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ゆるいイケメン。
同じクラスのゆるい奴ら。
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入学式は案の定退屈だった。
体育館に入ると拍手で迎えられ、在校生が座る椅子と椅子の間の通路を通って自分たちの席に座る。
眠ってしまったのでほぼほぼ覚えてはいないが、在校生による校歌斉唱、校長からの挨拶を終え、式は御開きになった。
教室に入るとまだ席が決まっておらず、全員が適当な席へと着く。
担任の先生は美人の女教師で男どもが盛り上がる。
名前は、桜川遥(さくらがわ はるか)というらしい。
名前のとおり、どこか和を感じるような可憐さがある。
桜川先生はさっそく席を決めるくじを用意してきたようだ。
飛鳥の近くであれば万々歳なのだが‥‥
と思う時ほどうまくはいかないものだ。
飛鳥は廊下側へ、そして俺は窓側へ。
窓際いちばん後ろ、誰もが憧れる席である。こんな暖かくて春風が気持ち良い席、寝ろと言われているようなものだ。
脳裏には気持ちよさそうに寝ている猫カフェの猫たちが浮かぶ。
隣の席をみるととてもおとなしそうなメガネで三つ編みの女の子がいてほっとする。
チラッと目が合うと会釈をされたので会釈で返す。
特に会話はなかったがその後の自己紹介の時間で黒澤律(くろさわ りつ)という名前だとわかった。
問題は前の席で隣同士の二人だ。
「俺は橋本新(はしもと あらた)、俺のこと好きっていう女の子はみーんな相手してあげるから!連絡先はー、あ、みんなメモしてよ!」
いかにもチャラ男だ。
そしてその隣には金髪をくるくる巻いて素顔がわからないほど濃いメイクをした女。
「アタシの名前は月岡花(つきおか はな)、こんな見た目だけどぉ、みんな仲良くしてねっ!」
仲良くできなそうだ。
遠くで俺をみて苦笑いを浮かべる飛鳥。
飛鳥の周りは静かそうな奴ばっかりで羨ましい。
そして自己紹介は俺の番に、、
「渡辺静(セイ)です。よろしくお願いします。」
「えええええ!ちょっと待って!セイくん?しずかくんじゃないの?」
突然大声で叫ぶギャル。
「ごめんまじごめーん!さっきまでアタシ友達としずかくんイケメンじゃーんとか言ってた!名前間違えられるのいやだよねぇ!わたしは花なんて間違えようのない名前なんだけどぉ、ごめんね、よろしく!セイくん!」
‥‥意外にいい奴‥なのか?
わざわざ謝らなくていいのに、と顔の前で手を振る。
喋らなくても意図を感じ取ってくれたのか、にっこり笑って前を向くギャル。
ギャルってすげぇ。
その後、ギャルが人脈をつかって俺の本当の名前を広めてくれたおかげで、名前を間違えられることはほぼ無くなるのであった。
体育館に入ると拍手で迎えられ、在校生が座る椅子と椅子の間の通路を通って自分たちの席に座る。
眠ってしまったのでほぼほぼ覚えてはいないが、在校生による校歌斉唱、校長からの挨拶を終え、式は御開きになった。
教室に入るとまだ席が決まっておらず、全員が適当な席へと着く。
担任の先生は美人の女教師で男どもが盛り上がる。
名前は、桜川遥(さくらがわ はるか)というらしい。
名前のとおり、どこか和を感じるような可憐さがある。
桜川先生はさっそく席を決めるくじを用意してきたようだ。
飛鳥の近くであれば万々歳なのだが‥‥
と思う時ほどうまくはいかないものだ。
飛鳥は廊下側へ、そして俺は窓側へ。
窓際いちばん後ろ、誰もが憧れる席である。こんな暖かくて春風が気持ち良い席、寝ろと言われているようなものだ。
脳裏には気持ちよさそうに寝ている猫カフェの猫たちが浮かぶ。
隣の席をみるととてもおとなしそうなメガネで三つ編みの女の子がいてほっとする。
チラッと目が合うと会釈をされたので会釈で返す。
特に会話はなかったがその後の自己紹介の時間で黒澤律(くろさわ りつ)という名前だとわかった。
問題は前の席で隣同士の二人だ。
「俺は橋本新(はしもと あらた)、俺のこと好きっていう女の子はみーんな相手してあげるから!連絡先はー、あ、みんなメモしてよ!」
いかにもチャラ男だ。
そしてその隣には金髪をくるくる巻いて素顔がわからないほど濃いメイクをした女。
「アタシの名前は月岡花(つきおか はな)、こんな見た目だけどぉ、みんな仲良くしてねっ!」
仲良くできなそうだ。
遠くで俺をみて苦笑いを浮かべる飛鳥。
飛鳥の周りは静かそうな奴ばっかりで羨ましい。
そして自己紹介は俺の番に、、
「渡辺静(セイ)です。よろしくお願いします。」
「えええええ!ちょっと待って!セイくん?しずかくんじゃないの?」
突然大声で叫ぶギャル。
「ごめんまじごめーん!さっきまでアタシ友達としずかくんイケメンじゃーんとか言ってた!名前間違えられるのいやだよねぇ!わたしは花なんて間違えようのない名前なんだけどぉ、ごめんね、よろしく!セイくん!」
‥‥意外にいい奴‥なのか?
わざわざ謝らなくていいのに、と顔の前で手を振る。
喋らなくても意図を感じ取ってくれたのか、にっこり笑って前を向くギャル。
ギャルってすげぇ。
その後、ギャルが人脈をつかって俺の本当の名前を広めてくれたおかげで、名前を間違えられることはほぼ無くなるのであった。
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