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小説を書いてみよう!

『動きのある文章を書いてみよう』(第4回)

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まだまだ物語の触りしか書いてませんが、第4回目です。
この辺から文章量が増えていきます。

第4回では、アクシデントにチャレンジしましょう。
物語が動き出すきっかけを書いてみよう。



【基本設定】(サンプル)
村に着いた三人。
村人が大急ぎでやってくる。
「冒険者の方ですか?」(←村人の台詞)
「そうだよ」(←キャラクターの台詞)
「そんなに慌てて、何かあったのですか?」(←キャラクターの台詞)
「村が騒がしいな」(←キャラクターの台詞)
三人は村人の顔から、何かあったと考えた。
「助けてください」(←村人の台詞)
突然、村人にお願いされる。



今回も大まかな流れを書いてから、徐々に小説らしくしていきます。
サンプルを見れば分かりますが、何か事件を起こします。
これが物語を動かす『きっかけ』となり、物語が動き出す初めの部分となります。
何かが起こりそうと、読み手さんに伝えて、興味を持ってもらったり、続きを楽しみにしていただく材料の一つですね。

上記サンプルのままでは、誰が何を言っていて、村人は一体どんな感じなのか、全然わからないので、前回やった通り、まずは誰が何を言っているのかを明確にしましょう。
ただし、前回キャラクターの容姿は説明済みなので、ここでは名前だけ追加すればOKです。



【例文1】(サンプル)
村に着いた三人。
村人が大急ぎでやってくる。
「冒険者の方ですか?」
村の奥から走ってきた若い男性が、三人に話しかけた。
「そうだよ」
男性に声を掛けられたゼノがそう答えた。
「そんなに慌てて、何かあったのですか?」
続いてイズも質問した。
「村が騒がしいな」
村の中を見ていたライラが声をだした。
三人は男性の顔から、何かあったと考えた。
「助けてください」
男性は、突然三人にお願いした。



これで、誰が何を言っているのか分かるようになりましたね。
けれど、なんだか違和感を覚えませんか? 文章もなんだかややこしい感じがして、淡々と進んでいく印象がありますよね。
台詞、説明、台詞、説明……、これの繰り返しになっているから読みにくいのです。
小説は繰り返しを多用すると、とっても分かりにくくなってしまい、物語がスムーズに入ってこないなぁ~、と、私は思っております(個人の意見ですけどね)
ただし、書くものによっては、それが間違いになることもあるので、文章を書くときはちょっと注意。
例えば、絵本のような場合は、繰り返しを多用することで面白さが生まれますし、台本や脚本などは、8~9割程度台詞じゃないと成り立たず、ラノベ系などは、台詞重視、擬音多用、細かい描写は低めなイメージがありますし、一般的な小説なら、台詞は2~4割程度が読みやすい感じがあります。
なので、自分が何を基礎に書くかで、書き方を変えるといいと思います。

ちょっと脱線しましたが、繰り返しのところを踏まえて、もう一度書き直してみますね。



【例文2】(サンプル)
村に着いた三人。
村の奥から走ってきた若い男性は、三人の前までくると、いきなり声をかけてきた。
「冒険者の方ですか?」
「そうだよ」
「そんなに慌てて、何かあったのですか?」
男性に質問され、ゼノがそう答え、イズが驚いたように質問を返した。
その間、ライラは村の中に視線を向け、誰に言うでもなく一人呟いた。
「村が騒がしいな」
三人は男性の顔から、何かあったと考えた。
「助けてください」
男性は、突然三人にお願いした。



先ほどよりは、説明感が抜けましたでしょうか?
台詞をいくつか並べて、後から順番に誰が話したのかを追って書く方法もありますので、いろいろ試してみると面白いと思います。

続いては、村や村人の様子を書き加えて、全体的な雰囲気を作り、状況がより分かるように、少し小説らしくアレンジすると同時に、ちょっとしたワザも入れてみましょうか。
解説は【例文3】の後に、ね。



【例文3】(サンプル)
三人が村に到着すると、遠くから走ってくる村人の姿が見え、思わず足を止めてしまった。
全力で走ってきた村人は、乱れた呼吸を整えながら、
「冒険者の方ですか?」
と、一気に話す。
問われたゼノが「そうだよ」と返事を返すと、イズが心配しながら声をかける。
「そんなに慌てて、何かあったのですか?」
「村が騒がしいな」
隣にいたライラは、どこか様子のおかしい村を見渡しながら、そう口にした。
息を整えた村人の青年は、顔をあげると真剣な表情で口を開く。
「助けてください!」
それは涙の混じる瞳で懇願された。



どうでしょう、先ほどよりも全体の情景が見えるようになったでしょうか?
そもそも私の腕(能力)が低いので、微妙といえば微妙ですが、なんとなぁ~く、場面状況は伝わったかな?
それでは、細かく説明してみましょう。

『足を止めてしまった』
↑これは、村の入り口で三人を足止めするための一文。村に入る前に事件を起こしたかったので、一旦止まらせる意味で入れました。
村に入っちゃうと、村の様子とか村人とか、書かなくてもよさそうな要素が増えちゃって、ただ面倒くさかったからね。


【村の中まで足を踏み入れた場合】
村にたどり着いた三人は、宿屋を探すため村の中を歩くが、よそ者が珍しいのか、村人から好奇な視線を受け、どことなく居たたまれなささえ感じる。
それに、ザワザワと陰から何かを噂され、居心地のいい感じはしない。
早く宿を見つけて、休ませてもらおうと急ぐ三人の元へ、一人の村人が走り寄ってきた。


↑こんな感じで、村の様子などを書き込む必要が出てくるので、必要なさそうなシーンや場面は、慣れてから書くようにするか、いっそ書かない方向へもっていくのが、書きやすいポイントかな。
どんなお店があるとか、どんな村人がいて、誰が何をしているのかとか、エキストラ役の行動を細かく書くことは、小説ではあまり必要ない部分かと。
(物語に必要な部分なら、意味のある文になりますので、書きましょう)
じっくり書き込みたい場合や純文学系は、情景などを組み込みますが、初心者さんにはおススメしません。


『全力で走ってきた村人は、乱れた呼吸を整えながら、
「冒険者の方ですか?」
と、一気に話す。』
↑この3行、見ての通り、少々変わった表現をしてますよね。
説明文と台詞が一体化した書き方になります。一言でいうなら、村人の行動と台詞をまとめちゃいましたってことです。
行動と台詞を上手く書き分けられない、一連の行動にしたいなど、用途はいろいろですが、時々こういった表現方法を入れると、ちょっと新鮮でしょ。


『問われたゼノが「そうだよ」と返事を返す』
↑これは返事や回想、短い台詞などの場面を簡単に表現する方法。
わざわざどんな感じで、どんな風に言っているとかを書かなくてもいい書き方。

【そういえば、昔『高いところが苦手なんだ』と、言っていたのを思い出した】
みたいな、思い出シーンなどで、こんな風に使うといいと思います。
返事くらいの短い台詞なら、本文に組み込んで簡略化しちゃおう、という方法です。

【普通に書くと】
「そうだよ」
問われたゼノが、答えるようにそう返事を返した。

↑間違いではないけど、返事をしただけなので、短くまとめるとちょっとだけ読みやすくなります。


『息を整えた村人の青年』
↑『青年』とつけることで、村人が男性であることを伝えます。だったら、登場したときに入れればよかったのに、と思うでしょう。
実はちょっとした訳があって、最後の方に入れてあるんです。
その理由は、説明が長くなってしまうため。

・『遠くから走ってくる青年の村人の姿が見え……』(初めに入れたパターン)
・『息を整えた村人の青年は……』(後に入れたパターン)

上記二つの文を見比べると、上はどことなくクドイ、下はあっさりと入ってきませんか?
必要な説明だけど、時と場合によっては、挿入箇所を選んだ方が読みやすいということなのです。
説明したいことや、伝えたいことがたくさんあるシーンなどでは、挿入箇所を変えて解説を入れると、分かりやすく、伝えやすくなるものです。



さて、ここでは同じエピソードを書くことにしてありますが、アクシデントは物語によって様々です。
例えば、村に着いたら村が消えたとか、結界があって入れないとか、門番がいたとか、人が誰もいないとか、買い物を楽しんだとか、いきなり魔物に襲われたとか、召集がかかって帰ることになったとか、いろいろな出来事を考えるのが作者のお仕事。
たまたま今回は、村人が助けを求めてくる設定にしましたということです。





それでは、下記基本設定を使って、上記例文などを参照にしながら、少し長いですけど、自分なりの書き方と説明で、小説らしくなるように書いてみましょう。



【基本設定】(サンプル)
村に着いた三人。
村人が大急ぎでやってくる。
「      」(←村人の台詞)
「      」(←キャラクターの台詞)
「      」(←キャラクターの台詞)
「      」(←キャラクターの台詞)
三人は村人の顔から、何かあったと考えた。
「助けてください」(←ここの台詞は固定です)※『助けてという意味なら、修正OK』
突然、村人にお願いされる。



村に到着したシーンから、まず村人がどんな感じでくるのかを書いて、台詞が噛み合わないことがないように、会話を意識して、登場人物が4人になっているので、誰が何を言っているのか、ここは特に注意。
少し長い文章なので、文章の閉めや説明が入りすぎてないかを、ちょっと気にしながら自分のお話を書いてみてください。


ではっ、第4回はここまで。
興味を持たれた方は、第5回『ちょっと長い文章にチャレンジ』でお会いしましょう。
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