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抱き締めても良いですか?~エピソード0~
03-6
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「Ωの皆は避難して! もうすぐ浩介さんが愛歩君を連れてくるから!」
「はい! ぼっちゃん一人で大丈夫でしょうか?」
「薬でヒートになってるから、長くは続かないはずって兄さんが言ってる。ΩがΩをヒートにさせる薬だから。僕が連絡するまで皆は離れててね」
ヒートを終わらせるということは、発散させないといけないから。愛歩が後で気まずくならないよう、全員、外に出てもらい別棟へ移動してもらった。広い屋敷がひっそりと静まりかえる。
数十分前に、兄さんから連絡が入った。
愛歩が、連続強姦魔のΩと遭遇し、薬の影響を受けていると。ヒートが強いせいで、発散できないまま気絶している。
愛歩が好きかと聞かれた。
大好きだと応えた僕に笑った兄さん。僕に、愛歩を任せると言ってくれた。
ずっと体が弱かったけれど、僕だってもう、体は大人だ。弱かった体は、愛歩のおかげで強くなっている。
たくさん助けてもらったから。
今度は僕が愛歩を救いたい。
玄関から出て待っていると、車が一台入ってくる。握っていたスマホに浩介から連絡が入る。
「誰も居ないよ。大丈夫!」
[承知しました。田津原様をお連れします]
車から降りた浩介がヒートで震えている愛歩を抱き上げた。気を失っているためぐったりしている。大量の汗を掻いているのがすぐに分かった。
急いで僕の部屋に連れて行く。ベッドに寝かせると、浩介が制服の上着とズボンを脱がせている。
愛歩はずっと震えている。後ろが、濡れていた。
「ぼっちゃん。田津原様の意識が戻らないと危険です。もし、どうしても意識が戻らない場合は救急車を呼んで下さい」
「うん。浩介さん、愛歩君を連れてきてくれてありがとう」
ベッドにつけているレースのカーテンを引いた。見えないように隠していく。
「浩介さん、慎二さんの所に戻ってね」
「……はい」
「大丈夫だよ。慎二さんはきっと、全部受け止めてくれるから」
浩介の手が震えていることに気付いていた。大きな手を握り、大好きな二番目の兄に笑って見せた。
「愛歩君は僕が助けたい。頑張る!」
「……はい。ぼっちゃんならできます」
「うん!」
踵を返した浩介が足早に歩いて行く。ドアを閉めると出て行った。
鍵を掛けたいけれど、愛歩がもう、限界だ。濡れている下着を下ろすと、出てきた彼の大きなモノを手に取った。
「勝手に触ってごめんね。頑張って、愛歩君」
両手で包むとすぐにイッた。ビクッと体を震わせたけれど目が覚めない。腫れを残したままのそれを両手で愛撫してあげる。すぐに二度目を吐き出したけれど、意識は戻らなかった。
濡れている後ろ。αの僕が触っているからか、後ろはどんどん濡れていく。そこを触らないと駄目なのだろうか。
でも、愛歩の大事な場所だ。
男なのにΩとして産まれた愛歩は、Ωであることを嫌っている。
そこは、触れてはいけないと思った。なんとか前だけで意識を取り戻してほしい。願うようにもう一度刺激を与えた。三度、熱を吐き出したけれど、愛歩の意識は戻らなかった。
焦ってくる。目から流れ落ちる涙を見ていると胸が痛む。震えている体は苦しそうで見ていられない。
「愛歩君……! お願い、起きて……!」
耳に呼びかけると、眉間に皺が寄った。何かを探すように顔を寄せてくる。僕の方へ顔を向けている。
愛歩がヒートの時、僕の私物を兄さんが持っていったことがある。僕の匂いが付いている物が良いと言って。
もしかして、と愛歩の顔を抱き込んだ。αも項からフェロモンが出ている。僕の匂いで、運命の番の匂いで、愛歩が楽になるのなら試したい。
抱き締めながらもう一度、前を触った。愛歩の顔が肩にすり寄っている。震えている長い腕が伸びると、僕を抱き込むようにしがみついてきた。
「ま……すみ……さ」
掠れた声で名前を呼んでいる。
「愛歩君、ここに居るよ!」
グッと握ると、体を震わせた。
「……うぅっ!」
体が大きく揺れると、ゆっくりと瞼が開いた。涙を流しながら僕を見つめている。
「愛歩君!? 愛歩君!!」
「ますみ……さっ!」
「良かった……!」
僕の姿を確認した愛歩は、力一杯抱きついてきた。応えるように僕も抱き返した。
「ごめんね、勝手に触って」
「おれ……」
「何度かイッてたけど、なかなか目が覚めなくて……! 僕が下手だから、ちゃんとできてないんじゃないかって思って……!」
背中を撫でてあげた。ヒクつきながら僕の項の匂いを吸っている。少しずつ、震えている体が落ち着いてきた。大きな手で涙を拭っている。
僕を見つめた愛歩は、着ていた服に手をかけてくる。腫れてしまった場所に触れられて、心拍数が一気に上がった。
僕も男だ、セクシーな愛歩の姿に、下がずっと腫れていた。
愛歩の手によって、僕のズボンのチャックはおろされた。
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