上 下
22 / 44

22話 ボウギャークと化したビネーガ

しおりを挟む


「くそっ! せっかく新しい制服貰ってウキウキだったのによ」


「おぬし、そこまでガールズソウルが……」


「着実に心まで女子になってきてるルナ」


「なんでだよ、おニューのお洋服は嬉しいだろ」


 あれ? 俺ニートなのに……母さんにしま〇らで買ってきてもらった服とかばっか来てたのに……


「ま、まあそこは今は考えないでおこう。ほらサタン! ボウギャーク探しに行くぞ!」


「フレイムもいく~!」


「いや遠足じゃないんだから……」


「フレイムは私とお店の準備よ」


「え~……まあそれもいたしかたなしか~」


「おい、フレイムにサタンの変な喋り方がうつってきてるぞ」


「気品溢れる魔王言葉じゃから良いのじゃ」


 気品ねえ……


「みんな、気を付けてね」


「ウェスタさん……!」


「あ、あと帰りにパン屋さんでバゲット買ってきてくれる?」


「ウェスタさん……?」


 __ __


「それで、ボウギャークはどこにいるんだ?」


「出現位置の特定機能はまだ無いルナ」


「そこは自力で探さないとって……ん、どうしたんだサタン?」


「いやな、別に位置特定はせんでも問題ないと思うてな」


「サタン様、それはどういう意味ルナ?」


「ほれ」


「ん? ……あ」


 サタンが指さした方を見上げると、そこには巨大な……


「えっ……あれって……ビネーガ!?」


「ビネーガじゃのう」


「おっきいルナ」


 ビネーガお前……まじめにやってきたからデカくなっちゃったんか? いや女風呂覗いてんだから真面目にはやってねえか。


「ボウギャーーーク!!!!」


「ああっ! めちゃめちゃ街を破壊してるルナ!」


「とりあえずヤツを止めるぞ!」


「いくのじゃ!」


「「プリデビ☆トランスフォーム!!」」


 キラキラキラキラ♪テッテッテレレレー♪
 

「そろそろ早送りでも良いんじゃないかルナ?」


 いや俺は毎回フルでやってほしい派だから。


 パアアアアアアア……!!


「ジメジメ人生に一筋の光! 毎日が日曜日! デビル☆サンデー!」


「地獄の沙汰もキラキラ次第! 無敵の土曜日! デビル☆サタデー!」


「「美少女ヒーロー! プリティ☆デビル!」」


 さて、それじゃあ早速……


「必殺技発動! 『サンデーの、のーじょぶ☆制裁ストライク』!!」


「なっ!? おぬし、こんな初っ端から必殺技を!?」


 ふっ、前回の戦闘で分かっちゃったんだよね……最初からこれであの人を召還すれば勝ち確定ってことに。


 パアアアアア……


「…………」


「あ、シャーチクさんこんにちは。早速なんですけど、あそこで暴れてる無職のボウギャークが」


「いや、早出勤務は申請してませんので無理です。お疲れ様でした」


 パアアアアア……


「あれ?」


 労働の神シャーチクは、機嫌悪そうな態度で消えていった。


「……誰じゃ今の?」


「シャーチクさん。俺の必殺技」


「よく分からんが、タイミング良く発動しないとダメみたいじゃの」


「うん」


 世の中そんなに甘くはなかったか……社会って大変なんだな。


「ボウギャーーーク!!」


「おっと」


 バゴオオオオン!!


「あああああローン30年のマイホームがあああ!!!!」


「あ、やっべ」


 ボウギャークの巨大右ラリアットを避けたら、後ろにあった罪のない一般人の30年ローンマイホームが崩壊してしまった。
すまん、あいつ倒したら勝手に修復するからちょっと我慢してくれ。


「かっかっか! そんな召還した奴の気分次第な技より拙者の必殺技をぶっ放してやるのじゃ! くらえ!『サタデーの、ろーりんぐ☆更生ビーム』!!」


 …………。


『充填が終了していません。しばらくお待ちください』


「…………」


「どっちもどっちじゃねえか」


「くっ! しくったのじゃ!」


「あ、ちなみに必殺技は1日1回しか使えないルナ。ふたりともさっきので発動判定になってるルナ」


「「えっ!?」」


 プリティ☆デビル、大ピンチ!!


 __ __


「くらえっ! サンデーの強すぎストレート!」


 ※ただのパンチです。


「いくのじゃっ! サタデーの消滅確定ミドル!」


 ※ただのキックです。


「ボウギャーク!!」


「だめだ、俺たちの必殺技が全然効いてないぜ」


「全くじゃな、こやつかなりの強敵じゃぞ」


「いや、二人とも必殺技を自称したって意味ないルナ」


 必殺技が使えなくなっちゃった結果、決定打がなくてだらだらと打撃戦を続けている俺らwithボウギャーク。


「チクショウ! 最初の植木鉢やサイダー瓶のやつは普通に倒せたのに!」


「敵もパワーアップしてきてるってことじゃな」


 ニチアサのお約束展開が今になって牙を剥いてきたぜ……


「ボウギャーーーク!!」


「しかし、何故ビネーガ自身がボウギャークになってしまったんじゃ」


「分からねえけど、ヤツも後がないってことだな……」


 おそらく、ビネーガの上司のピックルスとかいうやつにやられたんだろう。ソースはニチアサ。
自分の部下をこんな状態にしちまうなんて、頭いかれてやがるぜ。


「そろそろ街の崩壊も、俺らの体力もヤバくなってきたぞ、どうするサタデー?」


「ふむ、相手も多少疲労してきておるようじゃが……」


 なにか、もうちょい強力な攻撃を加えられたら……


「あ、いたいた! おーいみんなー!!」


「……ん? って、えっ!? フレイム!?」


「危ないから店に戻るんじゃ!」


「えっとねー、ウェスタお姉ちゃんからの伝言でー」


「ど、どうしたルナ? そっちでも何かあったルナ?」


「パン屋さんでバゲットと一緒に食パンも買ってきてだってー」


 …………。


「そんなこと言うために妹を戦地に向かわせんなよ!!」


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法少女になれたなら【完結済み】

M・A・J・O
ファンタジー
【第5回カクヨムWeb小説コンテスト、中間選考突破!】 【第2回ファミ通文庫大賞、中間選考突破!】 【第9回ネット小説大賞、一次選考突破!】 とある普通の女子小学生――“椎名結衣”はある日一冊の本と出会う。 そこから少女の生活は一変する。 なんとその本は魔法のステッキで? 魔法のステッキにより、強引に魔法少女にされてしまった結衣。 異能力の戦いに戸惑いながらも、何とか着実に勝利を重ねて行く。 これは人間の願いの物語。 愉快痛快なステッキに振り回される憐れな少女の“願い”やいかに―― 謎に包まれた魔法少女劇が今――始まる。 ・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。

魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~

村雨 妖
恋愛
 森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。  ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。  半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。

【完結】少し遅れた異世界転移 〜死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく〜

赤木さなぎ
ファンタジー
 死体で異世界転移してきた記憶喪失の主人公と、敬語系×エルフ×最強×魔女なヒロインが結婚して、不老不死になった二人が持て余した時間を活かして、異世界を旅して巡る物語です。  のんびり旅をしていたはずが、気付けば神様との戦いに巻き込まれたりします。  30万文字超えの長編ですので、少しずつゆっくりと読んで、楽しんで貰えたらと思います!  おかげさまで、HOTランキング最高2位達成! 沢山読んで頂き、ありがとうございます! ―――――― ■第一章 (63,379文字)  魔女様とのんびり森の中での生活を楽しもう!  と思っていたら、どうやら魔女様には秘密が有る様で……。  まだ名前も無い頃の二人の出会いの物語。 ■第二章 (53,612文字)  二人は森の外の世界へと飛び出して行く。  様々な出会いをした、二人の旅の記録。 ■第三章 (28,903文字)  長い旅から森へと帰って来ると、何者かによって二人の家は破壊されていた。  二人は犯人を捜す為に、動き出す。  バトル要素有り。 ■第四章 (47,744文字)  旅の中で出会った龍に託された真実の目。  それを巡って、神との戦いへと発展して行く。  バトル要素有り。 ■第五章 (68,773文字)  二人の旅の舞台は、海を越えて東の大陸へ。  謎のメッセージ、そして黒い泥の事件を追う。  第二章のテイストで進む東の大陸出の旅の記録。 ■過去編 (約9万文字)  本編へと繋がる、かつての魔女エルと勇者アルが紡ぐ、冒険の物語。  一度は魔王討伐を諦めた勇者と、突然現れた最強の魔女が、魔王を討つ為、再び旅に出るお話です。 ■第二部  エピローグ②とエピローグ③の間の物語。

異世界なんて救ってやらねぇ

千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部) 想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。 結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。 色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部) 期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。 平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。 果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。 その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部) 【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】 【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

ピンクの髪のオバサン異世界に行く

拓海のり
ファンタジー
私こと小柳江麻は美容院で間違えて染まったピンクの髪のまま死んで異世界に行ってしまった。異世界ではオバサンは要らないようで放流される。だが何と神様のロンダリングにより美少女に変身してしまったのだ。 このお話は若返って美少女になったオバサンが沢山のイケメンに囲まれる逆ハーレム物語……、でもなくて、冒険したり、学校で悪役令嬢を相手にお約束のヒロインになったりな、お話です。多分ハッピーエンドになる筈。すみません、十万字位になりそうなので長編にしました。カテゴリ変更しました。

異世界の物流は俺に任せろ

北きつね
ファンタジー
 俺は、大木靖(おおきやすし)。  趣味は、”ドライブ!”だと、言っている。  隠れた趣味として、ラノベを読むが好きだ。それも、アニメやコミカライズされるような有名な物ではなく、書籍化未満の作品を読むのが好きだ。  職業は、トラックの運転手をしてる。この業界では珍しい”フリー”でやっている。電話一本で全国を飛び回っている。愛車のトラクタと、道路さえ繋がっていれば、どんな所にも出向いた。魔改造したトラクタで、トレーラを引っ張って、いろんな物を運んだ。ラッピングトレーラで、都内を走った事もある。  道?と思われる場所も走った事がある。  今後ろに積んでいる荷物は、よく見かける”グリフォン”だ。今日は生きたまま運んで欲しいと言われている。  え?”グリフォン”なんて、どこに居るのかって?  そんな事、俺が知るわけがない。俺は依頼された荷物を、依頼された場所に、依頼された日時までに運ぶのが仕事だ。  日本に居た時には、つまらない法令なんて物があったが、今では、なんでも運べる。  え?”日本”じゃないのかって?  拠点にしているのは、バッケスホーフ王国にある。ユーラットという港町だ。そこから、10kmくらい山に向かえば、俺の拠点がある。拠点に行けば、トラックの整備ができるからな。整備だけじゃなくて、改造もできる。  え?バッケスホーフ王国なんて知らない?  そう言われてもな。俺も、そういう物だと受け入れているだけだからな。  え?地球じゃないのかって?  言っていなかったか?俺が今居るのは、異世界だぞ。  俺は、異世界のトラック運転手だ!  なぜか俺が知っているトレーラを製造できる。万能工房。ガソリンが無くならない謎の状況。なぜか使えるナビシステム。そして、なぜか読める異世界の文字。何故か通じる日本語!  故障したりしても、止めて休ませれば、新品同然に直ってくる親切設計。  俺が望んだ装備が実装され続ける不思議なトラクタ。必要な備品が補充される謎設定。  ご都合主義てんこ盛りの世界だ。  そんな相棒とともに、制限速度がなく、俺以外トラックなんて持っていない。  俺は、異世界=レールテを気ままに爆走する。  レールテの物流は俺に任せろ! 注)作者が楽しむ為に書いています。   作者はトラック運転手ではありません。描写・名称などおかしな所があると思います。ご容赦下さい。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第、直していきますが、更新はまとめてになると思います。   誤字脱字、表現がおかしいなどのご指摘はすごく嬉しいです。   アルファポリスで先行(数話)で公開していきます。

処理中です...