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3章『邪恋編』

64「天王寺の入れて」(R)

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クチュと音を立てて離された頃には、俺の身体は力が抜けてしまい完全に天王寺にもたれかかっていた。浅く深く呼吸をする俺に、天王寺の興奮する荒い息がかかり、俺は天王寺が限界まで耐えていることを知る。

「……天王寺」

トロンと蕩けた視線でそう呼べば、天王寺は眉間に皺を寄せつつも優しく触れてくれた。

「心配はない。姫を傷つけるようなことはせぬ」
「……でも……」

下に当たる天王寺自身の熱と硬さとその表情に、天王寺は精一杯の理性を保っていることがわかる。ちゃんと解さないと俺が痛い思いをすると、天王寺は優しく後ろに指を這わせてくる。

「んぅ……ぁ、ふぁ……ッ……」

ゆっくりと動かされる指に、俺の身体は素直に反応していく。

「っく、……姫……」
「……はぁ……んんっ……」

動かされる指に俺の鼻と口から甘ったるい息が漏れる。反響する浴室を満たす俺の声に、天王寺の表情はどんどん険しく、苦痛なものへと変わっていく。
唇を噛み締め、わずかに身体を震わせる天王寺の優しさが俺に伝わる。

「姫……ッ……」
「──もう……っあ……」
「姫のここは狭いな……は、ぁ……」

増やされた指で天王寺に溶かされていく俺は、苦しそうな息を耳に受けながら、たぶん俺を怖がらせたり、傷つけないように薬の快楽に抗っているんだと知る。
気がおかしくなりそうなんじゃないかと、俺は苦痛に歪む天王寺を楽にしてあげたくて、

「大丈夫だから……、天王寺の入れて……」

自然と恥ずかしい台詞が口を出た。

「まだ十分では……」
「そんな苦しそうなお前、……見てられない」
「姫……。名を呼んでくれ」

哀願するように甘く耳元で囁かれた。

「……尚人」

小さく名を呼んだ瞬間、天王寺の熱い塊が後ろに宛がわれ、ズンッと押し入ってくる。

「や……ぁっ、あぁ──ッ……」
「クッ……っ……、姫の中は溶けてしまいそうだ」

身体の中を掻き回すように天王寺は荒々しく動き、腰を激しく揺すられ、俺は甘い嬌声をあげたまま頭の中が真っ白になっていく。

「ああっ……、ふぁ…っ、やぁ……」

お湯の中で俺は蜜を溢れさせて、上下左右と前後に動かされる腰に砕けてしまいそうな快楽を与えられた。まるで獣のように俺を激しく揺さぶる天王寺は、時を待たずして俺の中に燃えるような熱を放った。

「あぅっ、……ぃ、ぁ──ああぁっ!」

頭まで痺れる電流が駆け巡り、俺の甘ったるい喘ぎ声が浴槽内に反響し、自分の声にさえ感じてしまった。ぐったりとした俺の身体は再度天王寺に支えられ、起こされた。

「まだ収まらぬ、……姫があのような声を出すからだ」

中に入ったままの天王寺自身がまた大きく俺の中で膨れ上がった。

「ひや、ん……あ、あ、尚人ぉ……もう……」
「止まらぬ」

苦しそうな声を出した天王寺は、再び俺の腰を掴むと激しく上下に動き出す。

「い、や……ああっ、……無理……ぁ、……」

無理やり与えられる快楽と引きずり出される甘美な熱に、俺はチャプチャプと激しく水音を立てながら天王寺に揺さぶられる。
痛いのか、気持ちいいのかもうわからない。
ただ荒れ狂う熱をどうにかしてほしくて、俺は生理的に流れる涙を流しながら喘がされた。

「う…ぁ、……ああ……っ!」
「姫、すまない」

俺を犯しながら、天王寺は謝罪を繰り返す。薬のせいできっと止まらないんだと分かってはいるが、俺はもう何度達せられたかわからなくなっていた。
意識も朦朧としてきたとき、俺はふと浴槽の外に手を伸ばして、触ってはいけないものに触ってしまった。

「ん…ぁッ! ダメぇぇ──っ、いやあぁ……ッ!」
「くッ……姫! そのように強く締め付けるで、ない……」
「やッ、だめ、……もぅ……またイッちゃ……うっ!」

俺はジャグジーのスイッチを入れてしまい、ジェット水流を俺自身に直に受けてしまい、強烈な刺激に身体を思いっきりのけ反らせてしまった。また蜜を吐き出してしまった俺に、天王寺は容赦なく後ろから突き上げる。

「……やぁっ、もう許して……ああっ……」
「姫が可愛すぎて、どうにもならぬ」
「ぅああっ……ねが、い……はぁっ……ああっ、あ」

後ろから天王寺に責められ、前からはジャグジーが容赦なく責め、俺は前と後ろを同時に刺激され、あられもない声を出しながら溺れる悦楽にただただ翻弄される。
これ以上されたら死んじゃうと、俺は生理的に涙を流し続けた。

「尚人……おね、がい……、ジャ、グジー……止め、て……」

俺は必死に声を出して、天王寺に水流を止めて欲しいと願った。

「……ぁ、──あぁ……ッ!」

俺の声を聞き、天王寺がジャグジーをオフにし、俺はようやくほっとしたが、腰を持ち上げられ深く落とされるとまた高い声をあげさせられてしまった。
結局俺はそのまま意識を失うまで天王寺を受け入れ続け、どんなにお願いしても許してはもらえず、そのまま朝を迎えるはめになっていた。
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