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番外編
3-7
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修治と素喜がもどかしい夜を過ごしている頃。
エロくさいんだよ……!
エロくさすぎんだよ……!!
「こら……そんな……激しくするなって……」
「ぅ……うるせぇ……!」
「もっと……ちゃんとしろって……」
ビジネスホテルの、決して明るくはない明かりの下で、純が跨っている。
俺の腹の上に。
繋がった場所は火が点いているみたいに熱くてたまらない。
ビジネスホテルは寝るだけのものだとばかり思っていた俺は、いきなりベッドに押し倒されて驚いた。俯せに倒れた体に純が飛び掛かり、何をするんだと怒鳴る前にズボンが剥ぎ取られていた。
『……我慢の限界!』
そう囁きながら。純の気迫に押された俺は、上半身はシャツを着たまま、下半身は剥き出しという、普通なら恥ずかしくて死にそうな格好で彼を受け入れている。
シャツのボタンはいつの間にか外されていた。下準備も純が率先してやったし、俺はもう、何が何だか分からないままに彼と繋がっていた。
久しぶりに感じた純の体温は、俺を煽って仕方がない。
寝るだけだと諦めていた分、彼の急襲についていけていなかった。
「ん……まだ……ビックリしてる?」
「おま……お前が……! ビジネスホテルっつーから……!」
「その割に腰……激しいね~」
指摘され、顔が赤くなる。上に跨る純を、下から突き上げているのは俺で。
腰が勝手に動くというか。
純のエロくささに歯止めが利かないというか。
体が暴走している。
純が落ちていかないよう、俺の両手を絡め取って掴まっているのも、正直興奮している。
「……可愛いな、お前」
「……あ?」
何の事だ。万歳するみたいに両手は顔の横へ付けられている。腰を揺らめかせながら顔を近づけた純が、近い距離で笑った。
イケメンの顔が、エロくさくなる。
唇を引き結んだ俺に重ねてきた。
「……ん……可愛い……!」
「誰が……可愛いって!?」
「お前だよ……俺の父性本能擽ってくる……!」
「んだよ、父性本能って…………うぁっ! ば、ばか……は……ぁあ!」
彼の中を探っていた俺のモノが締め上げられた。その状態で出し入れされ、体が疼きまくる。身を竦めた俺を唇を舐めながら見ていた純は、首筋に軽く歯を立ててきた。
ビクッとなった体。唇が下っていくと、上下していた胸にも噛み付いてくる。
「ぉ……おぃ……純……! やべーって……!」
「ん……もっと……感じなよ」
「……ぅ……はぁ……ぁ……」
体中が痺れていく。力が入らない。
得体の知れない何かがこみ上げてきた。
目頭が熱くなってしまう。
フルフル震えた体を純が見下ろしているけれど。怒鳴る気力も削がれてしまった。
ただただ、熱い純の体に震えた。
「…………くっ!! 鼻血出そう……!」
何を言っているのか。荒い呼吸をなんとか整えようと奮闘する俺の頬を撫でてくる。
「……もう、イキたい?」
彼の問いに、何度も頷いた。声も出せないくらい、体がやばい。
必死に純を見上げた。彼ならなんとかしてくれると思って。
「…………もう、マジたまんないから……!!」
「し……締め……な……!」
これ以上、刺激されたら壊れてしまう。目を瞑った俺に抱き付いた純が、肩に顔を埋めている。
「俺も……もう駄目……! お前が……して!」
「…………!」
耳たぶを噛まれた時、何かが壊れてしまった気がした。
震える手で純の腰を掴み、片腕の力だけで体を起こしていく。向かい合わせになった俺達は、純を下にすることで入れ替わる。
覆い被さりながら、止まらない腰を動かした。
夢中でしがみ付いた。
「……ぁ……純……! 純……!」
「……もっと……おいで……大介!」
「純……!」
力一杯抱き締めた時、俺は達していた。
「ぅ……!」
呻いた純も達している。俺の腹に、彼のモノが放たれていた。
現場でもこんなに疲れることなんかないのに、体は一気にだるくなる。次第に緩和していく体を純に預けた。
「はぁ~~凄かった~~」
俺を受け止めた純が溜息をついている。くしゃくしゃと髪を撫でられた。
「てか、また中だね」
「…………あ! わ、わりぃ……!!」
「良いよ。余裕なかったの、お互い様だし」
急いで抜こうとした俺を抱き締めてくる。未だ中に入ったままのモノが温かく包み込まれていた。
急に恥ずかしくなった。冷静になってくると、暴走した自分を思い返してしまう。
チラリと、俺を抱き留めている純の横顔を見た。彼は満足そうに天井を見上げ、笑っている。余裕の顔だ。
「……ちっ」
「ん? 何?」
「何でもねぇよ!」
純の腕を外して中から出ていった。そのままベッドから降りようとした俺の腕を掴んでくる。
「……俺、何かした?」
少し、不安そうな声音が混じっている。しくじった、と髪を掻き回した。
「お前じゃねぇよ。俺に腹立ってんだよ」
「何で?」
「……なんつーか、いっつも俺、余裕ねぇからよ」
「あはは! 余裕ないのはお互い様じゃない」
腕を引かれ、隣に寝るよう促される。ここで無理矢理離れたら、傷付けてしまいそうな気がした。
けっ飛ばしていた掛け布団を拾うと二人で寝転んだ。汗ばんだ体が気持ちが悪かったけれど、純の体温は嫌いじゃない。
「俺もね、もっと冷静に、お前煽ってやろーって思ってんだよ? でも必死なお前見てると俺まで必死になっちゃって」
「つかよ。お前どこで覚えてくんだ?」
「何を?」
「……エロくさいことだよ」
「……聞きたい?」
隣に潜っていたはずの純が、俺の腕に絡んでくる。掌を握り込まれ、それを自分のあそこに導いてくる。
思わず払い除けようとしたけれど。
「……ん」
純のあれに手が触れただけで、彼が喘いだりするから。
知らず手を動かしていた。彼のあれを握ってしまう。
「ぁ……大きな手……」
「……教えろよ」
「ん……知りたいなら……もう一回やって……」
唇が重なった。深い口付けに体は素直に火を点けている。
「……ふふ、今夜は寝かさないよ」
エロくさい言葉に身震いした。
俺はまた、純の体に抱き付いた。
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