してるんだ。
 もう怖いと言うか、気持ち悪いと言うか……

トシが衰弱した原因は、幽霊であると当人は思い込んでいる。


つづく。


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