上 下
210 / 268
10章『恋慕編』

207「あいつを助けたいんじゃないのか」(R)

しおりを挟む
「姫、そのようなことしなくてよい!」
「……わかった」
「それでいい、さあ陸、私に口づけを」

天王寺の静止の声を無視して、ベッドに仰向けに横たわったアデルに乗り上げるように、ゆっくりと近づく。
しっかりと目を閉じて、俺はアデルの唇に自分の唇を重ねた。緊張と恥ずかしさと恐怖で、唇が震える。

「口を開け、俺の舌を絡めろ」

言われるままに、俺はそっと口を開き、アデルが差し出す舌を舌で絡め取る。ピチャと淫らな水音が鳴る。
ぎこちない俺の動きに痺れを切らしたアデルが、俺の後頭部を抑えて、深く濃厚に口腔を犯す。飲み込めない唾液が糸を引いて垂れる。

「ふぁっ、ん……」
「今夜は、蜜のように甘いな」

執拗以上に舌を絡めとり、貪りつくようにアデルは俺を離さない。
そんな俺を見ていられなくて、天王寺が顔を背ければ、アデルがしっかりと見せるように言いつけ、天王寺は俺を見るように顔を固定される。
苦虫を噛み砕いたように、険しく苦痛の表情を浮かべた天王寺は、奥歯が鳴るほど噛み締め、唇を血が滲むほど噛んだ。
たっぷりと俺の口づけを堪能したアデルは、満足そうに微笑むと、俺の頭を押さえつけて自分の下肢に宛がう。

「咥えろ」

服の上からでも反り返っているのが分かるほど、大きくなっている下肢を口に咥えろと命令する。逆らえない。逆らえば天王寺が危ない。
俺は震える手でアデルのズボンを下げる。下着に窮屈そうに収まっていたソレは、衣類から解放されると、天を仰いで卑猥にそそり立った。
先端から蜜が零れ、濡れていた。
ゴクリと生唾が溢れる。こんなもの咥えたくない、触りたくもない、ましてや、天王寺にそれを見られるのは嫌だ。
けど、

「どうした、あいつを助けたいんじゃないのか」

アデルは俺を追い詰める。

「今するから、だから……」

天王寺に手を出すなと、意を決して、俺はそこに手を添えると口を寄せた。

「姫っ!!」
「大丈夫、だから……、お前は大人しくしてろよ」

こんなこと大したことじゃないと、俺は男で犯されても何かあるわけじゃないと、苦笑してみせた。

「う、ぐぅっ……」

大きすぎるソレは、俺の口に収まりきらず、いっぱいに開いた口が苦しさを訴える。とても動けそうもなかったが、アデルは咥えた俺の頭を押さえつけると、ぐいぐいと押し込んでくる。喉が焼ける。

「いい、陸、すごく気持ちいいぞ」
「ぅ……う゛っ……」
「舌を使え、もっと吸うんだ」

指示される通り、俺は精一杯奉仕を続ける。溢れてくる体液にむせかえりそうになりながらも、舌を絡めて、必死に吸って、俺は押さえつけられるまま何度も何度も奥にソレを咥えこまされる。

「もっとだ、もっと深く咥えろ」
「ぬ、ぐぐっ、んふっ……ぅッ」
「陸、イイッ……出すぞッ……」

苦しいと顔を顰めた時、アデルの下肢が大きく震えて、信じられない量の熱く迸る、白濁としたものを口の中に吐き出された。
達したせいで、力が抜けたアデルから解放された俺は、咳き込みながらそこから口を離し、独特の匂いと感触が気持ち悪いと吐き出す。

「今度は陸の中に俺を埋めろ、いいな」

吐き出しただけでは満足しなかったアデルは、俺に自らの後ろにアデルの下肢を入れよと、命令してきた。
自ら解して、アデルを受け入れろと。
天王寺の前で他の男を挿入するなんて、俺は唇を歯型がつくほど噛み締めた。動きを止めてしまった俺に、アデルがゆっくりと体を少しだけ起こす。

「陸、足をこちらに寄こせ」

俺が解してやると、アデルは口角を緩めて、俺の足を掴んだ。上下逆になるように重なる身体。

「やぁっん! だ、だめ……ぇ……」

アデルの顔に俺の下肢が乗るような体勢にされ、熱を持ってしまっていた下肢を口に含まれた。舐められて吸われると、甘い痺れが生まれる。

「陸、お前もするんだ」

体勢が逆になっているため、俺の目の前にはアデル自身がある。与えられる甘美な快楽が俺から力を奪い、俺は必死にアデル自身に手を伸ばす。

「あぁぁぁっ……っ! ……ぁ」

ようやくソレに触れたと思った瞬間、一際強く吸われて、俺は悲鳴に近い甲高い嬌声をあげていた。背中が弓のように反る。

「可愛い声を出す。そんなに良かったのか」

喉の奥から絞り出すように笑ったアデルは、視線を天王寺に合わせる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

少年売買契約

眠りん
BL
 殺人現場を目撃した事により、誘拐されて闇市場で売られてしまった少年。  闇オークションで買われた先で「お前は道具だ」と言われてから自我をなくし、道具なのだと自分に言い聞かせた。  性の道具となり、人としての尊厳を奪われた少年に救いの手を差し伸べるのは──。 表紙:右京 梓様 ※胸糞要素がありますがハッピーエンドです。

【完結・BL】くっコロされたい騎士団長様♂!【騎士団長受】

彩華
BL
テンプレファンタジー設定の、ある国の騎士団長様。皆が憧れ尊敬する騎士団長様には、誰にも言えない「ある願望」があった! ああ、ああ……! くっコロされたい。この身体を、私以外の誰かに……♡ そんな妄想と、願望が募る日々。はたして、騎士団長様の願いを叶えることが出来るのか!? そんな短い小話。

[R18] ヤンデレ彼氏のお仕置き

ねねこ
BL
優しいと思って付き合った彼氏が実はヤンデレで、お仕置きされています。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

獅子帝の宦官長

ごいち
BL
皇帝ラシッドは体格も精力も人並外れているせいで、夜伽に呼ばれた側女たちが怯えて奉仕にならない。 苛立った皇帝に、宦官長のイルハリムは後宮の管理を怠った罰として閨の相手を命じられてしまう。    強面巨根で情愛深い攻×一途で大人しそうだけど隠れ淫乱な受     R18:レイプ・モブレ・SM的表現・暴力表現多少あります。 2022/12/23 エクレア文庫様より電子版・紙版の単行本発売されました 電子版 https://www.cmoa.jp/title/1101371573/ 紙版 https://comicomi-studio.com/goods/detail?goodsCd=G0100914003000140675 単行本発売記念として、12/23に番外編SS2本を投稿しております 良かったら獅子帝の世界をお楽しみください ありがとうございました!

処理中です...