上 下
19 / 268
1章『恋着編』

19「許せぬ」(R)

しおりを挟む
このままでは下着を汚してしまう。そう考えた次の瞬間、あろうことか天王寺は俺のズボンを下着ごと引き下ろした。
まだ夕暮れの明るい部屋で、昂ぶった自身を曝け出され、じっとそこを見つめる天王寺の視線に、俺の羞恥は焼かれるほど熱くなる。今すぐ逃げたい、俺は身を捩ろうとしたが、芯を持った自身を撫でられ背中が跳ねる。

「や……ぁんっ……」
「可愛い声で鳴く。……その声をどれほどの者に聞かせたのだ」
「なにいって、……はっ、あ、ぁんん」
「許せぬ」

手の平で包み込んだ昂ぶりを上下に緩く擦りながら、天王寺が意味のわからないことばかり口にする。俺は何のことを言われているのか問い詰めたくても、攻めたてられる快感に言葉が繋げず、ただただ甘ったるい声しか出てこない。
先端を指の腹で撫で回され、天王寺の手の中でさらに硬くなっていくのがわかる。

「……っ、はっぁ…、も……っ、やだ……」

どうにかなってしまいそうな熱に浮かされ、俺は泣きそうな声を出すが、天王寺の瞳はさっきから冷めたままで、興味などないかのような行為を続けていく。

「嫌ではあるまい。……姫のここは甘美な蜜を滴らせておる」
「ちが……っ、も、……っ、放せ、……ひぁッ……」

括れた部分を指先で強く擦り上げられ、今にも弾けてしまいそうな自身がヒクンと震え、腰の奥に熱が宿る。
このままじゃ、天王寺の手に出てしまう。俺は持てる力を振り絞って身体を捩るが、巧みに追い立てる天王寺の指は、ねっとりと絡みつき俺が多少暴れたところでびくともしない。
それどころか、天王寺は零れ出る蜜を指で掬いさらに滑りをよくし、俺を絶頂まで煽り立てる。

「……離せッ……ぁう、出ちゃう……から……ッ」
「出せばよい」
「あっ、やぁ、……あ、―――あああぁっ!」

先端を引っかかれた瞬間、俺はびくびくと腰を震わせて、溜まっていた熱を天王寺の手の中へと吐き出してしまっていた。
白濁とした液体と、匂いが天王寺の手に絡まり、遠くにそれを眺める。
他人の手でイカされてしまった俺の思考回路は、羞恥の沸点を越え、気だるい身体をダラリとソファに投げだす。
何が起こったのか、一体何をされたのか、今は何も考えられない。虚ろな俺の瞳は夢うつつのように天王寺の冷たい瞳だけを捉える。
だがそれも数分も経過しなかった。天王寺の瞳はすぐに俺の視界から消え、俺の足を左右に割り開き、さっき放出したものを奥の窄まりに塗りつけるように動きだした。

「何してッ……あっ、ん」
「いくら経験があるとはいえ、慣らさずに挿入するのは、可哀想であるからな」
「経験ってなんだよ!」

ここに連れ込まれてから、一切の会話が成立していない。どうして俺はこんな目に遭わされているのかさえ分からないままだ。
恥ずかしくて、逃げたくて、足を閉じようとするが、天王寺が体を割り込ませているせいで、敵わない。他人に曝すような場所でも、触られるような場所でもないのに、天王寺は俺が放った体液を塗り込むようにゆるゆると手を動かす。

「いい加減に……っ、……あっ!」

滑るように襞を撫でていた指先が、堅く閉じた入り口から埋め込まれ、一瞬息が詰まる。

「姫のここは、狭いのだな。まるで処女のようである」
「ぅあ……っ、……やだぁ……ぁ、もっ、やめろってッ」
「……く、ッ、……なぜだ」
「……ひぁ、っ……やぁ……」

埋め込まれた指が二本に増やされ、くちゅくちゅと濡れた音が響く。
もう天王寺の声も耳に届かず、俺は経験したことのない感覚に襲われ、逃げ出したくて、もう止めてほしくて、いつしか大粒の涙を流していたが、天王寺の指先は浅い部分を何度も行き来し、少しずつ奥へと入り込んでいく。
濡れた音をたてながら、蠢く指の動きに俺の下腹部はまた熱を持つ。
それでも、天王寺はまるで苦虫を噛み潰したような表情のまま、俺を好き勝手に犯す。

「なぜ私だけ拒むのだっ!」

突然発せられた言葉に、俺はビクッと身体を強張らせた。
始めから気づいていたことだが、天王寺は何かを怒っている。それゆえに、俺はこんな目に遭っているのだろうけど、理由も原因も分からないんだ。
今分かるのは、冷めた瞳が強い憎しみを抱き、俺に向けられている、ただそれだけ。

「ヤぁ、ぁ……、抜けよ……、ああ、っ」

ぐじゅぐじゅと卑猥な音を響かせ、天王寺は乱暴に中を掻きまわす。何がしたいのか本当に分からないまま、痛みさえ伴いながら、俺は擦られる刺激に悲鳴と喘ぎを繰り返す。
どれほど出し入れを繰り返されたのか、いきなり指を抜かれれば、突如熱い塊を押し当てられて、息を詰めた。
それがなんであるか確認なんかできないまま、俺は無理やり入り込んでくる塊に、焼けるような感覚を味わい、呼吸が止まりそうになった。

「痛ッ……、ひっ、ィ……、ったい……」

狭い場所をこじ開けるようにねじ込まれる熱さは、痛みしかない。それでも塊は、躊躇うことなどなく、奥へ奥へと侵入してくる。

「い、や……だ。……も、ヤダ……」

背中を撓らせて逃れようとするも、腰を掴まれてその場を動くことができなくなる。怖い、自分の中に埋め込まれたものがなんなのか分からない恐怖が全身を襲う。

「姫のよいところをすべて申せ」

太ももを抱えた天王寺が、俺の腰を浮かせて揺すり始めた。いや、熱い塊をゆっくりと動かし始めたのだ。

「な、に……。やぁあ、っああ」
「擦られるのがよいのか、それともこうされるのがよいか」
「……ぃ、やあ……だ、め……」

ユサユサと俺の体を揺すりながら、内壁を擦ったり、奥を突いたりされ、嫌でも体が跳ねる。痛いのか気持ちいいのか、分からない感覚が脳内を満たし、俺は揺さぶられるままに快楽に喰われる。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

出ていってください!~結婚相手に裏切られた令嬢はなぜか騎士様に溺愛される~

白井
恋愛
イヴェット・オーダム男爵令嬢の幸せな結婚生活が始まる……はずだった。 父の死後、急に態度が変わった結婚相手にイヴェットは振り回されていた。 財産を食いつぶす義母、継いだ仕事を放棄して不貞を続ける夫。 それでも家族の形を維持しようと努力するイヴェットは、ついに殺されかける。 「もう我慢の限界。あなたたちにはこの家から出ていってもらいます」 覚悟を決めたら、なぜか騎士団長様が執着してきたけれど困ります!

【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼第2章2025年1月18日より投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...