なんてことないさ

かえだま漱石

文字の大きさ
上 下
1 / 2

眼科に行った話

しおりを挟む
「痛い・・・」

「目が痛い・・・」


朝起きると大多郎は自分の異変に気付いた。

重い身体をお越し洗面台に向かい鏡で確認してみると、まぶたが内出血していて目玉が赤くなっていた。


大多郎は一度部屋に戻ると部屋を見渡した。

「これか」

原因は壁に立てかけていたはずの重めのカレンダーであった。
それはちょうど頭上に立てかけてあったが、今はベッドの横に落ちている。


大多郎は1階に行き母ジュディに目を見せると、一応病院に行っておこうということになった。

大多郎は私服に着替え、壁に休日であることに対する不服な思いをぶつけると足早と近所にある美女眼科へと向かった。


「こんにちは!」

この眼科は美女が多く、とても接客が良い。
そのせいなのかはわからないが、この地区の目の怪我の患者数が異常に多い。


「こんにちは~」

「今日はどうされました?」

看護師が尋ねてきたので、大多郎は朝の出来事を伝えて座って待っていると、すぐに名前を呼ばれた。


「大田さーん! 視力と眼圧の検査をするのでこちらへどうぞ!」


(眼圧ってなんだろう)

そう大多郎は思ったが、特に気にすることもなく視力の検査を終わらせた。


「次は眼圧の検査をするのでこちらにお願いします」

大多郎は言われた通り席に座ると、特殊な機器に顎を置き穴を覗いた。


「少し風が吹きますが、できるだけまばたきはしないでくださいね~」


大多郎はここで眼圧の検査というものを理解し、同時に看護師のニュアンスから爽やかな風を想像した。


「じゃあいきますね」 バシュッ!!

「あうっ!」



大多郎は怯えた。

効果音から察していただきたいのだが、それはそれはかなりの風圧だったのだ。

おかげで大多郎は普通に目を閉じてしまっていたし、びっくりして変な顔もしてしまった。更に変な声も出てしまい、それに対して看護師さんが何もふれてこないことによって逆にもやもやしてしまう。


大多郎の心はもうすでにボロボロだった。


「それでは大田さん、待合室で少しお待ちくださいね」

大多郎が待合室で待っているとひそひそと声が聞こえてきた。



「あらー」

「ほんとにー?」

「だからさー」

「うふふ」


大多郎は気になってしまった。

そして大多郎はポスターを見るふりをしつつ看護師さんの方に一瞬顔を向けた。



(今一瞬目が合ったな)

大多郎は目つきを鋭くし、他の人にバレないように目の前にあったガラス棚の反射を利用し、できる限りすかした顔を作ってみせた。



「大田さーん! 大田 大多郎さーん!」


「はいっ」

大多郎は考えた。

先生に「抱いて」と迫られたらどう返そうか。

彼は頭の中ではすでに40以上のパターンを経験していた。


大多郎は静かにスッと立ち上がり自分の身だしなみの最終チェックを行った。



だが、彼は気づいてしまった。


ズボンのチャックが全開になっていることに。




この日、大多郎の目に異常はなかったが、精神に大きな大きな爆弾を抱えることになってしまったのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...