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21話 プリデビ☆チョーカーの新機能
しおりを挟む「二人とも~! 制服、出来たわよ!」
「よっしゃあ待ちわびたぜこの時を!」
とある日の喫茶ペチカ、朝の開店前。仕立て屋から連絡があって出かけていたウェスタさんが、完成した俺たちの制服を持って店に戻ってきた。
今まで俺とサタンの制服の用意が間に合わず、プリティ☆デビルの変身コスチュームで働いていたのだ。
「おお~良いじゃん! なんか相変わらず俺の服は露出が多い気がするけど!」
「ふむ、クラシックにまとめてあってよい雰囲気じゃの」
「サタンちゃん、フレイムとおそろいだね!」
「ペチカ☆ツインズじゃな」
「お前らは急に現れた義妹アニメか」
「ぎまいってなあに?」
「お互いに背中を預けられるような仲ってことじゃな。盃で契りを交わすのじゃ」
「ちぎりパン?」
「いや色々間違ってるけどな。俺のツッコミ含め」
とはいえ、これで恥辱の日々ともようやくお別れか……今まではなんというか、コスプレ喫茶みたいだったからな。
これでようやく喫茶ペチカの一員になれた気がするぜ。
「あ、でも今までの服も可愛いから、プリデビ☆デーを設けて、その日はプリデビ衣装で接客してもらおうかしら」
「えっいや、それは」
「拙者は構わんぞ! あの服も中々気に入っておるからの」
「おい!」
おまえ、この間まで『こ、こんな出で立ちで戦になんぞ行ける訳がなかろう……!』とか言ってたじゃねえか!
「う、裏切り者がよ……!」
「む? 何の事じゃ?」
「それに、サンデーちゃんは女子人気が高いのよ~」
「え? 俺の女子人気、ですか?」
「すらっとしててかっこいい~だとか、スポーティーな服が似合ってる~だとか」
「ほう……」
な、なんかむずがゆいじゃねえか。まあ言われて悪い気分じゃないのはたしかだな。
「貧乳なのにあれだけ露出高い服着れる度胸に勇気もらった~だとか、比較して自信付いた~だとか」
「後半の二人は出禁にしといてください」
……。
…………。
「そういえば驚きましたよウェスタさん。フレイム、めっちゃ強いじゃないですか」
俺は市場でフレイムがビネーガをぶっ倒してしまったときの話をした。
サタンの様に、中身は元魔王なのじゃ~みたいなのはともかく、普通の子供があんなに強いのはやはり……
「ああ、そういえばフレイムの魔族返りについて、外見の特徴しか話してなかったわね。ご先祖様の魔族、ライカンスロープと同じように、フレイムも普通の人間より力が強いの」
「やっぱそうなんですね。まあお陰でこの間の戦いではだいぶ助かったんですけど」
まさかフレイムがビネーガを倒してしまうとは思わなかった。もちろんビネーガ自体は能力を持たないただの人間ではあるのだが、普通の子供と大人では力量の差は覆せないからな。
「フレイムつよかった?」
「ああ、めちゃめちゃ強かったぞ」
「じゃあフレイムもプリデビになれる?」
「なんじゃ、フレイムはプリデビになりたいのか?」
「うん! そしたらフレイムとウェスタお姉ちゃんを追っかけてくる敵をボッコボコのギッタギタのチョキンチョキンにできるから」
「……そ、そうじゃな。ボッコボコのギッタギタのチョキンチョキンじゃな」
「うん! ボッコボコのギッタギタのチョキンチョキン!!」
「チョキンチョキン?」
……きっと、そのピュアでちょっぴりダークな心を忘れなければ大丈夫! いつかなれるさ、プリティ☆デビルに。なんなら俺と変わるか?
「みんなお待たせルナ~」
「おうおうルナさんよお、随分遅いじゃねえか。もう開店準備終わっちまったぜ」
「マシュマロ林、おしごとがんばってるみたいで良い傾向ルナ」
「あれ……そういえば俺、なんでこんな必死に働いてるんだ?」
働いたら負けじゃなかったのか? 異世界ルーザーじゃねえか……
「ましゅまろばやし、なにかお悩み?」
「そやつはほっといて良いぞ。それでルナよ、何をやっておったんじゃ?」
「プリデビ☆チョーカーのアップデートルナ! ボウギャークが出現したらお知らせしてくれるようになったルナ」
「ほう、それは助かる。この間は拙者は役に立てなかったからの」
市場で俺とフレイムがボウギャークと戦っている間、サタンは店で働いていてピンチに気付けなかったことを悔やんでいるらしい。
「あと、この間の戦いではぴねすエナジーがかなり増加したから、追加で何個かプリデビ☆チョーカーを作ったルナ」
「なにそれ。保存用と布教用?」
「予備ルナ」
「誰に布教するんじゃ誰に」
え、誰だろ……教会の大司教様とか?
「フレイムもそれ付けてプリデビになりたーい!」
「フレイムはもうちょっと大きくなったらな」
「でもサタンちゃんは大きくないけど付けてるよ?」
「拙者はほら、器が大きいのじゃ」
「底に穴開いてそうな器だけどな」
「なんじゃとー!!」
小さいじゃねえか。
「プリデビは誰でもなれるわけじゃないルナ。時が来れば、選ばれし者が現れるルナ」
「……俺たち、強制的にやらされたよな?」
「うむ、まあまあ強引だったのじゃ」
「……最初の二人はそういうものルナ」
そうなんだ。
「それにしても、ボウギャークお知らせ機能ねえ」
「実際、どんな感じでお知らせしてくれるんじゃ?」
「そうルナねえ……」
ピコン! ピコン!
「ボウギャーク出現! ボウギャーク出現!」
「あ、こんな感じルナ」
「ほーん、なるほど」
「ふむ、中々分かりやすくて良いではないか」
…………
「って、ボウギャーク出てるじゃねえか!!」
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