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44話 神・プリデビ☆決戦

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「ボウギャーク様~! どうか我ら庶民をお救いください……!」


「カンリキョクニ……シタガエ……」


「ボウギャーク様が言うなら……」


「これからは管理局に歯向かうのは止めて従順に生きよう。それが救いなんだ」


 チクショウ、やはり見た目のインパクトから、ボウギャークと化したモッツァレルを崇めるべき存在だと民衆が認識し始めてしまった。


「このままだと第7エリアは完全に管理局に飲まれてしまうのじゃ……!」


「大変だあ! それはたいへん」


「チューズデーが言うと緊張感が一気に減速するんだよな」


 とはいえ俺たちの必殺技も民衆の信仰と応援パワーではじき返されてしまう。一体どうすれば……


「そこまでですの! プリデビ☆トランスフォーム!!」


 キラキラキラキラ♪テッテッテレレレー♪


「こ、この軽快なBGMは……プリデビの変身バンク!?」


「新キャラなのじゃ!?」


 まさかこのタイミングで!? さすがに主人公すぎるだろオイ(歓喜)


 パアアアアアアアアアアア……!!


「水心あれば信じる心! 瞑想の水曜日! デビル☆ウェンズデー!」


 そこには天使のような白い翼を携えた、新たなプリティ☆デビルの姿があった。


「えっもしかしてハイドロか……?」


「今はデビル☆ウェンズデーですの」


「そ、そうか。ウェンズデー……まさかプリデビになるとはな」


「羽が生えてる! かわいい~!」


「チューズデーちゃんもお耳としっぽが可愛いですの!」


「ああもうそこ! 女子同士の謎の慣れ合いはいいからボウギャークをはやく倒すルナ!」


 慣れ合いとか言うなっておい。


 __ __


「ボウギャアアアアク!!」


「ボウギャーク様万歳! ボウギャーク様万歳!」


「ちょっと待つですの! わたくしはハーピィエルフ様の御使い、デビル☆ウェンズデーですの!」


「ハーピィエルフ様の……?」


「でも今デビルって……」


「ふん、ハーピィエルフ様はもう古い。これからはボウギャーク様の時代じゃ」


「ばっかもーんですのー!!」


「ブベエッ!?」


 ハーピィエルフを否定しボウギャーク教に乗り替わった庶民をぶん殴るウェンズデー。おいダメだろ。


「ハーピィエルフ様こそが唯一神! みんな管理局のいいようにされてるだけですの!」


「だ、だってよお……」


「何かにすがらないと辛い人生なんだよお……」


「わたくしに任せるですの」


 人生の路頭に迷う庶民を優しく諭し、ボウギャークへと向き直るウェンズデー。一体何をする気だ……?


「モッツァレル……そんな無惨な姿に……今わたくしが楽にしてあげますの。食らうですの! 必殺! “ウェンズデーの、難行苦行シャワー”!!」


 ウェンズデーが何か必殺技を発動すると、空からパラ……パラ……と雨が降って来る。


「雨を降らす能力? こんなんでボウギャークが倒せ……って、うわあああああなんじゃこれええええ!!」


 いきなり降ってきた雨に当たった途端、いきなり脳内に過去の辛かった出来事が走馬灯のように蘇る。
クラスの女の子にラブレターを渡したら翌日燃えカスを上履きに入れられた中学時代、受験に失敗して滑り止めすら落ちた高校時代、郵送した書類選考のエントリーシートが着払いで送り返された大学時代……


「な、なんだこの精神ダメージは……!!」


 よく見ると周りの人々も同じ状況になっているようだ。こ、これがウェンズデーの必殺技……?


「ボ、ボウギャアアアク……!! コ、婚活パーティー……売レ残リ……」


「あっボウギャークにも効いてるのじゃ!」


「精神ダメージで弱ってるみたいルナ! 今がチャンスルナ!」


「あ、俺も満身創痍だから無理……」


「しょうがないのじゃ。拙者たちで浄化してくるのじゃ」


「サンデー、だいじょうぶ~?」


 なんで君たちはノーダメなんだ。今までつらい経験してこなかったんか? 人生勝ち組か?


「この程度で苦しむボウギャークは神でもなんでもないですの! 成敗! ですの!」


「ボ、ボウギャアアア……ク……カンリキョク……シゴト……セキニン……ツライ……」


「本音が出たようじゃな。チューズデー、やっておしまいじゃ」


「プリデビ☆はっぴねす~!」


 パアアアアアアアア……


「シゴト……ヤメマス……」


 第7エリア管理責任者モッツァレル、討伐!


 ……。


 …………。


「皆さま、本当にありがとうございましたの。お陰で第7エリアもわたくしたちの大教会も救われましたの」


 ボウギャークと化したモッツァレルを倒し、第7エリアを解放することに成功した俺たちプリティ☆デビル。


「まあ今回は、ハイドロが1番がんばったけどな」


「プリデビになってくれてありがとうルナ」


「ハイドロよ、これからの第7エリアの平和はおぬしが守るのじゃ」


「お任せあれ! ですの! クラウト様にも協力してもらうですの!」


 これでここも第8エリアと同じくこちらの味方、クラウトの手の者が管理をしてくれるようになるだろう。そのうち第8、7エリア間の壁門も自由に通れるようになるかもしれない。


「さて、次はどうすっかな……」


「このまま横にいくなら第6エリアじゃな」


「第6エリアは管理局に対抗している庶民レジスタンスがいると聞きましたの」


「それなら協力してもらえるかもしれないルナ」


「じゃあ今度は第6エリアに、れっつご~!」


「でもその前に明日の買い出しいかねえと」


「第8エリアの市場にレッツゴー! じゃな」


 こうしてプリティ☆デビルは新たな仲間を加え、新たな戦場へと舞台を移すのであった……
負けるなプリティ☆デビル! がんばれプリティ☆デビル!
いつの日か国王サイザーをぶっ倒し、魔族と人間に平和をもたらすのだ!


「拙者たちの戦いはこれからなのじゃ!」


「いやそれ打ち切りフラグじゃねえか!」


 おしまい。



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