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番外編
1.俺のBABY
しおりを挟む自室のベッドに寝転んだまま、ぼうっと天井を見上げた。そろりと、薄いアルバムを持ち上げる。
恐る恐る開くと、プリンターで印刷した写真が並んでいて。
「…………やばっ!!」
パンッと閉じると顔を赤くした。
でも、とそろりと開く。
眠っている山本大介の写真を見つめ、やっぱり駄目だと閉じてしまう。
でもでも、と。もう一度開いて、キスしてもらった写真を凝視した。
「……やっちゃったんだよな~」
この男と。
俺・立川純は……。
「……恥ずかしい!!」
勢い良く閉じたアルバムを枕の下に仕舞った。俯せになると身悶える。
「……反則だぞ、大介……! お前……あんな……!」
ギュウッと枕を抱いた俺は、思い出さないように思い出さないようにと意識すればするほど、あの夜の事を思い出していた。
俺と、大介の。
初めての夜。
山本大介は。
とにかく凄かった。
***
体格の差は、歴然だった。
俺もテニスをしているから、引き締まってはいたけれど。大介は引き締まっている上にたっぱもある。手足は長く、全身筋肉とバネでできていた。
男の俺の体を軽々抱き上げられるほどの体。決して細くはない俺を、抱き上げられる男。
そんな男が俺の体に覆い被さったまま、困惑していた。
「……どうすんだ?」
「男と女の仕方は……?」
「まあ、習ったことくらいは知ってる」
「俺は女の子じゃないから、お前のこれが入る場所は、ここなんだけど……」
ここ、と手で指し示せば真っ赤になった。明かりを点けたままだったから、良く見えた。
飛び込んだラブホテル。俺のために帰って来てくれた大介に、ずっと抑え込んでいた気持ちが高ぶっている。
その気持ちに応えるように、大介も受けて立とうとしてくれている。お互い裸のまま、これから先の事を話し合う。
「……い、痛くねぇのか?」
「う~ん、たぶん大丈夫だと思う」
「本当か?」
「うん」
痛いかも、と言えば止めてしまうだろう。安心させるように笑ってやった。真剣な顔をした大介は、まるで弟達を宥めるように俺の髪を撫でた。
良いな、と思う。大介の手は大きい。兄弟達はこの手に支えられて、守られてきたのだろう。
「兄ちゃんだね」
「んだよ、そりゃ」
「何でもないよ。それより、そこのテーブルの上にある籠、取ってくれる?」
「これか?」
長い腕が伸びていく。籠をひょいっと掴んだ彼の手からそれを受け取った。
「う~んと、あ、たぶんこれだ」
「何だ、それ」
「ローション」
「……ろーしょん?」
「そう、ローション。俺、女の子じゃないから滑り無いからね」
顔中に疑問符を浮かべている大介に、籠を戻してもらいながら、封を切った。一回使い切りのお試し品。置いてくれていて助かった。
訳が分からないと見守る大介の前で、トロトロしているローションを手に取った。じっと見つめている大介は、俺が後ろに手を伸ばすのを見て眉を吊り上げている。
息を飲んだ音が耳を擽った。自分で自分の中に指を入れているのだから、さぞ不思議だろう。
「……何……してんだ?」
「……ん……準備……!」
「準備って……」
長い大介の両腕に包まれているというのは、なかなか緊張した。俺も初めてだし、しかも男同士なんて簡単にしか知らないから。
とにかく大介のは大きい。それだけは分かっている。裸になって分かったけれど、大介は何もかもがビッグサイズ。あれを入れるとなると、かなり覚悟が要ると思う。
恥ずかしがってばかりもいられない。もぞもぞ頑張る俺に、大介が顔を寄せた。
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