ホラー小話

食育 牛を育てる小学校

とある小学校の話。
全校生徒総勢六十名程度の小学校で、
食育の為に牛を育てる事になりました。

過疎地なので土地は沢山あり、小学校付近にも土地が余っていました。
小学校の近くに、牛舎、放牧地等を建築し、三頭の牛を育てました。


三年が経過し、三頭の牛は大きく成長し、
それぞれ体重が六百キロを超えるほどに育ちました。
そこで、問題が起こりました。
元々食育の為に飼育していたので、
出荷して殺して食肉にしなければなりません。
半数の生徒は納得しましたが、半数の生徒は納得しません。
・可哀想だ。
・天寿を全うさせよう。
・殺すのならなぜ飼育させた、殺す為に育てたんじゃない。

色々な意見があり、小学校は大混乱となりました。

PTA、子供会、塾講師、教育委員会が会議を重ねた結果、
小学生全員に投票させて、投票結果で牛をどうするかを決める事になりました。

低学年にもわかりやすいように、
『牛をころす』または『牛をころさない』の二択を選択する事に。



買収工作、選挙妨害などはなく、選挙は行われました。

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投票が終わり、開票されます。

『牛をころす』　　　三十一票
『牛をころさない』　三十票

無効票、棄権　　　　零票


結果、牛を殺す事になりました。

賛成派は天国、
反対派は地獄、
そんな状況になっています。


牛を殺す事に反対派の生徒の一人が叫びました。
「じゃあ殺すのに賛成票を入れた奴が自分の手で牛を殺せよ！！」





つづく。