青とは気持ちのひとつ

彩城あやと

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Maybe blue

Maybe blue 真沙也side②

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ぷぁぁぁぁん。と車か何かのクラクションが聞こえる。排気ガスや濁って汚れた空気を吸い込み、ピカピカと光るネオンをみあげる。ざわざわとした人混みの中、真沙也は瀧川を待っていた。
土曜日の今日、またいつものように「飲みにいくぞー」と誘われたのだ。
瀧川と寝てから5日経っていた。
あの後、先輩に抱えられて自分の部屋に帰ってから、いつもの日々だ。
あれから、先輩とプライベートで会っていない。会社で顔を合わす位で、会社で会ってもあの日の事が嘘のように、先輩はいつもの先輩だった。
ただ、「メールって苦手でな。」と言って毎晩のように短い電話をくれた。でも、電話の内容は普段通りのたわいのない会話だ。
先輩は無かった事にしたいのかな?真沙也は自分のつま先を見ながら思う。
先輩、女にもよくモテるし、何かすごいテクニシャンだったと思うし、普通に女が放っておかないだろう。
あの日、俺と寝て、一度で冷めてしまったのかもしれないな。やっぱり俺は男だし、あんまりよくなかったのかもしれない。
でも、こうして、誘ってくるんだからな。ま、可能性がない。わけじゃだろ。
煙草に火をつけてふーっとはき出す。
女の子がまた、ナンパしてきた。今日は多いな。
俺もう、先輩としかエッチ出来ないよ。それでもいいの?
そう言ってやりたくなったが、この女には関係ない事だし、会話をするのもめんどくさい。無視しておくか。
そう、あれから先輩じゃないと俺の分身は殆ど反応しなくなった。あの日があんまり強烈だったので、インポにでもなったのかと思えば、会社の喫煙ブースで先輩の匂いや仕草で反応するのだ。
やりきれない。
先輩は誘ってくれないし、俺は自分からどう誘ったらいいのか分からない。
それなのに、最近やたらと社内の人達が食事や飲みに行かないかと誘ってくる。俺が一緒に行きたいのはあんた達じゃないし、
先輩に誘われるのを待ってるから予定は入れられない。
毎晩、先輩からの電話が鳴るたび、マンションへ呼んでくれないかと思うが、それもないし、俺からは言えない。
ようやく今日、先輩が誘ってくれたが、いつものように「飲みにいくぞー」だ。
色気も何もあったもんじゃない。
それなのに、今日いく服とか、髪型なんかキメるのにすげー時間かけて、新しい香水まで買ってしまった。
早く会えないかと逸る気持ちを抑えても、声かけて来るのは知らない女ばかり。
まぁ、早く会いたくて待ち合わせ時間の30分も前に着いてしまったから仕方ないか。
何だか、早く来たら来たで、落ち着かない。
先輩に早く会いたいけど、二人きりで会うのって、なんかこう緊張するな。
俺はサングラスをつけてもう一度煙草に火を付ける。
ふーっ。何やってんだ俺。訳わかんね。
「真沙也。早かったんだな。」
ポンと肩を叩かれ振り向くと、そこには先輩がいた。
どきん。としたが、サングラスで、動揺は隠せているだろう。
「先輩も早いじゃないですか?」
「ん?まぁお前に早く会いたかったしな。」
「だから、何すかその殺し文句。」
思えばいつもの会話。
でも、嬉しくて笑ってしまった。
「ん?なんか香水変えた?」
先輩が屈み込んで首辺りをすんすん。と嗅いでる。
駄目だ。なんか意識してしまう。
「いー匂いだな。お前に似合ってるよ。」
「どーも。」
「何か、今日は一段とクールビューティだしな。あっ最近、お前のクールビューティぶりが上がて、すげぇ色っぽいって社内の奴らも騒いでいたぞ。」
「何すかそれ。」
色っぽくなったって多分先輩の事考えて欲求不満だったってだけで
今日は、先輩と会えるから気合入れてただけだし。
あー。もう。俺ってだだ漏れじゃないか。
「相変わらず、自意識ねぇなぁ。まぁいいや、腹減ったし、どっか行こうぜ。」
「じゃあ、FBに行きます?」
「……んー。いや、「さかなやちゃん」でいいか?サザエの刺身食いてー。」
「いいっすよ。」
「さかなやちゃん」とは漁師の息子が経営している雰囲気のある店で、直送された鮮度の高い魚介類を提供してる店だ。
二人のれんをくぐると
壁との間に間接照明と木が植えられているカウンターに案内された。店内は間接照明で仄暗く、うっすらBGMが流れている。
サザエやお造り、煮付けなどを注文し、ビールで乾杯する。
俺が煙草に火を付けて煙をはき出していると
「真沙也、これ。」
先輩が黒くて細い箱をことりと置いた。箱には白いリボンがかかってる。
「何すか?これ?」
「開けてみろ。」
リボンを解いて箱を開けると中にはシルバーのクロムハーツのペンダントが入っていた。
「前にお前に似合うだろうなって思って買ってしまったんだ。男が男にペンダントなんかプレゼントしたらおかしいかと思ってずっと渡せなかったんだが、告った後ならプレゼントしてもおかしかないかと思って。」
「……えっ?」
「下心なんかねぇよ。いらないなら捨ててくれ。」
「いや、大事にしますよ。」
どうしよう、すげえ嬉しい。俺の事考えて買っててくれたなんて。…こうやって誘ってくれて、プレゼントまでくれてるなんて。やっぱりまだ、先輩は俺の事、想ってくれてんだ。
俺は今身につけてるアクセを外して、変わりにクロムハーツをつける。
「思ってた以上に似合うな。色っぽいぞ。」
先輩は眩しそうに目を細め、指先でペンダントをそっとなぞる。
かぁっと顔が赤くなる。意識してんの俺だけかよ。
「…首まで赤くなってるぞ。」
「……!先輩がはずい事言うからでしょう。」
「真沙也。そんな可愛い顔、見せんな。」
「だから、何すかその殺し文句。」
先輩はビールを飲みながらくっくっと自嘲的に笑い。カップをたんっと置いた。
「大丈夫だよ。もう、なんもしねーから。安心しろ。」
その時、俺の中で何かが、パリンッ!と音をたてて壊れた。
……やっぱり、俺、飽きられてたか。煙草をぎゅっと灰皿に押し付けると、胸がぎゅっと痛んだ。
俺と先輩はエッチして、先輩は俺の事が好きじゃなくなり、変わりに俺が先輩の事を好きになったって事か。
抱いたら、気持ちが冷めたなんて、男にはよくある。肉欲が満たされたら我に返るんだ。よくある話。
このペンダントは先輩の思い出にすらならないって事…。
…なんだってんだ。
「抱かれなきゃ、よかった……。」
ぽつりと言葉が零れる。
抱かれなければ、先輩は俺の事好きなままでいてくれたかもしれない。
先輩は体をびくりとさせて
「真沙也…。あの夜は悪い事した。」
たまらないっと、いったようにふいっと顔を背けた。
……なんで謝まるんだよ。先輩、後悔してるみたいに聞こえる。
手足がビリビリと痺れて頭がぐらぐらする。
どうしよう一人になりたい。自分が惨めで、情けない。いっそ、この男の前で泣いて責めてやろうか。
毎晩電話くれた事、今日の殺し文句。
泣いて告白までしたくせに、ヤりたかっただけかよ!馬鹿にするな!と、わめいてやりたい。
でも、言葉が出ない。
これ以上、先輩の口から何も聞きたくない。聞くのが怖い。これ以上、惨めになりたくない。
唇を噛み締めてると、後ろから、声がした。
振り向くとそこには色香を振り撒くようにして吉野雅人がいた。
俺が振り返ると同時に雅人は俺に駆け寄って来た。
「真沙也っ!」
「雅人さん……。」
「携番聞いてなかったから、ずっと探してた。FBにもずっと来てなかったみたいだな。……この間はすまなかった。真沙也にずっと会いくて探してたんだ。」
雅人さんは震える手で俺に手を差し伸ばし、あったかい手が俺の頬にそっと触れる。
それが、スイッチみたいに涙が零れた。
俺は好きな人に振られて、傷付いてた。
そう。俺は悲しくて悲しくて。ただ、泣きたかったんだ。
「……真沙也。」
目を閉じると雅人さんの指が涙をそっと拭ってくれた。
「真沙也っ!」
先輩の声とバチンっという音と一緒に雅人さんの手が離れた。
驚いて目を開けると、先輩がものすごい顔で怒っていた。
「おまえっ!流されるなっ!」
「……それを先輩が言うか?」
「………っ!」
俺はゆらりと立ち上がる。
一人になりたい。
「真沙也!」
ぐいっと先輩が肩をつかむ。
「俺に触るな!」
振り払うと、雅人さんがぐいっと俺の腰を引き寄せた。
甘い香りが漂い。先輩ではない香りが心を凍らす。
それでも雅人は俺の髪に顔を近づけて囁く。
「…真沙也。」
「あんたもだよ。触るな。」
ギロリと睨むと、雅人さんはぎょっとして、するりと手を離した。
「俺をオモチャにすんじゃねー」
俺はサングラスをかけて店を出る。
「待て!真沙也!」
先輩が追いかけてくるが、待つわけない。
走って逃げるなんて情けなくて出来ない。
「真沙也!」
先輩は俺の前に立ちはだかり、行く手を遮った。
「何?」
はやくひとりになりたい。
「俺はお前をオモチャだなんて思ってないぞ!」
「そう。それならよかった。」
もう、何も聞きたくない。
あの夜の俺は先輩からしてみれば、ただのセックスドールだ。そして、今はその価値すらないのだ。
するりと先輩をよけて前へ進む。
「聞いてくれ!あの夜の事は本当に悪かった。」
やめてくれ。傷口が開いてしまう。
「いーよ。別に。」
俺は通り抜けざまに言い放ち、そのまま歩きだした。
心がバラバラになりそうで、掻き集めて歩くしかなかった。
「真沙也っ!」
ぐっと腕を掴まれた。
「離せっ!」
振りほどこうとしたが、先輩の力の方が強い。
かぁっと頭に血が昇る。
「謝るなっ!何ももう、聞きたくないんだっ!一人にしてくれ!」
手を振りほどこうと暴れるが腕は掴まれたままだ。
「真沙也っ!」
ぐいっと先輩に引き寄せられ、抱きしめられてしまう。
嵐に巻き込まれてまったかのように訳の分からない感情に涙がでた。あたたかいこの腕の中。
ふられた先輩に抱きしめられて、振りほどく事が出来ない。
嬉しくて、辛くて。
離れたくない。
俺からは離れられない。
だから、お願い離して。
もう。いい。
「…先輩、もういいよ。いいんだ。同情なんて、いらない。」
「…ちょっと待て。」
「嫌だ。離してくれ。」
先輩の胸に顔を埋めて訴える。
「馬鹿、聞け。
……俺は真沙也の事、愛してる。同情じゃねぇ。」
「………えっ?」 
「えっ?ってお前…。ああっ!もう!こんな往来で何やってんだ?ほらっ!ちょっとこっちに来い。」
先輩は、ぽっかりと穴のあいてしまったこの体を路地裏まで引っ張り込んだ。

*******
ビルとビルの間に挟まれた路地からはネオンで華やいだ表通りが見える。
「真沙也、大丈夫か?ほら。」
先輩はハンカチを取り出して手渡してくれた。
俺はそのハンカチで、涙をぐいっと拭うと、先輩はすっと頬を撫でてくれた。
「なんか、誤解させてしまったみたいだな。はっきり言うぞ。俺はお前の事、好きだ。もう、どうしようもない位に。」
優しく覗き込んで、先輩はそう言った。
ぽつり。とまた涙が出てくる。
「ああ。頼むから泣くな。どうしたらいいか、分からなくなるだろ。」
ハンカチを奪い取り拭いてくれる。
「…お前は?お前は、俺の事どう思ってる?はっきり言ってくれて構わない。」
先輩が息を飲んで見つめてる。
「…好きだよ。」
「それは恋愛感情か?」
こくりと頷くと、先輩は雷にでも落とされたような顔をした。
「…真沙也、キスさせろ。」
「……っん!」
ぐいっと引き寄せられて
先輩の噛み付くようなキスに目が回る。
先輩は本当に痺れるような長い長いキスをしてくれた。
二人が唇がゆっくり離れて、俺を抱きしめてくれた。先輩の香水の香りと体温が痺れてしまった心に澄み渡る。
先輩が大きくため息をついた。
「なんでおまえ、オモチャにするな。とか言ったんだ?」
体温をもっと感じたくて、先輩の胸元に頬を当てる。
「…先輩があの夜の事、謝るから、一度、寝てみて俺に飽きたか、興味なくなったと思ったんだよ。所詮体だけで、オモチャにされたと思った。…好きとか言ってくれなかったし。それで、もう何もしないって言うから、オモチャでもなくなったんだなっと思って。」
「…なんでそうなるんだ?俺はお前を抱いて前以上に、どーしようもなく好きんなってんぞ。毎晩電話もしたろ?
謝ったのは、お前の流されやすい性格にだな、利用してヤった感じななったから悪かったと思ったからで…性欲だけ満たしたい訳じゃないんだ。だから大切にしてちゃんと俺の事好きになってくれるまで待っていようと思ってだな。」
先輩は話ししているうちに興奮してきたのか、一気にまくし立てる。
「あの夜の後、お前は歩けなかっただろう?俺、優しくしようと思ってたのに、勝手も分かんねーのに暴走しちまって…。傷付けて嫌われたんじゃないかと
思って出社したら、お前ふつーにいつも通りだし。このまま、何もなかったかのようになっちまうのかと凹んで。でも、諦めきれないから、今日誘って、一から始めようと思ったのに…」
先輩はぎゅうっと抱きついてきて
「おまえ、寝なきゃよかったとか言うし…」
その肩が少し震えてる。
「目の前が真っ青になったところに、おまえあのフェロモン男を見て泣くし、こいつになら流されるのかと思うと、はらわた煮えくりかえる想いだったよ。もう、俺、おまえをさらって閉じ込めてしまいたかった。」
「先輩…。」
ぎゅっと抱きしめかえすと
「真沙也。大好きなんだ。俺のだけのものになってくれ。俺に…流されたって事でもいいから。」
「先輩…。
もう、俺が流される事なんて二度とないですよ。
俺、先輩の事大好きなんです。大切にしたいんです。」
先輩はぎゅっと抱きしめたまま、肩を震わせていた。


二人でタクシーに乗り込んで流れる景色を別々に見てる。沈黙でも、心地よくて。幸せで。
空調の効いた空間でつないだ先輩の手は少し汗ばんでいて、
景色を眺める先輩のクールな横顔は、緊張を押し隠したポーカーフェイスなんだろうなと思うと、くすり。と笑ってしまった。

*********
先輩のマンションに入ると靴も脱がずに噛み付くようにキスしてきた。
「はっ……はぁ。んっ!」お互いの息使いが玄関に響く。
先輩が首筋に吸い付き、シャツを捲り上げて素肌に触れる。切羽詰まったような求め方に焦る。
「せ、先輩っ!ちょっと、待って!」
「無理。」
「あっ…!ちょっ…!本当に待って下さい。先輩、暴走してます!」
先輩は動きをぴたりと止めて、俺を覗き込むように見る。いつもは爽やかな顔が情欲を宿して色っぽく、目をそらしてしまう。
「分かったよ。」
「…シャワーも貸して下さいよ。」
このままでは、部屋に入るなり、ヤりかねないな。そう思って口にする。
靴を脱いで、部屋に入ろうとすると、ぐいっとと手を引かれる。
「じゃあ、一緒に入るぞ。」
「えっ?ちょっと!先輩?」
先輩は振り返るとにやりと笑った。
「男同志だ。背中流してやるよ。」
「…いや、風呂はゆっくり一人で入りたい派なんで。」
「遠慮するな。」
ぐいぐい引っ張られバスルームにつく。
「このマンションはファミリー向けのマンションだ。バスルームも広いぞ。二人でも、ゆっくり出来る。」
そう言って、上着を脱がしてくれる。
「ええっ?いや、自分で脱ぎますからっ」
「遠慮しなくていいぞ。」
「…服くらい自分で脱ぎます。一緒に入りますから、先輩は先に入って下さい。」
アクセを外しながらそう言うと先輩は納得してくれたようで服を脱いでバスルームに入って行った。
俺も服を脱いてバスルームに入ると、先輩の言った通りこのバスルームは広かった。片面が鏡ばりになっていて、余計に広く見える。
「背中流してやるよ。」
先輩がタオルを泡だてて、体の隅々まで丁寧に洗ってくれた。
シャワーで流そうとすると
後ろから胸を撫でられた。
「まだ、綺麗になってないぞ。」
突起が先輩の手に引っかかって腰の辺りにじんっとくる。
「あっ……」
「ぬるぬるして気持ちいいか?」
ちらりと視界に入った先輩のモノは大きく反り返っている。どくん。と胸が鳴った時に
指で乳首をつままれて、キスされた。
唇と乳首を執拗に責められて息が上がってしまう。
「可愛いな。舐めてやりたいけど泡が邪魔だ。」
先輩はシャワーを捻った。身体中の泡が流されて、バスルームにしっとりと熱気がたつ。
「真沙也の乳首、エロいんだよな。」
「ちがう…」
恥ずかしくなって首を振るとぎゅっと乳首をつままれた。
「んっ!」
「違わない。すげぇエロい。見せてやるよ。」
シャワーノズルを鏡のほうにむけると、曇っていた鏡に水が流れ、絡んでいる二人がうつる。
「やめろっ…」
顔をそらすが、顎を掴まれ
「真沙也、ちゃんと見てろ。ほら、乳首、立ってるだろう?見えるか?」
「ああっ…ん…」
鏡には露わな俺がうつっていた。
指先でいじられて、ぷっくり赤くなってる乳首や、先輩に顎を掴まれてる顔は頬を上気させている。
潤んだ目は情欲に揺れ、薄く開いた唇からは吐息がもれている。性器は反り返って、いやらしい。
「………!」
目を伏せると、
先輩が笑っている。
「俺に触られてこんなになっているんだ。目を開けろ。」
鏡にうつる俺は先輩に後ろから性器を握られて、びくりと震えてる。
「そうだ。見てろ。俺も見ててやるよ。」
「ああぁ…っ」
鏡の中の俺は先輩にゆっくりと性器を上下に擦り上げられて、耳朶を噛まれて喘いでいる。
「ほら、真沙也。こうして濡れた先端を指でいじられるの好きだろう?びくびくしてるの見えるか?こう優しく撫でてやるとぬるぬるしてきたろう?」
先輩はうなじに顔を埋めて唇を這わせながら、鏡越しに情欲的な顔でこっちを見てる。
俺の目はとろりと潤んでいて、熱い吐息が漏れる。
「このエロい乳首もくりくりといじられていやらしいだろ。赤くふたつ尖ってる。片手で両方いじってやるよ。」
片手で両方の乳首を同じリズムで捏ねられ、性器はぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて擦り上げられる。
「あっ…先輩の、もっ…」
俺は体の向きを変えて、向かい合い、先輩の昂ぶった性器に手を伸ばす。
「先輩の…すごい大きい…」
「真沙也」
手の中でどくんどくんと脈打ち先輩の興奮が伝わる。一緒に高めあっていけるのが嬉しくて、夢中で擦り立てる。
耳元に感じる熱い先輩の吐息がたまらなく甘い。
先輩がボディソープを手に取り扱いてくれる。俺も同じように扱く。先輩が茎を擦れば俺も先輩の茎を擦る。急き立てるように早く、焦らすようにゆっくり。
二人で快楽を共有する。重なる唇から溢れる吐息がたまらない。
先輩は先端を俺の先端にくっ付けてきて擦り立てる。ぐいぐいと敏感な部分を当てられて、一緒にイキたかったのに我慢が出来ない。
「……っ!先輩、もうっ……!くっ…!」
どくん。と脈打ち白濁した雫を先輩の性器にはき出した。
「真沙也。真沙也っ」
先輩も俺の手の中でびくびくと果てた。
二人の息が整うとちゅっとキスをして先輩が丁寧にシャワーで洗いながしてくれた。
そして優しいキスをしてぎゅっと抱きしめてくれる。
「裸のまま、ベッドで待ってろよ。」
俺は先輩のいう通り裸でなんて、待てるわけがない。
体を拭いてバスタオルを腰に巻き、寝室に向った。
居心地が悪くて、ベッドに腰掛け、煙草に火を付ける。
すぐに先輩が隣にやって来て、俺の吸ってた煙草を取りあげて、灰皿に押し付ける。
「裸で待ってろって言っただろ。」
ちゅっと優しく耳にキスしてベッドに押し倒された。
「先輩…。優しくして下さいよ。」
くっくっと先輩は笑い
「総一郎だ。他人行儀に先輩なんて呼ぶな。俺はこれからもお前だけに優しくするから・・・・。だから名前で呼んでくれ。」
と、耳元でつぶやき優しく抱きしめてくれた。
「そういちろう・・・・。」
俺も総一朗を見つめてするりと背中に手をまわす。
やがて、シーツの海に二人きりの吐息が舞う。
つないだ指先に俺を大切に思う気持ちが伝わって、俺は駆け出す世界に心奪われ、総一朗の熱い瞳に揺れて映る。
降り注ぐキスは優しく、笑顔包むから…
俺もずっとこの人のそばに居たいと願った…。
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