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第4章 境界の扉が開くとき
◆11 厨房の二人②
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「えっ、すごい!スペシャル版ですか!?」
「冬場はこっちで行こうかなって考えてるとこなんだ。感想を聞かせて欲しくて」
「もうこんなの絶対美味しいヤツじゃないですか……!」
見ているだけで堪らなくなる。
21時近い時間のせいもあり、すっかりペコペコのお腹がグゥと鳴った。
厨房内は狭いけれど、そこに置かれていた小さな木の椅子があったので、勧められるままそこに座って食べることにした。
尊は両手を合わせ「いただきます」と言ってから、シンクに乗せられたお皿を手にして、アスパラにかぶりついた。
「美味ひぃです!」
「はは、食べっぷりが良くて嬉しいなぁ」
面倒見が良くて、こんな風にいちいち喜んでくれる清和は、良いお兄さんなんだろうなと思う。兄がいない尊には、何だか眩しい。
だからこそ、さっきの蒼真への言葉はスゴく気になっていた。
(本音でぶつかり合ったら、兄弟喧嘩じゃすまなくなる……か)
仲は良さそうに見える。
だが従兄弟同士の二人の関係性は、案外複雑なのだろうか――
ふと、また片付けなどを始めた清和の方を見直した、その時。
食事の手が止まる。
フォークからせっかく乗せた半熟卵がトロリと溢れ落ちてしまっても、あんぐりと口を開けたまま、尊は清和から目を離せなくなった。
……視えていたからだ。
此の世のモノでは無さそうな――不思議な何かが。
それは清和の肩の上に乗っている。
何度も目を瞬いて、二度見、三度見してみたが、その姿はやっぱり消えずにそこにあった。
体長は30㎝くらい。
白くて細長いしなやかな体躯は、イタチみたいな動物に似ている気がした。
肩の上でじっとしている訳ではなく、時折りフワリと浮いたりして、清和の身体の周りをくるくると回ったりしている。だが決して遠くにはいかず、付かず離れずを繰り返している。
(えっと……浮いてる時点で、もう普通のペットじゃないって分かるけど……何だろう……コレは??)
「うっつ」
呆然としながら食べ物を飲み込んだせいで、アスパラがおかしな所に入って咽せてしまった。ゴホゴホと咳き込む。
「そんなに慌てて食べるくらい、お腹が減ってた?」
そう笑って、清和が水を差し出してくれる。慌てて受け取り、ゴクリとひと口飲んでから、尊はようやく落ち着いて訊きたいことを口にできた。
「……あっ、あの清和さん……!」
「ん?」
「清和さんの肩に――白いイタチみたいな動物が乗ってるように視えるのは、俺の気のせいですか……?」
「!」
「冬場はこっちで行こうかなって考えてるとこなんだ。感想を聞かせて欲しくて」
「もうこんなの絶対美味しいヤツじゃないですか……!」
見ているだけで堪らなくなる。
21時近い時間のせいもあり、すっかりペコペコのお腹がグゥと鳴った。
厨房内は狭いけれど、そこに置かれていた小さな木の椅子があったので、勧められるままそこに座って食べることにした。
尊は両手を合わせ「いただきます」と言ってから、シンクに乗せられたお皿を手にして、アスパラにかぶりついた。
「美味ひぃです!」
「はは、食べっぷりが良くて嬉しいなぁ」
面倒見が良くて、こんな風にいちいち喜んでくれる清和は、良いお兄さんなんだろうなと思う。兄がいない尊には、何だか眩しい。
だからこそ、さっきの蒼真への言葉はスゴく気になっていた。
(本音でぶつかり合ったら、兄弟喧嘩じゃすまなくなる……か)
仲は良さそうに見える。
だが従兄弟同士の二人の関係性は、案外複雑なのだろうか――
ふと、また片付けなどを始めた清和の方を見直した、その時。
食事の手が止まる。
フォークからせっかく乗せた半熟卵がトロリと溢れ落ちてしまっても、あんぐりと口を開けたまま、尊は清和から目を離せなくなった。
……視えていたからだ。
此の世のモノでは無さそうな――不思議な何かが。
それは清和の肩の上に乗っている。
何度も目を瞬いて、二度見、三度見してみたが、その姿はやっぱり消えずにそこにあった。
体長は30㎝くらい。
白くて細長いしなやかな体躯は、イタチみたいな動物に似ている気がした。
肩の上でじっとしている訳ではなく、時折りフワリと浮いたりして、清和の身体の周りをくるくると回ったりしている。だが決して遠くにはいかず、付かず離れずを繰り返している。
(えっと……浮いてる時点で、もう普通のペットじゃないって分かるけど……何だろう……コレは??)
「うっつ」
呆然としながら食べ物を飲み込んだせいで、アスパラがおかしな所に入って咽せてしまった。ゴホゴホと咳き込む。
「そんなに慌てて食べるくらい、お腹が減ってた?」
そう笑って、清和が水を差し出してくれる。慌てて受け取り、ゴクリとひと口飲んでから、尊はようやく落ち着いて訊きたいことを口にできた。
「……あっ、あの清和さん……!」
「ん?」
「清和さんの肩に――白いイタチみたいな動物が乗ってるように視えるのは、俺の気のせいですか……?」
「!」
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