28 / 44
28話 壁になったピックルス
しおりを挟むエール王国、貴族エリア。第8エリア管理局。
「ミスターピックルス、困りますヨ。ワタシがせっかく作ったスペシャルなボウギャークをもう破壊されちゃうなんテ」
「も、申しわけないソイソス博士。プリティ☆デビルが呼び出した謎の巨乳女にやられてしまってな」
「アレ作るのにアバレールZを3本も使ったんですヨ。ただでさえ第8エリアは『あんはぴエナジー』の供給が減ってきてるんですかラ。このままでは第8エリアが管理できなくなるネ」
「つ、次こそは必ずプリティ☆デビルを打倒してみせるさ。この絶壁のピックルス、最後の勝負に出るのだ。だからソイソス博士、どうかアバレールZを分けてくれないだろうか」
「うーん、そこまで言うなら仕方がないネ。」
「そ、それでは……!」
「ミスターピックルス、ユーをスペシャルにしてあげるネ」
「え?」
__ __
「それじゃあ、あの下着はボウギャークの仕業だったのね」
「ええ、どうやらピックルスの策略だったみたいで……」
「店ごと破壊したからもう大丈夫ルナ」
身に着けた者を貧乳にする下着を販売していた店舗型ボウギャーク『ウォールマート』を倒したことで、ウェスタさん含め、被害にあっていた女性たちは元の胸を取り戻すことができた。
それに加えて、女性たちがウォールマートで買った下着代を、シャーチクさんがピックルスから奪っ……取り返したので、そのお金を街の善良なランジェリーショップに渡し、下着の無料配布を行なってもらった。
「そういえば、ウォールマートを倒した時に何故か少量のあんはぴエナジーの増加と、大量のはぴねすエナジーの増加がみられたルナ。今までボウギャークを倒した時と比べものにならないくらい大量だったルナ」
「ほーん。なんでだろうな?」
はぴねすエナジーが大量に出るのは良い事だが、なんであんはぴエナジーも増えたんだ?
「ああ、それなんじゃがな、おそらく……」
「女の人が、おっぱいぼーん! してた!」
「……は? おっぱいぼーん?」
「拙者とフレイムが教会からホワイト達のところへ向かう途中に見たんじゃがの、街にいたおなごの胸元がいきなり光り出して、巨乳になったのじゃ」
「それで、服がばーん! して、おっぱいがぼーん! になったの!」
「あ、ああー……」
シャーチクさんと同じように、ボウギャークが作ったマイクロ下着が消えて、もとの巨乳に戻ったことで、貧乳に合わせて着ていたトップスがはじけ飛んだと。
「まわりの男どものだらしない顔といったらなかったわい」
「それで女性からあんはぴエナジーが出て、周りの男どもからはぴねすエナジーが出たルナね」
「男って……」
それはまあ、うん。許してやってくれや。
……。
…………。
「シャーチクさん、どうですか?」
「はい、とても良いデザインのものが買えました。ありがとうございます」
喫茶ペチカの定休日。ボウギャークのお礼とお詫びということで、俺たちはシャーチクさんと一緒に街のちゃんとしたランジェリーショップへ来ていた。
「私も新しいの買い直したわ。サンデーちゃん達は買わなくていいの?」
「俺は別になんでもいいからなあ」
「拙者はサラシを巻いてるのじゃ」
侍かよ。
「フレイムはこれ!」
フレイムが手に持っていたのは、ふくらみを持たせた可愛いシルエットの、いわゆるカボチャパンツというやつだった。うん、年相応で良いと思います。
「でも変身したらもふもふになるから下着はいらないの」
「いや要らなくはないと思うけど……」
「サンデーにはこれが似合うと思うルナ」
「なんだ? ってこれほぼヒモじゃねーか!」
こんなん着てないのと一緒だろ。
「ルナちゃんは下着いらないの?」
「こやつは白衣1枚じゃからの」
「このヒモブラでも着けとけよ」
「そんなの着てないのと一緒ルナ」
「さっきお前が俺にオススメしてきたやつだよ!」
そんな感じでワチャワチャしつつ、周りを見渡す。
お店のお客さん達はみんな楽しそうに下着を選んでいる。ここの空間ははぴねすエナジーで溢れているのだろう。
男だったら、下着選びなんてほとんどのやつが適当に済ませて終わりだと思うが、女性にとっては日々のモチベーションに関わる大事なものなのかもしれない。
「あ、これなんかサンデーに似合いますよ」
「シャーチクさんのオススメかあ。どれどれ……ってこれ、ストライプのマイクロビキニ……」
「さすがシャーチク、サンデーの需要を分かっておるな」
「ホワイトちゃんもとい、サンデーちゃんは喫茶ペチカでマイクロビキニを着て欲しい女の子ランキング1位だものね」
「えっなにそれ!? 俺知らないんですけど!?」
「だってルナちゃんがこっそりアンケート集計してるもの」
まったく、中性的なスレンダーボーイッシュ女子にマイクロビキニを着せたがる国民性は日本と変わらないということか。
そんな感じで和気あいあいと下着選びを楽しんでいた時だった。
ピコン! ピコン!
『ボウギャーク、でたあ!』
「なにっ!?」
「ボウギャークじゃと!」
プリデビ☆チョーカーからボウギャーク出現のお知らせが届き、俺たちは慌てて店の外に向かった。
……なんか今回ドラ〇もんバトル〇ームみたいなアラーム音してんな。
「ゼッペキボウギャーーーーーク!!」
「なっ……なんじゃあアレは!?」
「おっきい壁だ!」
「絶壁ボウギャーク!?」
一体、何者なんだ……!?
「いやどう見てもこいつピックルスルナ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
異世界なんて救ってやらねぇ
千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部)
想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。
結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。
色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部)
期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。
平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。
果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。
その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部)
【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】
【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】
魔法少女になれたなら【完結済み】
M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】
【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】
【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】
とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。
そこから少女の生活は一変する。
なんとその本は魔法のステッキで?
魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。
異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。
これは人間の願いの物語。
愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに――
謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~
村雨 妖
恋愛
森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。
ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。
半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。
【完結】少し遅れた異世界転移 〜死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく〜
赤木さなぎ
ファンタジー
死体で異世界転移してきた記憶喪失の主人公と、敬語系×エルフ×最強×魔女なヒロインが結婚して、不老不死になった二人が持て余した時間を活かして、異世界を旅して巡る物語です。
のんびり旅をしていたはずが、気付けば神様との戦いに巻き込まれたりします。
30万文字超えの長編ですので、少しずつゆっくりと読んで、楽しんで貰えたらと思います!
おかげさまで、HOTランキング最高2位達成! 沢山読んで頂き、ありがとうございます!
――――――
■第一章 (63,379文字)
魔女様とのんびり森の中での生活を楽しもう!
と思っていたら、どうやら魔女様には秘密が有る様で……。
まだ名前も無い頃の二人の出会いの物語。
■第二章 (53,612文字)
二人は森の外の世界へと飛び出して行く。
様々な出会いをした、二人の旅の記録。
■第三章 (28,903文字)
長い旅から森へと帰って来ると、何者かによって二人の家は破壊されていた。
二人は犯人を捜す為に、動き出す。
バトル要素有り。
■第四章 (47,744文字)
旅の中で出会った龍に託された真実の目。
それを巡って、神との戦いへと発展して行く。
バトル要素有り。
■第五章 (68,773文字)
二人の旅の舞台は、海を越えて東の大陸へ。
謎のメッセージ、そして黒い泥の事件を追う。
第二章のテイストで進む東の大陸出の旅の記録。
■過去編 (約9万文字)
本編へと繋がる、かつての魔女エルと勇者アルが紡ぐ、冒険の物語。
一度は魔王討伐を諦めた勇者と、突然現れた最強の魔女が、魔王を討つ為、再び旅に出るお話です。
■第二部
エピローグ②とエピローグ③の間の物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ピンクの髪のオバサン異世界に行く
拓海のり
ファンタジー
私こと小柳江麻は美容院で間違えて染まったピンクの髪のまま死んで異世界に行ってしまった。異世界ではオバサンは要らないようで放流される。だが何と神様のロンダリングにより美少女に変身してしまったのだ。
このお話は若返って美少女になったオバサンが沢山のイケメンに囲まれる逆ハーレム物語……、でもなくて、冒険したり、学校で悪役令嬢を相手にお約束のヒロインになったりな、お話です。多分ハッピーエンドになる筈。すみません、十万字位になりそうなので長編にしました。カテゴリ変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる