黒剣物語

第１章 壊れた平和と目覚めた男

1話 壊れた平和と目覚めた男

 羅針国、この国に今危機が迫っていた。
 魔界から突然魔界騎士団と呼ばれる騎士が攻めてきたのだ。

 「ぎゃーーーーー」

 「うぁーーーー」

 恐怖の声と人々の争う声助けを求める声魔法が発動し周りの人々が消し飛ぶ音が一人の少女の耳に入ってきた。耳に入ったその恐ろしい、恐怖の音は頭に入り脳に焼き付いてきた。
少女は恐ろしさで動けなくなっていた。

 「あ、あ」

 うまく言葉を発することができなかった。
彼女の心の中は一つの言葉で埋まっていた。

 （た、助けて、助けて助けて助けて助けて）

 口がうまく開かなかったので心の中でひたすら叫び続けた。
声に出さないと誰にも届くはずがないとはわかっていたが声を出して助けを呼ぶことができなかったのだ、、、、。

 コト、コト、コト

 黒い鎧を纏っている騎士が近づいてきた。
少女の前で止まり剣を振りかぶったその剣には赤いべっとりとした血が付いていた。
 
 少女は恐怖で動けなくなっていた。

 （た、す、け、て、）

 少女の足は恐怖で動かなくなっていたが決して希望を捨ててはいなかった。  
騎士の剣が顔に当たろうとした瞬間、、、。

 パキン

 何処からか、真っ赤に燃える火のような赤い髪、全ての悪を焼きつくような真っ赤に燃える太陽の瞳を持った男が上半身全裸の状態で現れ、左手で剣を受け止め剣を砕いた。

 「少女に手を出すのはまずいだろおっさん」

 騎士はもう一本の剣を腰から抜き男に斬りかかった。
少女はとっさに叫んだ。そう少女は生まれてから今までで一番大きな声で叫んだ。

 「危ない」

 しかし騎士の剣は ブン と音を立てただけで何も斬っていなかった。
 
 「あ、あれ？」

 少女は小さな声で心に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。
少女は基本無口で喋ることがなかった。口数が少なく友達は周りと比べ、とても少なかった。
その少女が心に浮かんだ言葉をそのまま発したのだ、それくらい衝撃な出来事が目の前で起こっていたのだ。
そう、先ほどまで騎士の目の前にいた男がいつのまにか騎士の後ろに立っていた。

 「こっちだよ」

 男が挑発すると騎士は剣を構え直し男に斬りかかった。

 「まだまだ、ここからが本番だ」

 男はニヤリと笑い言った。

 「いや、もう、終わりだよ」

 男はいつのまにか騎士の腹を殴っていた。鎧はわれ、中の人に直接ダメージを与えた。

 「ぐはっ」

 騎士の口から血が出て、その場に倒れた。
騎士を殴った後の男は少女に近づいてきた。