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4話 レッツゴーエール王国!
しおりを挟む「えーと、なんだっけ? プリプリエビルさんだっけ?」
「あ、プリティ☆デビルです……」
「仕事は?」
「あ、旅芸人的なやつでして。姉妹でまあ、えへへ……」
「エール王国にはどんなご用で?」
「あ、人が多くて賑わっているエール王国でその、旅芸人として大道芸と言いますか、興行をやりたくてですね……」
「なるほど」
はぴねすエナジーを手に入れる為、いざエール王国へ! ということでやってきたのは良いのだが、
国民じゃないので普通に門番に止められた。とりあえず辺境の村から来た旅芸人という設定で入国手続きを行なう羽目になった。
「それにしても随分とまあ、破廉恥な格好だな。なんだ、場末の酒場で踊り子でもやってたのか?」
「ま、まあそんな事もありましたねえ……」
破廉恥言うんじゃねえよ。
「こんな小さい子まで、可哀想に……お嬢ちゃん、お金あげるからおじさんのことパパって呼んでくれない?」
「なにちゃっかりやらせようとしてるねん」
「え?」
「あーなんでもないです。でもそういうのはちょっと……」
「言ってくれたら入国申請一発クリアなんだけどなー」
「ほらさーちゃん、この人が新しいパパよ」
「(んなこと言うわけわけないじゃろ)」
「(いいから言え。このままじゃ入国すらできないぜ)」
「……パパ、にゅーこくさせてほしいなあ」
「よし、通れ」
終わってんなこの国。
「あ、はぴねすエナジーが増えたルナ。変身が解除できそうルナ」
「…………」
終わってんなコイツ。
__ __
「ふぃ~なんとか元に戻ったぜ」
いやまあ、女のままだから元には戻ってないんだけどさ。でもあんなコスプレコーナーでローアングル激写マンが湧きそうな恰好よりはマシだ。
「てかなんで変身解けるのにはぴねすエナジーが必要なんだよ。普通こういうエネルギー的なやつが減ってきたら勝手に解除されるもんじゃねえの?」
「それはどこの世界の普通じゃ?」
日本のニチアサだよ。
「しょうがないルナね~、じゃあルナが解説してやるルナ」
「おねがいなのじゃ☆ルナティーチャー」
「はぴねすエナジーというのは、いわば陽の気ルナ。そして自然界の摂理では陽は男、陰は女を現わしているルナ。つまりはぴねすエナジーが減っているということは陰の気が増えているということで、この場合女性的に優位な……」
「グー……Zzz」
「ムニャムニャ……もう食べられないのじゃ……Zzz」
「話を聞くルナ!!」
「ハッ」
いかんいかん。急に科学の授業みたいなヤツが始まったから睡魔が……妖怪のせいかな?
「国民を脅かす存在、ルナたちの敵を倒すには、変身して強くなる必要があるルナ。そんでもって敵を倒せれば、国民のはぴねすエナジーが増えて変身も解除できるルナ」
「自転車操業じゃねえか」
プラマイゼロだろそんなん。
「しかし、久々に王国へ来たが、なんというか、みな覇気がないの」
「なんつーか、平日のサラリーマンみたいなテンションだな」
やっぱ働いたら負けだな。ニート最高!
「最近の国内情勢に詳しい、王国在住の魔族とコンタクトを取ったルナ。この先で待ってるから、話を聞きに行くルナ」
「海外レポーターかな?」
ルナに案内されて向かった先は、寂れた市街地の路地裏だった。
「なんかいかにもって感じの場所だけど、本当にここで合ってるのか?」
「大丈夫ルナ」
「ルナ様、サタン様」
「ん?」
足元から声が聞こえる。んー……?
「うわっネズミ!」
「シャドーラットっていう魔族ルナ。この小さい身体と、影に潜む能力で、魔族排除作戦が行なわれた際もバレずに王国に隠れ住んでるルナ」
「あなたがマシュマロ林ホワイト様ですね。詳しい事情はルナ様からの影文で把握しております」
「影文?」
「王国の検閲にバレないように情報を伝える魔法ルナ」
「スパムメールならぬスパイメールってわけだな」
「は?」
「……」
「……あはは」
おいやめろやその反応。泣くぞ。
「それで、今のエール王国はどうなっておるんじゃ?」
「ええ、それが……って、事情は聞いてますがサタン様、本当にお可愛くなられましたね」
「うっさいのじゃ。はよ情報を話さんか」
「はい、それがですね……」
ラット君の話が長かったんで、簡単にまとめると……
エール王国は今の国王になってからクソになったよ。
王国は上中下のエリアに分かれてて、上層が王城エリア、中層が貴族エリア、下層が庶民エリアだよ。
下層の庶民エリアは8つの管理エリアに分かれてて、それぞれクソ貴族連中が管理してるよ。
「っていう感じですね。ちなみにここは第8エリアです」
「なるほどのう。昔は庶民の管理なんぞやってなかったんじゃが……」
「管理してる貴族連中は、庶民に低賃金での労働を強いている輩もおります。まったくひどいもんです」
偉い奴等ってのはどこの世界もやることが変わんねえな。俺がニートだったのも全部偉いやつらが悪い。
「それにしたって、管理してる庶民が一斉に反乱とか起こしたら貴族だってどうにもならないんじゃないのか?」
「それがですね、奴ら、庶民を力で押さえつける為の兵器といいますか、モンスターを開発したようでして……」
「モ、モンスター?」
「まさか、魔族を洗脳してるとかルナ?」
「いえ、魔族は関わってはおりません。あれはなんというか、もっと人工的な……」
そんな話を路地裏でコソコソしていた時だった。
ドスン……ドスン……
「キャー!! 誰か助けて……ッ!!」
「ギャーッハッハッハ!!」
「な、なんじゃ!?」
「で、出ました! ヤツです!」
「ヤツって、まさか例のモンスターか?」
「そうです! 貴族連中が開発した秘密兵器、ボウギャークです!!」
ボ、ボウギャーク……!?
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