3 / 3
act2 虹のむこうへ
act1 虹のむこうへ①
しおりを挟む「ううん……、いい」
まさかこの世に、こんな行為をみずから望んで人前で平然とできる女性がいるということが信じられない。
そんなアベルの想いなど露ともかえりみるわけもなく、アイーシャは恍惚とした表情を顔に浮かべ、腰をゆっくりと動かしはじめる。
化粧をほどこしているために、身体より色が白く見える顔が、愉悦に赤く染まっている。
「ああ……ん。ああ、いいわぁ……」
アベルにはひたすら驚倒ものの光景だった。己の取らされている苦しく恥ずかしい姿勢もわすれて、ただただアイーシャの姿を凝視していた。
サライアもアーミナもエリスも驚きもせず平然と見ていることは、彼らはすでに見慣れているのだろう。
彼女の動きに合わせて手足の銀輪も揺れる。アベルのものとおなじく檜皮色のサンダルが、ひどく猥褻に見える。あのように浅ましい姿を自分もつい先ほど晒したのかと思うと、アイーシャの淫猥なすがたに自分自身がかさなり、アベルはいたたまれない。
目を逸らしたい。だが逸らせない。
「ん、んんん、ああ、ああ……陛下ぁ」
耳をおおいたい。だが、出来ない。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
アベルの前で、アイーシャという妖艶な毒花が、開花しはじめている。
アベルは恐怖すら感じながら、つい先ほどまでは、まがりなりにも人の形をしていた生き物が、なにか別の生物に変成していく様を魅入られたように見つめつづけた。
(私も……あんな風になっていたのだろうか?)
強制されたとはいえ、不様な姿で死ぬほどの恥辱をあたえられた果てに、快を得てしまった。その様をすべて見られていたのだ。
自分もまた、今のアイーシャを見ている自分とおなじように、見る者からそう思われていたのかもしれないと思うと、全身から火が吹くほどの羞恥を感じる。
「うう……、いい、いい、いいわぁ!」
と言いつつ、アイーシャの黒い眉が歪んでいるのは、激しく極めた快楽には、ときに辛さも含んでいるのだろうか、とアベルはぼんやりと考えた。
「ああ! はぁ……っ」
天井に向けて放った彼女の吐息は、桃色に染まっているようだ。
女性と本物の接吻すらまだしたことのないアベルには、ひたすら異様な見物で、アイーシャのみならず、グラリオンというこの国が、この国の宮廷が、さらに後宮というものがつくづくおぞましく思えてきた。いや、女という生き物がそのものがおぞましく思えてきた。この世のすべての女性というものは、こんな魔性を身の内に持っているものなのか。そう思うと空恐ろしくさえなってくる。
まさかこの世に、こんな行為をみずから望んで人前で平然とできる女性がいるということが信じられない。
そんなアベルの想いなど露ともかえりみるわけもなく、アイーシャは恍惚とした表情を顔に浮かべ、腰をゆっくりと動かしはじめる。
化粧をほどこしているために、身体より色が白く見える顔が、愉悦に赤く染まっている。
「ああ……ん。ああ、いいわぁ……」
アベルにはひたすら驚倒ものの光景だった。己の取らされている苦しく恥ずかしい姿勢もわすれて、ただただアイーシャの姿を凝視していた。
サライアもアーミナもエリスも驚きもせず平然と見ていることは、彼らはすでに見慣れているのだろう。
彼女の動きに合わせて手足の銀輪も揺れる。アベルのものとおなじく檜皮色のサンダルが、ひどく猥褻に見える。あのように浅ましい姿を自分もつい先ほど晒したのかと思うと、アイーシャの淫猥なすがたに自分自身がかさなり、アベルはいたたまれない。
目を逸らしたい。だが逸らせない。
「ん、んんん、ああ、ああ……陛下ぁ」
耳をおおいたい。だが、出来ない。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
アベルの前で、アイーシャという妖艶な毒花が、開花しはじめている。
アベルは恐怖すら感じながら、つい先ほどまでは、まがりなりにも人の形をしていた生き物が、なにか別の生物に変成していく様を魅入られたように見つめつづけた。
(私も……あんな風になっていたのだろうか?)
強制されたとはいえ、不様な姿で死ぬほどの恥辱をあたえられた果てに、快を得てしまった。その様をすべて見られていたのだ。
自分もまた、今のアイーシャを見ている自分とおなじように、見る者からそう思われていたのかもしれないと思うと、全身から火が吹くほどの羞恥を感じる。
「うう……、いい、いい、いいわぁ!」
と言いつつ、アイーシャの黒い眉が歪んでいるのは、激しく極めた快楽には、ときに辛さも含んでいるのだろうか、とアベルはぼんやりと考えた。
「ああ! はぁ……っ」
天井に向けて放った彼女の吐息は、桃色に染まっているようだ。
女性と本物の接吻すらまだしたことのないアベルには、ひたすら異様な見物で、アイーシャのみならず、グラリオンというこの国が、この国の宮廷が、さらに後宮というものがつくづくおぞましく思えてきた。いや、女という生き物がそのものがおぞましく思えてきた。この世のすべての女性というものは、こんな魔性を身の内に持っているものなのか。そう思うと空恐ろしくさえなってくる。
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる