ホラー小話

桃月熊

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食育 牛を育てる小学校のつづきのつづき

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学校の隣の土地には闘技場が完成しています。
六十本の金属柱を地面に打ち込んだ、正六十角形をしています。
柱と柱の間には分厚い木の板が打ち付けられています。
その上部には丈夫で目の細かい金属製のフェンスが三メートルの高さまで
張られています。
このフェンスを人間がよじ登る事は事実上不可能となっています。


北側に人用の入り口、
南側に牛用の入り口が設置。

闘技場の周囲は土を盛ってあり、観客は高い場所からの立ち見になります。
学校の校庭には様々な露天、出店が来ていて、完全にお祭りムードとなっています。

この村の住人だけでなく、近隣の市町村から観客が集まり、
交通規制が行われています。
観客動員数は一万二千名を超えているでしょう。
明らかに村人の人口の数倍の人数です。

今ならこの村で空き巣に入り放題です。





ハッキリ言えば、この場に居る全員が可笑しくなっていますが
可笑しい事に気付いていません。




賛成票を入れた三十名の生徒が闘技場に現れました。
親戚の家へ逃亡した一名のへの処遇は未だ決まっていませんが、
ただでは済まないのは確実です。


牛との対決において生徒に
武器を持たせるか素手で戦わせるかの討論があり、
『牛は武器持って無いじゃないか』が支持されて、可決されそうになりましたが。
土壇場で
『牛の角は武器みたいなものだろう、
 いや野生においては角は武器以外の何物でもない』
の意見が参加者を納得させました。

その後は、どの程度の武器を持たせるのかで、殴り合いの会議が勃発し、
重さ五キロ以下、長さ二十センチ以下の重火器以外ななんでもOKとなりました。


三十名の生徒は各自思い思いの武器を手にして、震えています。
牛と戦う恐怖か?
死ぬかも知れない恐怖か?
それとも育てた牛を葬らねばならぬ恐怖か?

南川の入り口から、牛が闘技場内に入りました。





つづく。
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