SweeT&BitteR ~甘く甘く 時に苦く 僕らは恋をする~

樹々

文字の大きさ
上 下
77 / 123
番外編

1.俺のBABY

しおりを挟む

 自室のベッドに寝転んだまま、ぼうっと天井を見上げた。そろりと、薄いアルバムを持ち上げる。

 恐る恐る開くと、プリンターで印刷した写真が並んでいて。

「…………やばっ!!」

 パンッと閉じると顔を赤くした。

 でも、とそろりと開く。

 眠っている山本大介の写真を見つめ、やっぱり駄目だと閉じてしまう。

 でもでも、と。もう一度開いて、キスしてもらった写真を凝視した。

「……やっちゃったんだよな~」

 この男と。

 俺・立川純は……。

「……恥ずかしい!!」

 勢い良く閉じたアルバムを枕の下に仕舞った。俯せになると身悶える。

「……反則だぞ、大介……! お前……あんな……!」

 ギュウッと枕を抱いた俺は、思い出さないように思い出さないようにと意識すればするほど、あの夜の事を思い出していた。

 俺と、大介の。

 初めての夜。



 山本大介は。



 とにかく凄かった。



***



 体格の差は、歴然だった。

 俺もテニスをしているから、引き締まってはいたけれど。大介は引き締まっている上にたっぱもある。手足は長く、全身筋肉とバネでできていた。

 男の俺の体を軽々抱き上げられるほどの体。決して細くはない俺を、抱き上げられる男。

 そんな男が俺の体に覆い被さったまま、困惑していた。

「……どうすんだ?」

「男と女の仕方は……?」

「まあ、習ったことくらいは知ってる」

「俺は女の子じゃないから、お前のこれが入る場所は、ここなんだけど……」

 ここ、と手で指し示せば真っ赤になった。明かりを点けたままだったから、良く見えた。

 飛び込んだラブホテル。俺のために帰って来てくれた大介に、ずっと抑え込んでいた気持ちが高ぶっている。

 その気持ちに応えるように、大介も受けて立とうとしてくれている。お互い裸のまま、これから先の事を話し合う。

「……い、痛くねぇのか?」

「う~ん、たぶん大丈夫だと思う」

「本当か?」

「うん」

 痛いかも、と言えば止めてしまうだろう。安心させるように笑ってやった。真剣な顔をした大介は、まるで弟達を宥めるように俺の髪を撫でた。

 良いな、と思う。大介の手は大きい。兄弟達はこの手に支えられて、守られてきたのだろう。

「兄ちゃんだね」

「んだよ、そりゃ」

「何でもないよ。それより、そこのテーブルの上にある籠、取ってくれる?」

「これか?」

 長い腕が伸びていく。籠をひょいっと掴んだ彼の手からそれを受け取った。

「う~んと、あ、たぶんこれだ」

「何だ、それ」

「ローション」

「……ろーしょん?」

「そう、ローション。俺、女の子じゃないから滑り無いからね」

 顔中に疑問符を浮かべている大介に、籠を戻してもらいながら、封を切った。一回使い切りのお試し品。置いてくれていて助かった。

 訳が分からないと見守る大介の前で、トロトロしているローションを手に取った。じっと見つめている大介は、俺が後ろに手を伸ばすのを見て眉を吊り上げている。

 息を飲んだ音が耳を擽った。自分で自分の中に指を入れているのだから、さぞ不思議だろう。

「……何……してんだ?」

「……ん……準備……!」

「準備って……」

 長い大介の両腕に包まれているというのは、なかなか緊張した。俺も初めてだし、しかも男同士なんて簡単にしか知らないから。

 とにかく大介のは大きい。それだけは分かっている。裸になって分かったけれど、大介は何もかもがビッグサイズ。あれを入れるとなると、かなり覚悟が要ると思う。

 恥ずかしがってばかりもいられない。もぞもぞ頑張る俺に、大介が顔を寄せた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ハルとアキ

花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』 双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。 しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!? 「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。 だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。 〝俺〟を愛してーー どうか気づいて。お願い、気づかないで」 ---------------------------------------- 【目次】 ・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉 ・各キャラクターの今後について ・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉 ・リクエスト編 ・番外編 ・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉 ・番外編 ---------------------------------------- *表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) * ※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。 ※心理描写を大切に書いてます。 ※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...