詩「丸い世界」

有原野分

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丸い世界

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免罪符のような青空に
私たちは丸を見る

ピンク色のささくれ
下半身の不規則な歪み
爪の形をした雲

丸がより丸まっていく
その過程こそ黄金の
太陽の孤独だ

コップの中のなにもないという空間
扇風機から聞こえる狐の鳴き声
脚が四本の机とテレビ台の接地面

広がっていく丸
それは熱線を押しのけながら
それは世界をへこませながら


月に涙したあなたは
わたしの背後に手を回して
顔を覆う

透明な太陽
宇宙の果てに流されていく
螺旋を描きながら

その声は影だろうか
正方形に囚われた鉄だろうか
声が聞こえるだろうか

泣け、泣け、
ありがたいことに
我々は泣けるのだから…

夜空に浮かぶ
   
        穴

           そこに眠るのは
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