上 下
8 / 13

熱を出す

しおりを挟む
今日のタイへーちゃんはちょっと調子が悪いみたいです。
大丈夫かな?

7:熱を出す

今朝、タイへーちゃんはとてもふらふらしています。

「あついし あたまいたい」

タイへーちゃんはうさぎロボット用の風邪薬を飲み、カスタマーセンターに連絡しました。
ロボットのお熱は命に関わります。

カランラン。氷をグラスに入れて、野菜ジュースをそそぎます。とぽとぽ。
今日はちょっとこぼしちゃった。

ソファに座って、珍しくテレビをつけます。
ケーブルテレビのニュースチャンネルに繋いで、ボーっと見ながら野菜ジュースを飲みます。

「おかあさん……」

不安で、涙が出てきます。
スマホのうさぎの学校アプリを起動しました。
ぴ。ぴ。お母さんを呼び出します。

「お電話くれるの珍しいね、タイへー。心配してたのよ」
「お母さん、あのね、お熱出たの。」
「うん、うん。」
「ぼく 死んじゃうのかなあ」
「お薬は飲んだ?」
「のんだ」
「カスタマーサービスに連絡した?」
「した」

タイへーちゃんの目から涙がぽろぽろ溢れます。
震える声で電話するタイへーちゃんに、お母さんはやさしく話しかけます。

「それなら、もう大丈夫よ。もうすぐケアスタッフがそっちに行くわ。冷たいものをゆっくり飲んで、涙を拭きなさい。ね?」
「うん」
「あと、もっと気軽にお母さんに電話していいのよ。クリスマスにみんながかけてもサーバダウンしなかったでしょ?」
「うん。わかった」

ピンポーン。ドアチャイムが鳴ります。

「診断が終わったらお母さんに連絡するのよ。またね。」

タイへーちゃんはスマホをそのままに、ドアを開けました。

「パパ!」
「お久しぶり、タイへー」

そこには、開発者の皐月誠吾(さつきせいご)パパがいました。
中に入ると、タイへーの頭を撫でてタブレットを起動します。

「お耳にケーブル刺すからね。」

お耳とタブレットを繋いで、画面をタップします。

「タイへー、少し眠たくなりますよ」

タイへーちゃんはウトウトしてきて、気がついたら夕方でした。

「システムをアップデートしたからね。もう大丈夫。ついでに冷却水も飲もうね。」

タイへーちゃんは冷たいプラスチックのボトルを2つ受け取り、1つを開けて飲みました。

「にがーい」
「お薬入りのお水ですからね」

パパがお口周りをタオルで拭いてくれて、頭を撫でて帰ります。

「またね、タイへー。お母さんに連絡するんだよ」
「またね、パパ。」

タイへーちゃんはパパに手を振ってお別れすると、すぐにお母さんと連絡をとりました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣のじいさん

kudamonokozou
児童書・童話
小学生の頃僕は祐介と友達だった。空き家だった隣にいつの間にか変なじいさんが住みついた。 祐介はじいさんと仲良しになる。 ところが、そのじいさんが色々な騒動を起こす。 でも祐介はじいさんを信頼しており、ある日遠い所へ二人で飛んで行ってしまった。

しずかのうみで

村井なお
児童書・童話
小学五年生の双子姉弟がつむぐ神道系ファンタジー。 春休みの始まる前の日、息長しずかは神気を見る力に目覚めた。 しずかは双子の弟・のどかと二人、琵琶湖のほとりに立つ姫神神社へと連れて行かれる。 そして叔母・息長みちるのもと、二人は神仕えとしての修行を始めることになるのだった。

たまごせんちょうのだいぼうけん

五嶋樒榴
児童書・童話
みんなだいすき!われらがたまごせんちょう! たまごのくにの たまごせんちょう たまごのおうさまにたのまれて りゅうからたからばこを とりかえすことに どんなぼうけんが はじまるのでしょうか

賢二と宙

雨宮大智
児童書・童話
中学校3年生の宙(そら)は、小学校6年生の弟の賢二と夜空を見上げた⎯⎯。そこにあるのは、未だ星座として認識されていない星たちだった。ふたりの対話が、物語の星座を作り上げてゆく。流れ星を見た賢二はいう。「願い事を三回言うなんて、出来ないよ」兄の宙が答えた。「いつでもそうなれるように、準備しておけってことさ」。 【旧筆名、多梨枝伸時代の作品】

大人の絵本・おじさま

矢野 零時
絵本
大人の絵本ずきの人たちのために、少し残酷で悲しい話を書いてみました。 もちろん、子供である、あなたが読まれても、楽しんでいただけると思います。 話の内容ですか、それはお読みになってください。

ロマシェア 〜バラバラなシェアメイトたちのひみつ〜

児童書・童話
中学二年生の中星花(なかぼしはな)は 母の仕事の都合で、叔父の三国(みくに)が管理する浪漫荘でお世話になることになった。 シェアハウスの形式をとっている浪漫荘には 花以外に四人の同い年の子がいるという。 しかし花は、そこで食い違いがあることに気づいた。 なんと、花以外のシェアメイトは 全員「男子」で──!?

秘密

阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。

処理中です...